ちょっと一休み。
暑いので甘~い話を。
「ちょっ、これ凄すぎない?」
「……」
家で二人で過ごす時間。
翔くんが興奮しながらそう言って
パソコンに入っている画像を見せてきた。
だから飲んでるグラス片手によっこらしょっとと
隣に座って一緒にその画面を見つめた。
「って、その顔~」
「だって…」
そこにはみんなで集まった時に翔くんが撮った
写真の数々が映し出されていた。
そう言えば何だか妙に楽しそうに
興奮しながら撮っていたっけ。
「だってタッキーと智くんが一緒に歌って踊ってんだよ? 貴重すぎじゃない?」
「めっちゃ興奮してるし…」
でも別にそんなの普通じゃない?
みんなもしてたし、そんな興奮することだっけ?
「だってこんなのジュニア以来だよ? めちゃくちゃ貴重だよ? お宝だよ?」
「……」
そんなこちらの思いとは裏腹に翔くんは
めちゃくちゃ盛り上がっていてお宝なんて言って興奮している。
って、何だかめちゃくちゃ楽しそうだね。
そう思いながらその端正でかっこいい男の横顔を見つめた。
「すげえよ、コレ。俺のお宝コレクションとして永久保存版にしよっ」
そう言って翔くんは嬉しそうに
パソコンの画面を見ながら操作する。
「……俺の一番のファンって、実は翔くんなんじゃね?」
その中には歴代の嵐の(俺のがなぜか圧倒的に多い…)
画像がたくさん入っていることを実は知っている。
「え? そうだよ」
「そうだよって平然と答えてるし…」
「だってそうなんだもん」
そう思いながらそう言うと
翔くんは当たり前じゃんって顔をして答える。
でもそれって当たり前の事なのかな?
「凄いね?」
「凄い?」
そう言うと翔くんは不思議そうな顔をする。
「だってずっと一緒にいて俺の嫌なところとか
ダメダメなところとか散々見ているのにファンでいられるって」
「ふふっまあね」
っていうかそもそも同じメンバーでありながら
ファンていうのもどうなんだ?
と思いながらそう言うと翔くんはまるで
気にしていないかのようにふふっと笑った。
その顔を見つめながらやっぱイケメンだなと思う。
「でしょ? 俺が逆の立場だったら
もうダメだコイツって言って、とっくのとうに辞めてる」
「え~?」
そう言うとやっぱり翔くんは不思議そうな顔をする。
でも本当に翔くんほどの人がずっと
そう思っていてくれるなんて信じられない。
「でも翔くんは変わらず一緒にいてくれるね。何で?」
いつも不思議に思っていた。
それは、同じメンバーだから?
だから仕方なく一緒にいてくれるの?って。
「何でって、それは俺が智くんのコアなファンだからかな?」
「……」
そう不安になって聞くと翔くんは真面目な顔でそう答える。
「ダメなところももちろんたくさん見てるし、知ってるけど
それ以上のものを見せてくれるから
ファンを辞める事なんて全然考えられないんだよね」
「……」
何も言えなくて翔くんをただ見つめてると
翔くんがそう説明するように言った。
「俺、何だか凄く好きみたい。智くんのこと」
やっぱり何も言えないでいると
翔くんが顔を見つめながらそう言って笑った。
「……何か恥ずかしいんですけど」
その真っ直ぐに向けられる視線に
その言葉に恥ずかしくなって直視できない。
「ふふっだってジュニアの頃からずっとファンなんだもん」
「……」
「だからジュニア時代しか見られなかった
貴重な2ショットにはめちゃくちゃ興奮したし嬉しいし。
だからこれはもうお宝ファイルに保存するしかなくない?
いや、いつでも見られるように待ち受けにでもする?」
翔くんはちょっとおどけるようにそう言って笑った。
そう言いながらもやっぱり顔も言動もカッコいいなと思う。
「ほんとに、好き だね?」
「うん、好き。ずっと好き。
だからずっと何があってもファンでいられる自信ある」
「すげえな」
「ふふっ昔からコアなファンですから」
「……」
翔くんはそう言って笑う。
その翔くんの顔を見つめた。
「だから、ファンの分際でこうして一緒にいられることが幸せなんだよね~
それに、こんなこともできるし」
そう言って横を向いたと思ったら
両腕をゆっくり伸ばしてきて身体全体を包み込むように
ふんわりと優しく抱きしめてくる。
「ふふっ役得」
「……役 得?」
突然の事にそのままされるがままでいたら
抱きしめた状態のまま役得と言って翔くんがふふっと笑った。
「そ。同じメンバーだからファンである智くんと
ずっと一緒にいられるし、こんな事も出来ちゃう」
「……」
そう言いながら抱きしめている腕にギュッと力を込めて
翔くんがそう小さくつぶやいた。
「好きだよ。どんなあなたも。
ダメなところもいいところも全部知ってる。
いつも控えめでどこか自信なさげなところも知ってる。
でもそういうあなたも全部好き」
そう言って抱きしめていた腕の力を少し弱め身体を少し離すと
顔と顔が向き合うようにした。
「なん 」
そう言いかけたら翔くんが困ったような顔をして
もう言わなくてもいいよって感じで唇に指をあてる。
でもずっと何で何で何でって思ってる。
でもそんな疑問は無意味だよっていう風に
少し困ったような顔で笑って唇に指をあてたまま
ゆっくりと顔を近づけてくる。
そしてゆっくりとその指を唇から離すと
その柔らかい唇で唇を塞ぐ。
でもやっぱりわかんない。
「好きなのに理由なんてないでしょ?」
そう思っていると唇から離れ
至近距離の状態のまま
そう言ってふふっと笑う。
「でも…」
「何がそんなに不安なの?」
でも、と思ってるとそう言って両方の肩に
両手を乗せられてそのまま優しく身体を横に倒される。
上を見ると翔くんがその端正な顔で見つめてて
目が合うとふっと笑う。
やっぱりカッコいい顔しているなと思う。
頭もよくて顔もかっこよくて。
そんな人が何で? ってやっぱり思っていると
やっぱりその人はちょっと困ったような顔になって
「どう言ったら伝わるのかな?」
と言って苦笑いを浮かべた。
だってサクライ ショウだよ?
日本中が熱狂する嵐のメンバーで(自分もだけど)
頭もよくて、いい大学も出てて
選挙やオリンピックでもキャスターを務めてて
お父さんだって凄い人で。
もしかして都知事とかなってたかもしれない人だよ?
そんな人が…
そんな事を思っていると翔くんがまた困ったようにふふっと笑った。
「何かいっぱい考えているみたいだけど、好きなことには変わりないから」
そう言ってゆっくりと顔を近づけてくる。
頭がいいのにバカなこともできて
カッコいいのにちょっと抜けてて可愛くて
忙しいのにキャスターの仕事はいつも完璧で。
「好きだよ」
そう思っていたら真っ直ぐな視線で翔くんが好きだと言ってくる。
何だか恥ずかしくなって視線を落とすと翔くんがくすっと笑ったような気がした。
そしてそのままゆっくりゆっくりとその唇を重ねてくる。
だからそれに応えるように少し口を開くと
翔くんのがゆっくりと入ってくる。
そのまま背中に腕を回した。
そして自分も好きだと伝わるように
ぎゅっとその腕に力を込める。
そして唇が離れると見つめあって
またゆっくりと唇を重ねて
お互いの気持ちを確かめ合うように深いキスをして。
また強く抱きしめあって
目が合うと
お互いに照れくさくてくすっと笑って
そしてまた抱きしめあって
そして
『俺も、好き』
と、そうやっぱり言葉で伝えたくて
視線が重なった時に
小さくつぶやくように
その人に伝えるとその人は嬉しそうに
ニコッと笑った。