法務問題集

法務問題集

憲法 > 国民の権利・義務 > 精神的自由権 > 表現の自由 > 立川反戦ビラ配布事件

2011-04-07 00:00:00 | 憲法 > 国民の権利・義務等
【問題】
・最判平20.04.11(立川反戦ビラ配布事件)理由第1 3(2)
 確かに、表現の自由は、民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならず、被告人らによるその政治的意見を記載したビラの配布は表現の自由の行使ということができる。
 しかしながら、憲法21条1項も、表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであって、たとえ思想を外部に発表するための( ア )であっても、その( ア )が他人の権利を不当に害するようなものは許されないというべきである。
 本件では、表現( イ )を処罰することの憲法適合性が問われているのではなく、表現の( ア )すなわちビラの配布のために「人の看守する邸宅」に( ウ )権者の承諾なく立ち入ったことを処罰することの憲法適合性が問われているところ、本件で被告人らが立ち入った場所は、防衛庁の職員及びその家族が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分及びその敷地であり、自衛隊・防衛庁当局がそのような場所として( ウ )していたもので、一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない。
 たとえ表現の自由の行使のためとはいっても、このような場所に( ウ )権者の意思に反して立ち入ることは、( ウ )権者の( ウ )権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。

【解答】
ア. 手段

イ. そのもの

ウ. 管理

【参考】
立川反戦ビラ配布事件 - Wikipedia

憲法 > 国民の権利・義務 > 精神的自由権 > 表現の自由 > 吉祥寺駅ビラ配布事件

2011-04-06 00:00:00 | 憲法 > 国民の権利・義務等
【問題】
・最判昭59.12.18(吉祥寺駅ビラ配布事件)での裁判官伊藤正己の補足意見 三(改)
 ある主張や意見を社会に伝達する自由を保障する場合に、その表現の( ア )を確保することが重要な意味をもっている。
 特に表現の自由の行使が行動を伴うときには表現の( ア )が必要となってくる。
 表現の( ア )が提供されないときには、多くの意見は受け手に伝達することができないといってもよい。
 一般( イ )が自由に出入りできる( ア )は、それぞれその本来の利用目的を備えているが、それは同時に表現の( ア )として役立つことが少なくない。
 道路、公園、広場などは、その例である。
 これを「( ウ )」と呼ぶことができよう。
 この( ウ )が表現の( ア )として用いられるときには、所有権や、本来の利用目的のための( エ )権に基づく制約を受けざるをえないとしても、その機能にかんがみ、表現の自由の保障を可能な限り配慮する必要があると考えられる。
 道路における集団行進についての道路交通法による規制について、警察署長は、集団行進が行われることにより一般交通の用に供せられるべき道路の機能を著しく害するものと認められ、また、条件を付することによってもかかる事態の発生を阻止することができないと予測される場合に限って、許可を拒むことができるとされるのも、道路のもつ( ウ )たる性質を重視するものと考えられる。
 もとより、道路のような公共用物と、一般( イ )が自由に出入りすることのできる( ア )とはいえ、私的な所有権、( エ )権に服するところとは、性質に差異があり、同一に論ずることはできない。
 しかし、後者にあっても、( ウ )たる性質を帯有するときには、表現の自由の保障を無視することができないのであり、その場合には、それぞれの具体的状況に応じて、表現の自由と所有権、( エ )権とをどのように調整するかを判断すべきこととなり、前述の較量の結果、表現行為を規制することが表現の自由の保障に照らして是認できないとされる場合がありうるのである。
 本件に関連する「鉄道地」についていえば、それは、法廷意見のいうように、鉄道の営業主体が所有又は( エ )する用地・地域のうち、駅のフォームやホール、線路のような直接鉄道運送業務に使用されるもの及び駅前広場のようなこれと密接不可分の利用関係にあるものを指すと解される。
 しかし、これらのうち、例えば駅前広場のごときは、その具体的状況によっては( ウ )たる性質を強くもつことがありうるのであり、このような場合に、そこでのビラ配布を同条違反として処罰することは、憲法に反する疑いが強い。
 このような場合には、公共用物に類似した考え方に立って処罰できるかどうかを判断しなければならない。

【解答】
ア. 場

イ. 公衆

ウ. パブリック・フォーラム

エ. 管理

【参考】
表現の自由 - Wikipedia

憲法 > 国民の権利・義務 > 精神的自由権 > 表現の自由

2011-04-05 00:00:00 | 憲法 > 国民の権利・義務等
【問題】
01. 表現内容規制とは、伝達するメッセージを理由とした表現の規制をいう。

02. 表現内容中立規制とは、伝達するメッセージの内容や伝達効果と直接的な関係がない表現の規制をいう。

03. 学校近くでの騒音の制限は、表現内容規制に該当する。

04. 国の秘密情報の公表の禁止は、表現内容規制に該当する。

05. 一定の選挙運動の自由の制限は、表現内容規制に該当する。

06. 違法行為を煽動する表現の禁止は、表現内容規制に該当する。

07. 精神的自由を規制する立法の合憲性は、経済的自由を規制する立法の合憲性と同等の基準で審査されなければならない。

08. 営利的言論の自由の保障の程度は、政治的言論の自由よりも低いと解される。

09. ヘイトスピーチは通常の内容規制よりも緩やかに審査され、規制が許されるべきだとされ得る。

10. 地方公共団体が国の法律を待たずに制定したデモ行為を規制する条例は、憲法21条に違反する。

11. 猥褻性を持つが芸術性や思想性が認められる文書の処罰は、憲法に違反する。

12. 他人の家屋等の工作物に張り札をみだりにすることを禁止した軽犯罪法上の規制は、憲法21条1項に違反する。

13. 一般職の国家公務員による政治的行為の禁止は、憲法21条に違反する。

14. 地方公務員の政治的行為を制限する法律は、憲法に違反する。

【解答】
01. ○: 学説

02. ○: 学説

03. ×: 表現内容中立規制

04. ○

05. ×: 表現内容中立規制

06. ○

07. ×: 学説

08. ○: 学説

09. ○

10. ×: 最判昭35.07.20(東京都公安条例事件)要旨
昭和25年東京都条例第44号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例は憲法第21条に違反しない

11. ×: 最判昭44.10.15(悪徳の栄え事件)理由(一)
(略)その文書が、その有する芸術性・思想性にかかわらず猥褻性ありと評価される以上、刑法175条の適用を受け、その販売、頒布等が罪とされることは当然である旨判示したことは、原判決の記載によって明らかである。(略)

12. ×: 最判昭45.06.17(愛知原水協ビラ貼り事件)要旨
軽犯罪法1条33号前段は、憲法21条1項に違反しない

13. ×: 最判昭49.11.06(猿払事件)要旨1
国家公務員法102条1項、人事院規則14-7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止は、憲法21条に違反しない

14. ×: 地公法36条(政治的行為の制限)1項、2項

【参考】
表現の自由 - Wikipedia
公安条例 - Wikipedia
悪徳の栄え事件 - Wikipedia
愛知原水協ビラ貼り事件 - Wikipedia
猿払事件 - Wikipedia

憲法 > 国民の権利・義務 > 精神的自由権 > 信教の自由 > 宗教法人オウム真理教解散命令事件

2011-04-03 00:00:00 | 憲法 > 国民の権利・義務等
【問題】
・最判平08.01.30(宗教法人オウム真理教解散命令事件)理由
 (略)
 このような観点から本件解散命令について見ると、(宗教法人)法81条に規定する宗教法人の解散命令の制度は、前記のように、専ら宗教法人の( ア )的側面を対象とし、かつ、専ら( ア )的目的によるものであって、宗教団体や信者の精神的・( イ )的側面に容かいする意図によるものではなく、その制度の目的も合理的であるということができる。
 (略)
 抗告人が、法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められ、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたことが明らかである。
 抗告人の右のような行為に対処するには、抗告人を解散し、その法人格を失わせることが( ウ )かつ適切であり、他方、解散命令によって宗教団体であるXやその信者らが行う宗教上の行為に何らかの支障を生ずることが避けられないとしても、その支障は、解散命令に伴う( エ )的で事実上のものであるにとどまる。
 したがって、本件解散命令は、宗教団体であるXやその信者らの精神的・( イ )的側面に及ぼす影響を考慮しても、抗告人の行為に対処するのに( ウ )でやむを得ない法的規制であるということができる。
 (略)

【解答】
ア. 世俗

イ. 宗教

ウ. 必要

エ. 間接

【参考】
宗教法人オウム真理教解散命令事件 - Wikipedia

憲法 > 国民の権利・義務 > 精神的自由権 > 思想・良心の自由

2011-04-01 00:00:00 | 憲法 > 国民の権利・義務等
【問題】
01. 何人も、思想の自由を侵してはならない。

02. 何人も、良心の自由を侵してはならない。

03. 憲法19条の「思想及び良心の自由」とは20条1項の「信教の自由」の保障対象を宗教以外の世俗的な世界観や人生観などにまで拡大したものなので、信教の自由の場合と同様に固有の組織と教義体系を持つ思想や世界観のみが保護される。

04. 新聞紙への謝罪広告の掲載を命令する判決は、それが事態の真相を告白して陳謝の意を表明する程度でも、憲法19条に違反する。

05. 自由権的基本権の保障規定は、国や公共団体の統治行動への個人の基本的な自由と平等の保障を目的とした規定であって、もっぱら国や公共団体と個人の関係を規律するものである。

06. 基本的人権の規定は、私人相互間の関係を直接規律することを予定していない。

07. 労働者が特定の思想や信条を有することを理由として企業者が雇用を拒否することは、憲法19条に違反する。

08. 労働者の雇用の採否決定時に企業者が労働者の思想や信条を調査するために労働者からこれに係る事項の申告を要求することは、憲法19条に違反する。

【解答】
01. ○: 憲法19条

02. ○: 憲法19条

03. ×

04. ×: 最判昭31.07.04(謝罪広告事件)要旨1、2
1 新聞紙に謝罪広告を掲載することを命ずる判決は、その広告の内容が単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度のものにあっては、民訴第733条により代替執行をなし得る。
2 右判決は憲法第19条に反しない

05. ○: 最判昭48.12.12(三菱樹脂事件)理由第二 二(一)
(略)憲法の右各規定は、同法第3章のその他の自由権的基本権の保障規定と同じく、国または公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障する目的に出たもので、もっぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、(略)

06. ○: 最判昭48.12.12(三菱樹脂事件)要旨1
憲法14条や19条の規定は、直接私人相互間の関係に適用されるものではない。

07. ×: 最判昭48.12.12(三菱樹脂事件)要旨2
企業者が特定の思想、信条を有する労働者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない

08. ×: 最判昭48.12.12(三菱樹脂事件)要旨4
労働者を雇い入れようとする企業者が、その採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることは、違法とはいえない

【参考】
思想・良心の自由 - Wikipedia
三菱樹脂事件 - Wikipedia