本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

力ある人は非常に静か

2024-06-07 17:21:01 | 十地経

力ある人というと

権力者ということを

思い浮かびますが

やはり仏教ではそいう力

ではなく、

能力ある人という意味に

なるのです。

 

十波羅蜜の第九番目は

力リキ波羅蜜です

六波羅蜜の次が

方便波羅蜜、次が願波羅蜜

力波羅蜜、智波羅蜜と続き

ます。

善き師について

正しい教えを聞き思惟し

劣った意欲を勝れた意欲に

転じ、実行する力

ということです。

 

力という実践行

意欲があっても持続しない

七地沈空という

空に沈むということもあり

そういう時に諸仏の激励が

あって、また修行に励む

ということがあります。

 

まあ、そういう意味で

力(りき)ということは

七地の中で重要な言葉です

 

「この力という字が、

七地の大事な点です。

八地になればもう力を必要

としないのです。

六地まではまだ力にならん

 

初めて力というものが、

この遠行地オンギョウチという、

つまり人間の努力の行、

人間の努力の極致という

ようなものです。

遠行地とはそういう意味

です。

 

だからまだ努力が足らん

もんなら力はないんだし、

努力というものがないのが

八地なんです。

だから努力の極致という

ような点がですね、

初めて力という字で代表

されるんじゃないかと

思いますね。

 

力のある人と。

それは非常に静かだと。

自己を主張せんと。

 

お前は駄目じゃないかと。

その通りですと。

 

こういうのが力のある人

だというんです。

何くそなんてこと

いうんじゃないんだ。

頭が下がっとる。

下がる人は、これは力の

ある人だというんだ。

 

自力無効というような人は

そうなんだ。

自力無効とは、腰抜かした

というんじゃない。

本当に他力という力に

触れた人が自力無効ですね

 

それは非常に静かな

もんじゃないかと思います

興奮なんかせんのです。

それから質素という

文章にしても。

諄々として説いて。

言葉も非常に少ないんだ。

そして地味なんだ。

 

そういう人が力ある人と

思いますね。

本当に力ある人は静かだと

思うんです。

質素なんです。

 

だからこの力という字が

ちょうどニーチェでいう

ライオンを思わせるね。

八地は子供です。

六地以前はこれ、ラクダ。

ふうふういっとる。

やっぱり力というものの

象徴はライオンや。

この力という字は七地を

表すのに非常にいい字です

ね。」

 

ライオンとラクダと子供

これはよく修行の段階にも

表されます。

初めは柔順で何事も素直に

よく聞いて修行に励む

最初から自分を出したら

修行になりません。

それから、

自立するというか

独立心というか

責任を持って立つという

そういうのを象徴するのが

ライオンというのです。

 

諄々とやっていた修行が

大きな転換を迎える

そこが七地というのです

そういう意味で力という

ことが出てくるのでしょう

 

最後は子供のように

遊びも仕事も区別がなく

すべてに遊べる

こういう心境になれば

八地、仏の境地

なのではないでしょうか。

 

 

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