チャイコフスキー:バレエ「眠りの森の美女」
指揮:ワシーリ・シナイスキー、原振付:マリウス・プティバ、改訂振付:ユーリ・グリゴローヴィチ
スヴェトラーナザハロワ(オーロラ姫)、デーヴィッド・ホールバーグ(デジレ王子)、マリア・アラシュ(リラの精)
モスクワ・ボリショイ劇場 2011年11月16日、20日 劇場新装記念公演
NHK BS 2012年2月 放送録画
最近まであまりバレエを見なかったせいもあるが、同じチャイコフスキーでもドラマ性からも印象が強い「白鳥の湖」、名曲ぞろいの「くるみ割り人形」と比べ、それほど見たいという気は起らなかった。
今回見てみると、これは個々の場面の個々の演技を楽しむもので、全体の流れとか、チャイコフスキーとしては地味な音楽などにこだわってもしょうがない。
物語の筋としても、王女が生まれてそのお祝いに招かれなかった悪の精が針に刺されて死ぬという呪いをかけるが、リラの精が死なずに100年眠ることに変え、そのとおりになり、100年後現れた王子のキスで生き返り、結婚の祝いとなって、この話以外のシャルル・ペロー童話集にある猫、シンデレラ、赤ずきんなどのキャラクターが踊りを繰り広げる、というテーマパーク・プログラムのようなものである。
そういうものだと気楽に見れば、トップの二人はやはり見事なもので、ザハロワはアップで見ると少し年齢も感じるが、王子のキスで息を吹き返すところなど細かいところも見せる。そしてホールバーグは踊りの切れが抜群で、連続するグラン・ジュテなどまことに気持ちいい。
その他のソロや群舞でも、さすがボリショイというのだろうか、後者など身長、体型特に脚の筋肉のつきかたなどが見事にそろっていて、ダンスとしても効果が大きい。
最近のダンサーは昔のようにガリガリの人はいないようで、細くてもアスリート体型に近い。これでうまく踊れるのならこっちのほうがいい。
こういうものはやはり一度見ておくものだ。