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山コンビ大好き。

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きらり

いつか 【特別な日】

2017-10-09 09:57:00 | いつか







今日は、特別な日。





鐘の音が鳴る。



会場中に響いていた高い歓声が一気にシンと静まり返り
静寂の中へと包み込まれていく。


そして。


その人が光の中から現れた瞬間。


全身に鳥肌が立つのが分かった。


そこにいる人すべてがペンライトを振る事も声を出すことも忘れ、
見入り、そして聞き入りその世界へと入っていく。


それは考えられない位の高速の動きを魅せるダンス。


そしてあのダンスをしながらのCD音源とはまた違う歌声。
という事はまさかあの動きをしながら歌っているという事か。


重心を低く保っていて決して軸がぶれる事のないそのダンス。
あれだけのターンをしても、ジャンプをしても
上半身も下半身も一定を保ったまま。


一つのダンスにどれだけのステップに加え
身体中のありとあらゆる動きが入り込んでいるのか。
そしてあれだけの高速のステップを踏みながらも
手や足の先まで神経が行き届いている美しいダンス。


なぜあんな高速の動きをしながら歌い踊る事ができるのか。
声量もあるのだろうか。訓練をしてきているのもだろうか。
高音で響き渡る歌声は澄んでいてとてもあのダンスを踊りながら
歌っているとは思えない。


そしていつも見せる顔とはまた違う、色気と艶やかさを含んだ綺麗な顔。
CDを聞いていた時だけでは想像できなかった、その美しくも激しいダンス。
照明だけの演出がかえって、効果的でかつ神々しく見えるほどの神秘的なその姿。


ダンスの事は知らないけど、どれほど凄いダンスを踊っているのかわかる。
歌の事はわからないけど、あれだけのダンスをしながらも
音程に乱れがなく高音をのびやかに、そして
切なく情感込めて歌い上げているのかが分かる。


凄い、凄すぎる。


もう完全にアイドルという枠を超えている。






そして。


その振り付け全てを自分でしているというその驚くべきダンス。
どこでカウントを取ってどのリズムからそのダンスが生まれるのか、
もはやわからない。


そのセンスと才能。


やっぱり天才だと思う。




そして。




驚くべき事に、




彼の背中には羽が生えているらしかった。




それはムービングステージというのだろうか。
透明の動くステージがだんだんと自分に近づいてくる。
智のマイクを通さない歌声が聞こえる。
それをドキドキしながら見つめる。


確かにその人はそこにいる。


ゆっくりと自分の真上を通り過ぎる。
その人の踊っている姿が真下から見える。
それなのに不思議な事にその人の足音がしない。


他のバックダンサーの子達がダンスをしている時は確かにする足音。
でもあれだけのダンスを魅せながら。
高速のステップ、ターン、高いジャンプのあるダンスをしているにも拘らず
智の時は音がしない。


それは、まるで無重力のダンス。


そう。


彼の背中には見えない羽が生えている。







そして。



智が真上を通り過ぎる時。



俺の存在に気付いた智が、その美しい顔でふっと笑った。






そして、その瞬間。




周りの女の子たちが、キャーと高い歓声を上げた。











家に帰ってからも一人、酒を飲みながら夢心地だった。
ふわふわしていていつまでもいつまでも
現実世界には戻ってこれないような、そんな状態。


それはコンサート映像をテレビ画面で見ていた世界とはまるで違う。


智の魅せる圧倒的なステージ。
そして何万といる観客の歓声。
こんな世界があっただなんて知らなかった。
こんなにも素晴らしい世界があっただなんて知らなかった。


智のステージが終わった後も
いつまでもいつまでもその胸の高鳴りは残っていて
自分自身を高揚させる。


初めて見た智のステージ。


そして智という存在。


今夜は興奮してとても眠られそうもない。






そう思っていたのに。



そんな状態だったのに。



今。



俺の前には智がいる。
会いに来ちゃったと言って無邪気に笑っている智がいる。


あの智が。


さっきまであれだけの大きなステージで見事なパフォーマンスを披露し
何万といるファンの子達を魅了し離さなかった智が目の前にいる。


とても信じられない。


確かに智はこの家よりも何倍もいい所に住んでいるにもかかわらず
この家がなぜか好きらしく何度も遊びに来ていた。


でもこのタイミングで。


この瞬間に。


あの智が。


何という状況。


まだ身体の中にも頭の中にも、智のステージの余韻が残っていて
胸はドキドキして収まる気配を知らないのに。


それなのに。


アリーナに翔くんがいてびっくりしたぁと言いながら
ニコッと笑って抱きついてくる智がいる。


あの智が。


自分の胸に顔をうずめぎゅっと抱きついてくる。
その状態にどうしていいのかわからずただ立ち尽くしていると
智がどうしたのって顔をして見上げた。


何という現実。


考えられない位の才能と人気を目の当たりにしてきた自分に。
まだ現実世界に戻ってこれず夢か幻を見ているような気分でいる自分に
何の躊躇いもなく抱きつき真っ直ぐな視線で見つめてくる。


あの智が。


何という恍惚。








そんな状況の中。


智は、もう、来てるなら来てるって言ってよね~びっくりしちゃったじゃん
なんて言いながら可愛らしく口を膨らましている。


「……」


夢の世界なのか現実の世界なのか、もはやわからない。


さっきまでステージで見ていた智が
今、目の前にいて一緒に酒を飲んでいる。


今まで何度も一緒に過ごしてきたけど、今日は特別。


緊張して何を話していいのかも
どうふるまったらいいのかもわからない。


目の前の智の後ろには何万といるファンの姿とペンライトが見える。
智の手を見ると指の先まで神経の行き届いた美しいダンスを思い出す。


耳を澄ますと先ほどまで聞いていた智の透き通るような歌声と
ファンの子の歓声が聞こえる。
智の顔を見るとキラキラしたステージが見える。


やっぱり、無理。







そう、思っていたのに。


「今日の翔くん、ヘン」


と言って、いい感じに酔った智がじっと見つめてきたかと思ったら
俺の両肩に手をおいて押し倒してくる。


顔の上にはあの時と同じ智の顔。


あの智が。


息をすることさえ忘れ、ただ見つめる事しかできない。
智がふっと笑って、ゆっくりと身体を傾け俺の額にちゅっとキスを落とす。
そこから身体中に電流が走るのが分かった。


でも智は気にする事なくそのまま頬に、首に、鎖骨、指先にとキスを落としていく。
もう、身体も心も智に完全に支配されたまま。
ただ、受け入れる。


身体中が痺れている。


智は一通りキスをすると、またじっと見つめてくる。
でも何もできず、何と言っていいのかわからず口をパクパクさせていると
じっと見つめていた智が妖艶な顔でまたふっと笑った。


そしてゆっくりと身体をまた傾けてきて、今度は唇にチュッとキスを落とした。


もう何も考えられない。
考えることができない。


だからもう、俺は考える事を放棄した。


目の前には愛すべき美しい人がいる。


芸能人だとか、ファンの子とか、大きな舞台とか、
背中に羽が生えてるとか関係ない。
一人の自分の愛する人がここにいる。


そう思いながら身体を反転し智を下に押し倒す。
目が合うと智が嬉しそうにくすっと笑った。
その顔に、好きだと言ってキスをする。


もう何も考えられない。
だからもう何も考えない。


智の腕が背中に回ってくる。
身体中にまた電流が走ったのがわかった。
そしてそのままお互い求めあうようにきつく抱きしめあう。


唇を重ねると智の唇が小さく開く。


あの智と。


何という現実。


何という恍惚。


その状態にめまいを覚えながら、
その中に舌を差し入れると深く角度を変え何度も抱き合いキスをした。










ベッドの中。


背中を向けている智の肩甲骨を指でなぞると智がなあにって顔で振り向いた。


「いや、どこに羽が生えてんのかなって」


そう言うと智は生えてるわけないじゃんって顔をしてくすっと笑って
そのまま身体をこちら側に向けた。


「今日の翔くんやっぱり、ヘン」


そして、そう言ってまたくすくす笑った。





智はきっと気付いていない。


今回初めて目の当たりにしてどれだけ圧倒され
そしてどれだけの才能を感じさせられたか。


多分それはあれだけのステージを魅せておきながら
自分では大したことではないと思っているのもあるのだろう。
そしてあれだけの才能を魅せておきながらも
まだまだだと思っている部分もあるのだろう。


あの圧巻で圧倒的なステージは智が何年も積み重ねてきた
努力の集大成のはずなのに、それを感じさせない智。


でもそういう謙虚で自然体の智がやっぱり好きなんだと思う。




そして智はきっと知らない。


初めて参戦した智のコンサートは、
自分にとって一生忘れない特別な日となったことを。


そしてそんな日に。


智と会ってこうして一緒に過ごしていることが
どれだけ自分にとってとても大きな出来事で、
特別な日となったかということを。







「愛している」と言うと、智が嬉しそうに小さくうなずく。




そしてその華奢な身体を抱きしめ、またその唇にちゅっとキスをする。




そう。




これは特別な時間。




そして今日は、特別な日。


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2 コメント

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奇跡の人です (白紙)
2017-10-09 20:59:01
 大野君が踊る姿を間近で見たら、本当に不思議な気持ちになってしまうと思います。着地が、まさに舞い降りる感じで。最近面白い方に流れ気味の気がするけど、綺麗に舞い踊る系の振り付けにしたら、本当に羽が生えているように見えることでしょう。読んでいて、翔さんの気持ち分かる~と、頷いてしまいました。私事ですが、今回のツアー、初めてまともに当たりました~。4年前、ファンクラブに入った年にアラフェス’13の復活当選で開放席に入れていただいただけで、それ以来落選続きでした。1人きりなので少々不安ですが、智っさんの踊りを目に焼き付けてきたいと思います。今回のお話を読んで、更に楽しみになりました。いつもありがとうございます。それではまた。
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白紙さんへ (きらり)
2017-10-10 17:42:12
白紙さん、コメントありがとうございます。

性格とかも含めて本当に奇跡の人ですよね。
ダンスは本当に不思議で。上手な人はたくさんいらっしゃいますが
大野さんのは何というか軽やかに綺麗に舞うって感じなんですよね。
それが何というか凄く惹きつけられて離さないというか。
不思議な事にクリフクライムとかでも軽やかで美しくて見ていて惹きつけられます。
すぐに面白い方に行っちゃうのが本当に残念です。
おおっツアー当たったのですね。おめでとうございます~。楽しんできてください♪
ダンスも楽しみですね。更に楽しみになったと言って下さって嬉しいです。
こちらこそいつもありがとうございます♪
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