宇宙(そら)を見上げて

謎の天文機材技師 ☆男(hoshiotoko)のブログです。

ASI294MC_Pro+600mmF4ではラッキーなイメージングじゃなかった。

2019-03-17 19:17:00 | 天体写真(冷却CMOS)
昨晩、いつもの森へ行って来ました。
夕方まで雨模様だったのですが、DSO狙いとしては期待できる
気圧配置で、予想通りの好シーイングでした。

用事を済ませて出発が22時、現地着23時。

アレ? 誰もいないじゃ~ありませんか!

まあ、お月さんが2時30分まで居るため、実質2時間程度しか撮影
出来ませんが、昨今のNarrowBandImagingブームでツワモノが
いらっしゃると思ったのですけど。

という事で、今回はASI294MC_Pro+ZWO-CN15F4(600mm)でテストです。

NGC4145_NGC4151付近 , Gain=250 , 120X60s , 2h total
Dark=5 , SkyFlat=5(等倍なのでデカイですよ!)


7200秒加算してこの程度です、ハイ。
光害地で600mm程度の焦点距離、しかも、たった60秒露光の画像に
フラットを当てたらどうなるか・・・
ま、
ただの超露光不足画像ですよね。
それを120枚加算しても、この程度ってことです。

・結果として言えること・・・
    |
    +->県民の森Pという光害地で600mm程度の焦点距離、かつ、まっとうなフラットを
         当てた場合、ただの超露光不足画像になるだけである。
         600mm程度なら、普通に露光して加算平均した方が良い。

ちなみに、
ダーク画像だけ当てて10枚加算したのがコチラ。


183MMならフラット当てても大丈夫そうですね。
ラッキーなイメージングは、フラットが難しいという事です。

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撮影日時:2019/03/16-17
撮影場所:県民の森P
天候:快晴、弱風、結霜なし
気温:-3℃
星空指数:県民の森Pとして90%
シーイング:5/5

撮像鏡筒:ZWO-CN15F4 , 15cmF4 , fl=600mm
カメラ:ZWO-ASI294MC_Pro (Sony IMX294CJK Back Side Illuminated CMOS 4/3inch)
FilterWheel:無し
コマコレクター:SkyWatcher ComaCorrector F4
Gain:250
冷却温度:-20℃
露光:60sec X 120枚
Dark:5枚
SkyFlat:5枚
ファイルフォーマット:Fits 16bit

赤道儀:TS-90s
ガイド:50mmF4ガイドスコープ + QHY5L-ⅡM+PHD2_Ver,2.6.3
極軸合わせ:90s極軸望遠鏡+PHD2のドリフトアライン機能

ASCOM Platform 6.3
撮像ソフト:SharpCap3.2_Pro
現像ソフト:SI7
微調整:PhotoShopCC_2019
撮像用PC:ASUS T100HA Win10_64bit , USB_3.1C
ガイド&FilterWheel用PC:ThinkPad SL510 Win10_32bit , USB_2.0

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・ドリフトアラインにて極軸を合わせ込んだ。
   |
   +->これにより、撮像全行程に於いて星の位置ズレがほぼ無かった。
        PHD2による位置ズレ問題は、実は極軸設定の甘さが絡んでいそうである。

・16日夕方まで雨ながら、21時からは快晴微風。
 更に高気圧の後端、等圧線1本と言う好条件に恵まれシーイング5/5(天頂付近)。

・PHD2のガイドパラメータ、R.A.アグレッシブネス=20、DEC.アグレッシブネス=50とした。
 90sの場合、モータードライブが停止か2倍速などと粗いため。
 これにより、RMS=1"角台で推移。前回とは雲泥の差である。

・極軸設定が甘い状態で赤緯軸目盛環を再設定してはいけない。
 前回の極軸設定ミス時、うっかり赤緯軸目盛環を再設定してしまい、0.5度程も
 狂っていた。反省しきり。

・撮像用PCをT100HAにして可動運用したのは良かったが、
 何故か2時頃に突然ブラックアウトしてダウン!!
         |
         +->バッテリー容量はまだまだ残っていた筈だが、
              一気に、突然ブラックアウトして落ちてしまった。
              一旦はAnkerモバイルバッテリーで再起動させたが、
              どうにも動作が遅くてダメダメとなった。
              修復プロセスが動いていたと思われるが、ACアダプターで
              再起動させて運用再開。しかし、しばらくは動作が遅すぎる
              状態が続いた。その後、まあまあ復活して最後まで撮像出来た。
              Dark , Flatを撮る頃には普通に使えるように戻っていた。

   どうも内部バッテリ駆動で外部機器を繋げるのは不安定のようだ。
   そもそも、バッテリーだけだと起動すらしないダンマリ現象があったから
   ACアダプターでの運用としていた。Ankerのモバイルバッテリーで運用すれば
   大丈夫かもしれない。
   今回、PCを分けていたので助かった。これは大きなメリットである。
   撮像がコケた時も、PHD2やステラには影響が無かった。

・本当はASI183MM_Proをメインで使う予定だったが、2時間しかない状態では無謀だった。

・コマコレのバックフォーカスをキッチリ測定して再設定した。
 好シーイングの助けもあり、素晴らしい撮像結果を得られた。
    |
    +->600mmでは51.66mmが指定値だが、フィルターを入れることを想定し、
         52.5mmにセットした。(3mm厚フィルターで+1mm焦点距離が伸びる)
         ⊿t=t(1-1/n) , t=基板厚 , nは屈折率で、約1.5(BK7,540nm)とした。

           が、

       LPS-P2を入れ忘れたという・・・
       それでもこの星像。ComaCorrectorF4素晴らしい!


・やはりLiveViewは使い易い。
 ピントもシーイングも手に取るように分かる。
 バーティノフマスクは使わなかった。

・Flat画像には、60secのダーク減算を適用した。

・バッチ処理をやる必要あり!!
   |
   +->ワークフローを登録してバッチ処理すれば良い。
        今回は”ベイヤーRGB変換1”というワークフローを作成し、60枚一気に
        処理した。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・1カット1分なので、頭から10枚一組で加算処理(ダメ画像は外す)。
 RGB変換を行う。
 オートストレッチ、マトリックス色彩補正、デジ現は一切行わない。

       ↓

 120枚全部の処理が終わったら、この12枚を更に”加算、バイキュービック”する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

って思ったが、294MCの1画像は22.3MB、183MMは38.4MBなのであった!!
つまり、
60枚一気に読み込んで処理しても、メモリー消費量が8.5GB/15.9GBと余裕だった。

         な~んだ、183MMより余裕があるではないか。

という事で、初めの10カットは10枚でコンポジットしたが、残りの110枚は2回に分けて処理すれば良い。

・コンポジットの際、基準星を指定し、FWHMと評価計算値を見る必要がある。
 今回のFWHMは、概ね3.5~4.2の範囲で収まっている。
 位置合わせ後の合成結果=3.96であった。(選択する星の明るさによらない)
     |
     +->ASI294MCは1画素4.63μmであるから、18.33μmである。




・1カット60secだとガイドミスも皆無だ。
 120枚全てが使えなくても、選別する余地がある。←結局、1カットもミス無し。
 同じ2時間露光でも、従来通り1カット10分×12枚だと、諸々の失敗が懸念される。
 10枚加算すれば同等になるなら、像もシャープだし、その方が良いに決まっている。
    |
    +->出来た画像の露光時間が 7200sec になっている。
         真っ白になるかと思ったが、ならなかった。

・バッチ・ワークフロー処理をして出来た大量ファイルを、どうやって自動保存するのか?
 それもワークフローで設定できるのか?
 これが出来ないと、再処理の時にメンドクサイ。
    |
    +->この辺りは今後考えれば良い。

・120枚(120分)で1枚の失敗も無かった!!

・結果として言えること・・・
    |
    +->県民の森Pという光害地で600mm程度の焦点距離、かつ、まっとうなフラットを
         当てた場合、ただの超露光不足画像になるだけである。
         600mm程度なら、普通に露光して加算平均した方が良い。

コメント
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