法務問題集

法務問題集

民法 > 債権 > 総則 > 効力 > 詐害行為 > 該非

2013-01-19 00:00:00 | 民法 > 債権 > 総則
【問題】
01. 債務者が自身所有の不動産に他の債権者への抵当権を設定する行為は、詐害行為に該当し得る。

02. 債務者が他の債権者と共謀して手持ちの現金でその債権者に弁済する行為は、詐害行為に該当し得る。

03. 債務者が他の債権者に代物弁済をする行為は、詐害行為に該当し得る。

04. 債務者が第三者に自身所有の不動産を相当の対価で売却する行為は、詐害行為に該当し得る。

05. 離婚に伴う財産分与は、原則として、詐害行為に該当する。

06. 養子縁組は、詐害行為に該当する。

07. 相続の放棄は、詐害行為に該当する。

【解答】
01. ○: 最判昭32.11.01 要旨
債務者が、他の債権者に十分な弁済をなし得ないためその利益を害することになることを知りながら、ある債権者のために根抵当権を設定する行為は、詐害行為にあたるものと解すべきである。

02. ○: 最判昭33.09.26 要旨
債務超過の状態にある債務者が、1債権者に対しなした弁済が、たとえ原審認定の如き経緯に出た場合であっても、それが債権者から強く要求された結果、法律上当然弁済すべき債務をやむなく弁済したものと認められる以上、未だこれをもって債務者が1債権者と通謀し他の債権者を害する意思をもってなした詐害行為であると解することはできない。

03. ○: 最判昭48.11.30 要旨
債務超過の状態にある債務者が特定の債権者に対する債務の弁済に代えて第三者に対する自己の債権を譲渡し、この債権の額が右債権者に対する債務の額を超えない場合であっても、債務者に詐害の意思があるときは、右債権譲渡は、詐害行為として取消の対象になりうる。

04. ○: 大判明39.02.05 要旨
民法第424条の規定は債務者が他に債権を弁済すべき目的なくして自己の財産を売却するときは其価格の相当なると否とを論せず債権者を害することを知りて為したる法律行為と推定すべき法意なり

05. ×: 最判昭58.12.19 要旨
離婚に伴う財産分与は、民法768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とはならない

06. ×: 民法424条(詐害行為取消権)2項
前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない

07. ×: 最判昭49.09.20 要旨
相続の放棄は、民法424条の詐害行為取消権行使の対象とならない

【参考】
詐害行為取消権 - Wikipedia

民法 > 債権 > 総則 > 効力 > 債務不履行 > 損害賠償 > その他

2013-01-17 00:00:00 | 民法 > 債権 > 総則
【問題】
01. 損害賠償の方法は、原則として、原状回復である。

02. 債権者が損害賠償としてその債権の目的である財産の価額の全部の支払いを受けた場合、債務者はその財産について債権者に当然に代位する。

【解答】
01. ×: 民法417条(損害賠償の方法)
損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める

02. ○: 民法422条(損害賠償による代位)

【参考】
民法第417条 - Wikibooks
民法第422条 - Wikibooks

民法 > 債権 > 総則 > 効力 > 債務不履行 > 損害賠償 > 賠償額の予定

2013-01-16 00:00:00 | 民法 > 債権 > 総則
【問題】
01. 当事者は、債務不履行について損害賠償額を予定できる。

02. 当事者は、債務不履行について損害賠償に金銭でないものを充てるべき旨を予定できる。

03. 賠償額の予定は、契約と同時にしなければならない。

04. 賠償額を予定した場合、債権者は賠償請求に際して債務者の債務不履行の存在を主張・立証すれば足り、損害の発生や損害額は主張・立証しなくともよい。

05. 裁判所は、予定賠償額を増減できる。

06. 予定賠償額が暴利行為として公序良俗違反となる場合、裁判所は予定賠償額を減額できる。

07. 賠償額を予定した場合、当事者は解除権を行使できない。

08. 違約金は、賠償額の予定と推定する。

【解答】
01. ○: 民法420条(賠償額の予定)1項

02. ○: 民法420条(賠償額の予定)1項準用

03. ×

04. ○

05. ○

06. ○: 大判昭19.03.14

07. ×: 民法420条(賠償額の予定)2項
賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない

08. ○: 民法420条(賠償額の予定)3項

【参考】
民法第420条 - Wikibooks

民法 > 債権 > 総則 > 効力 > 債務不履行 > 損害賠償 > 金銭債務の特則

2013-01-15 00:00:00 | 民法 > 債権 > 総則
【問題】
01. 金銭債務の不履行に対する損害賠償額は、原則として、法定利率によって定める。

02. 金銭債務の不履行に対する損害賠償額は、約定利率が法定利率を超過していても、法定利率によって定める。

03. 金銭債務の不履行に対する損害賠償については、債権者は損害を証明しなければならない。

04. 金銭債務の不履行に対する損害賠償については、債務者は不可抗力をもって抗弁できる。

【解答】
01. ○: 民法419条(金銭債務の特則)1項本文

02. ×: 民法419条(金銭債務の特則)1項但書
約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。

03. ×: 民法419条(金銭債務の特則)2項
前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない

04. ×: 民法419条(金銭債務の特則)3項
第1項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない

【参考】
民法第419条 - Wikibooks

民法 > 債権 > 総則 > 効力 > 債務不履行 > 損害賠償 > 過失相殺

2013-01-14 00:00:00 | 民法 > 債権 > 総則
【問題】
01. 債務不履行またはこれによる損害の発生や拡大について債権者に過失があった場合、裁判所はこれを考慮して損害賠償の責任やその額を決定する。

02. 債務不履行について債権者に過失があった場合、当事者が損害賠償額を予定していても、裁判所はこれを考慮して損害賠償の責任や金額を決定すべきである。

03. 債務者が過失相殺を主張しない場合、裁判所は過失を考慮できない。

【解答】
01. ○: 民法418条(過失相殺)

02. ○: 最判平06.04.21 要旨
当事者が損害賠償の額を予定した場合においても、債務不履行に関し債権者に過失があったときは、特段の事情のない限り、裁判所は、損害賠償の責任及びその金額を定めるにつき、これをしんしゃくすべきである。

03. ×: 最判昭43.12.24 要旨
民法第418条による過失相殺は、債務者の主張がなくても、裁判所が職権ですることができるが、債権者の過失となるべき事実については、債務者において立証責任を負う。

【参考】
民法第418条 - Wikibooks