宇宙(そら)を見上げて

謎の天文機材技師 ☆男(hoshiotoko)のブログです。

堂平の宇宙(そら)から2

2016-03-10 18:55:00 | 堂平の宇宙(そら)から
技師長の笠原です。
私がブログでこれらの記事を書くのは、Nikon望遠鏡へのリスペクトと
後世への情報継承のためです。この望遠鏡は日本天文学の歴史そのもの
だと思っております。
なお、堂平天文台関連作業はボランティアではなく、私の会社である
有限会社エイエフテックが、ときがわ町(星と緑の管理委員会)から
正規に受注した仕事であります。

今回は1992年に更新された望遠鏡コントロールラックをバラシ・清掃・チェック
しました。その他にも色々と検討中。

メインコントローラを引き出す。


驚異のフルロジックIC(Nikonオリジナル基板)
静電気でやっちゃわないように丁寧に清掃。


その下の段には三菱シーケンサとパワーリレーが鎮座。
まずは全ケーブルやラック、内部をくまなく清掃し、コネクタやらジャックを
丁寧に見て回ります。


三段目はPOWER LINE CONTROLLER。


綺麗な配線だね。


四段目は赤経・赤緯粗動モータ用電源だな。
このセクションの配線は上手では無い。担当者が異なるのだろう。


ケーブルも全部綺麗に拭き上げ、24年分の汚れを落とした。


なんだか新品のようになった。


hp-1920A マルチファンクション・シンセサイザー。


これが一体何をやっているのか謎だったのですが、本日判明。
なんとHP-IB(GP-IB)でPC-9801RXと接続されており、恒星時、太陽時、任意周波数
を作り出していたのである。コントロールラック側だけでも恒星時や太陽時追尾
が出来るし、PC-9801RXが無くても(電源OFFでも)望遠鏡は使えます。
PC-9801RX側の制御ソフトが起動すると、主導権をパソコン側が握る仕組みに
なっていました。操作パネル側がローカル・ロックアウトになったりします。

PC-9801RXはリミットセンサーなどを直接は見ておらず、コントロールラック内の
三菱シーケンサとPIO24/24を使って通信している。うーん、やるなあ~。
但し、ハイデンハイン社のロータリーエンコーダはPC-9801RXのエンコーダI/Fに
直結で入っていた。つまり、コントロールラックは位置管理をやっていない。
自動導入はPC-9801RX無しでは実現できない構造である。
しかも・・・
約360倍速での導入(粗動)は、クランプ切り替え動作が入ってインダクション
モータで行っていると言う複雑さ。更に、赤緯にはタンジェントスクリュー機構
まで付いていてメンドクサイことこの上ない。


1992年(開発は1987年ごろからか?)であればマイコンも使えるようになった
時代である。枯れ果てたZ80システムやHD64180が全盛期。
ボチボチとH8系も出始めた頃だった筈。
が、
あえてフルロジックでオリジナル基板をおこしたNikonは凄い・・・
まあ、いろんな意味で凄いのである。
何しろ軸の駆動はジョイスティックで行い、アナログ的に可変速なのである。
それがコントロールパネルにもあり、ハンドボックスにもある。
V-F変換ICが見えるだろうか? 超メンドクサイねコレハ。
更に、PC側から来る制御パルスや恒星時パルスを切り替える為のマルチプレクサ
までロジック組みの感動作だ。Nikonオリジナル基板。
ワンオフかねコレハ。

機械原点基準で天頂出しを行っているようだ。
コントローラでほぼ天頂に向け、PC-9801RXの制御ソフトを起動すると自動的に
原点検出(エンコーダのゼロ点出し)を行い、終了後にこの画面になる。


先のhpシンセサイザーはこの画面で制御している。
HP-IBコマンドが飛んで行くんだねえ~(^^♪


前回の誤認で赤経・赤緯の座標表示が無いと書いたが、別画面に有りました。


以下は覚書き動画








今回の調査でほぼ制御内容を把握出来ました。
それでは次回をお楽しみに!

コメント (10)
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