バレエ「くるみ割り人形」
作曲:チャイコフスキー
アリーナ・ソーモワ(マーシャ姫)、ウラディーミル・シクリャローフ(王子)、アレクサンドラ・コルシュノワ、パヴェル・ミハイエフ(フランツ/くるみ割り人形)
指揮:ワレリー・ゲルギエフ、振付:ワシーリー・ワイノーネン
2011年12月30日、31日 マリインスキー劇場(サンクトペテルブルク)、2012年6月NHK BS
「くるみ割り人形」の組曲版を録音で聴いたことはあるけれども、全曲、それも舞台を見るのは初めてである。いわゆるチャイコフスキー三大バレエの中で、「白鳥の湖」、「眠れる森の美女」と比べても、この曲が抜けているとは思ってきた。こうして全曲を見た後でもそれは変わらない。組曲ほどではないにしても、チャイコフスキーは稀代のメロディーメーカー(多分ナンバー1)である。
クリスマスの夜、子供たちが人形つかいなどを楽しんで、眠りについたその家の女の子が見た夢の中、ネズミの大群が押し寄せてきたところをブリキの兵隊を率いたくるみ割り人形が追い散らすと、そのあとは女の子が長じてお姫様になっており、相手の王子と踊りだし、二人を祝福するかのような、世界各地からのダンスが繰り広げられ、エピローグで再び女の子は気持ちよく目覚める、という全体としては子供が楽しめるものである。
各種の踊りは音楽も耳になじみやすいし、見せ場も多い。またマーシャを演ずる子は何歳だろうか、とってもかわいくてうまい。そしてこれは「ロシアの踊り」というのだろうか(テロップがない)、女の子二人男の子一人の組はかわいいばかりでなく、特に男の子は達者で、大きな拍手を受けていた。
ただ、全体のアンサンブルとなると、バレエには詳しくないけれども、完璧とはいえないのではないだろうか、特にボリショイと比べて。特に何人かで踊るときのシンクロナイズというか、、、たとえばグラン・ジュテなど。
指揮がゲルギエフとは豪華だが、この人みかけによらず精密な指揮で、この名曲をたっぷり楽しめた。