鏡筒先端側から撮影。
15cmアクロマート鏡筒のふた開閉機構修理。
止めねじがシングルナットのため、開閉振動で容易に緩んで
しまい、結果としてロッド部が”逆への字”となって開閉困難
になっていました。
長穴化+止めねじをダブルナットに変更し、カッコ悪いけどロッドの引き過ぎ
防止策を施して修理完了。
やや強めに引っ張ってロッドを回転固定すればしっかり開閉出来ます。
念願適い、赤経軸ギアトレーンのグリス変更を実施できました。
ウォームギア部は黄色いグリスですが、これは極圧有機モリブデングリース、
ウレアベースの物です。通常の二硫化モリブデンだと経年劣化の基油蒸発に
よってモリブデンのドロのようになるため、次の保守時まで持つように配慮。
追尾用ギアトレーン部も、ウォームは極圧有機モリブデン系、
平ギアはワコーズのハイマルチHMG-U(赤グリス、-30°~200℃)に
入れ替えました。
赤経軸ウォームホイール、粗動用平ギア、クランプ用ギアです。
赤経軸クランプ機構ギアトレーン部。
ベベルギア部はワコーズの高加重用ブルーグリスBLG-Uです。
赤緯軸クランプ機構部。
赤緯軸粗動部はウェイトカバーの中にあります。
クレーンを使ってウェイトカバーを吊り開き、中にアクセス。
赤緯軸タンジェントスクリュー微動機構部。
ユニバーサルジョイント部もグリスアップ済みです。
タンジェントムービングピースをバネ押ししている・・・
解かります? 泣かせる構造です!
他にも沢山ありますが、このくらいにしておきます。
特に赤経軸ウォームホイールと赤緯軸タンジェント機構のグリスは
カラッカラで無いに等しかった。
だって30年くらいは給油メンテナンスしていないのですから。
見ての通り、スバラシイ機械構造をした赤道儀架台です。
電気制御系統に続き、機械系統も動態保存を実施致します。
もう、この5年間ず~~っと気になっていたのですよ、グリス切れが。
やっと実施させてもらい、これで安心して次の20年を・・・
以前ボランティアで関わって来られた方々へ。
大丈夫ですよ! この望遠鏡はまだまだ現役で使えます!
早くコロナ禍から解放され、また賑やかな観望会を再開させたいですね!
特にメカ部のグリスアップ、興味深く拝見しました。
私の赤道儀もそろそろメンテナンスが必要みたいなので参考になります。
以前に観望会で91cmを覗かせてもらった事がありますがその時は何処かの恒星だったので大口径の威力は良く解りませんでした。
暗いドームの中でリフトに乗って接眼部まで上昇するといチョット怖い事も思い出しました。
そうなんですよ。
この望遠鏡全体がプロ仕様なので、一般観望会を安全運用するための対策が大変なのです。
あの大きな油圧リフターには一部柵を付けてありますが、問題も多いです。
作業者側として怖いのはキャットウォークに柵が無いことです。
ココは関係者しか登れませんが、夜間に踏み外したら大変危険です。
プライム撮影をやる場合、ハーネス装着必須です。(もう何十年も使っていない)
もっと安全に有効活用したいものです。