この街はとにかく坂が多い。
どこに行こうにも必ず坂がある。
極めつけはこの学校だ。
電車から降りると目の前には坂があって
その坂を登っていかないと学校にはたどり着かない。
まぁ確かにそんな坂の上にある学校だったから
そこから見える眺めは最高っちゃあ最高だけど
距離は短いとはいえ登っていくのは大変だ。
生徒たちは皆この坂道を地獄坂と呼んでいて
ひーひー文句を言いながら通っていた。
そんな地獄坂の上にある学校での生活は
あたりまえだけど
普通に授業が行われ
普通に勉強して
そして普通に友達がいて
普通に彼女がいる。
そんな普通の学校生活。
そして入学してすぐに付き合い始めた彼女は
笑った顔が女優のなんとかって人に似た可愛いらしい人で
まぁ時々わがままを言うけど
それもかわいいと思えばかわいい
そんな人だった。
その彼女と駅で待ち合わせをして
一緒にひーひー文句を言いながらこの坂を登って学校に登校し
一緒に帰れるときは一緒に帰る。
そして休み時間になると一緒に過ごせる時は一緒に過ごす。
そんな、毎日だった。
でも、あるふとしたことが原因で喧嘩をし
その彼女とはそのまま別れてしまった。
友達は皆あんな可愛い彼女もったいないだの
謝って許してもらえだの
ギャーギャー騒いでいたけど
自分自身不思議なほどダメージがない。
好きだったはずなのにな。
その彼女が他の奴と付き合いはじめたと聞いても
そいつと一緒に嬉しそうに並んで歩いているのを見ても
自分には恋愛に対する思いがどこか欠けてるじゃないかと
思えるくらい何とも思わなかった。
俺って実は冷たいヤツかも。
そんなことを思いながら
相変わらず普通に学校に通い
普通に勉強し
普通に学校生活を送り
そして時々友達と下らないことを言ってバカ騒ぎをする。
そんな、毎日。
そうこうしているうちに
季節は初夏になろうとしていた。
自然に恵まれたこの街には様々な木々がたくさんある。
その木々の葉が暑さと共にだんだん緑を濃くしていく。
そんな中、同じ学校の子やそれ以外にもなぜか
他校の子まで何人もから告白されたりして
その中の一人とそのままなんとなく付き合い始めた。
一緒に登校したり
時々お昼休みに一緒にご飯食べたり。
そして友達とは相変わらず毎日ワイワイやったりしていた。
それなりに勉強をして
委員会やクラブ活動をして
友達と時々ふざけたり
彼女と学校の片隅で隠れてキスしたり。
それなりに充実した学校生活。
そんな、普通の毎日。
今日もいつものようにこの地獄坂を登る。
やっぱりこの坂はキツイ。
この時期は特に暑さも加わり疲労度120%だ。
毎日通っている道なのに一向に慣れる気配がナイ。
イヤ、ホントは坂は悪くないんだ。
むしろ地獄坂なんて呼ばれて気の毒っちゃ気の毒だ。
坂には何の落ち度もないんだから。
でも歩いていると何だか妙にムカムカしてきて
なんだよこの坂、この暑いのに余計暑苦しいわ、とか
筋力増強のためにわざわざこの立地に建てたんじゃねえの、とか
しまいには学校の立地にまで文句を言いながら歩く。
でも。
この坂もあともうちょっと
そう思った瞬間。
ふと視線を感じた。
なぜその日だけそう感じたのかわからない。
ただ視線を感じてそちらに目線をおくる。
そこには一人の人影が見えた。
誰だろう?
そう思った瞬間その人影はすっと消えて
いなくなってしまった。
……?
気のせい?
暑さと坂でやられた?
そんなことを思いながらその窓を見つめた。
この学校は受験時より理数系と文系とに分かれている。
建物が二つに分かれていて共用施設はすべて一階にある。
坂を上がりきったところに校門があって
そしてそのすぐ横に学生全員の下駄箱がある。
そこから二手に分かれていて手前側に文系クラスの建物があり
その奥には理数系クラスの建物とに分かれていた。
そしてその二つの建物は各階の渡り廊下でつながっていて
自由に行き来できるようになってはいたが
共用施設がすべて一階にあるため自分のクラスがないほうの建物には
2階から上に上がることはなかった。
だからはっきりとはわからないけど
さっき見えた人影は文系クラスの人?
そして2階だったから多分自分と同じ1年生?
視線を感じたような気がしたけど気のせいだったのだろうか?
何だか気になり翌日も坂を登っていくと
その窓を見つめた。
やっぱり
人がいた。
男の人。
視線を感じたような気がしたが
今はその人は違う方を見ている。
気のせい?
確かに視線を感じていたような気がするのに。
何だか気になって翌日もその翌日も
坂を登っていくと顔をあげその窓を見つめた。
……。
懲りずに毎日その窓を見ながら登っていくと
いつもはそらされている視線。
今日はそらされない。
視線が重なった。
いつも見ていたその顔。
男の人だけど
綺麗でどこか少し儚げで。
向けられていたと思っていたその視線。
いつも見上げると外されてしまうけど
ずっと気になっていた。
今日は見つめてもそらされない。
その美しい顔の人と
視線が交差し胸が高鳴るのが
自分でもわかった。
Windows新しいのにしてもらったら半角のカッコがどうしても出せない←機械オンチ
カッコは半角じゃないとヤなのにぃ(変なこだわり。そしてクエスチョンマークは半角諦めた)
近いうちに続きアップします。もう話はできてるので楽ちん♪
(読んでくださってる方は大丈夫なのでしょうか?楽しいかな?
私は前回の説明不足の部分やあっさりすましてしまった部分も補えていいのですが…)
半角騒ぎで力尽きてしまったので(どんだけ)今回はここまでです。
若干少な目かな?すみません。
翔くんsideのお話が読めて嬉しいです
前話の智くんsideに戻って読み返しては、あっ、この場面は翔くんはこんなふうに感じていたんだぁと結びつけたり、あっ、たしかこの時は智くんはこうだったなぁと思い返したり…とにかくワクワク&ドキドキしながら楽しい時間を過ごさせていただいています
ふたりの心情が覗けてよりキュンキュンしてしまいます
続きも楽しみにしていますね。
お話のUPありがとうございます。
私、最近は、気ぜわしい毎日を送っていて・・・。
こうして きらりさんのお話を読ませていただくと
ほっこりして心が癒されます。
そして、まあ焦らなくてもいいかなー。
という気持ちになりました。 感謝です!
お話、とっても楽しいですよ♪
学生時代の二人は青春ゆえの
きらめきと美しさでキラキラしてて。
そして儚くて切ない。
でも もちろん、愛も溢れている ♡
カッコがなんとか 半角になるといいですね。
お話の続きを楽しみにしています♪
翔くんサイドそんな風に感じて読んで下さっているのですね。
嬉しいです~。
いつも翔くん目線の話が多かったのでたまには智くん目線のお話を、と思ったのですが
やっぱり翔くん目線の方が断然書きやすいんですよね。
でも話の展開も見えているし読んでて楽しいかな?と不安もたくさんで。
でもワクワク&ドキドキと言って下さって嬉しかったです。
そしてキュンキュンだなんて~。目指すはそこなので
本当に嬉しいです。
続きも楽しみにして下さって嬉しいです。よりキュンキュンしていただけるよう目指します♪
ありがとうございました。
こちらこそコメントありがとうございます。
楽しいと言って下さって嬉しいです。安心しました~。
何しろ話の展開がわかっているものなので
ほんとに読んでて楽しいものなのか不安しかなかったんですよ。
なのですごく嬉しかったのです。
そして最初に書いてくださったお話。
そうなんですね。なんだか不思議です。でも嬉しいです。
たとえ何かを感じたとしても流してしまう事の方が多いと思うのです。私もそうなので。
でもこうして伝えてくれたことで世界がぱぁっと開けたような。
こんな話でも読んで何か思ったり感じたりして影響(大げさかもしれませんが)を
受けて下さるんだなぁって
本当にアップして良かったなと思える瞬間です。
ありがとうございました。
「カッコ」ここでは使えるんですよね。ハテナ?も。不思議です~。