息子から誘われて久々にキャッチボールの夕暮れを過ごす。この間から気がついているのだが、どうも上半身だけで投げている。年齢のせいにして楽をしたがっている。それを意識すれば暴投になるし、コントロールが定まらない。往年の、果たしてそんなものがあったのやら極めて心もとないが…、イメージだけが先走ってもどかしい。調子の波に乗る前に労われてしまった。
「父さん、明日があるさ」
「父さん、明日があるさ」
フラットマンドリンの弦を取り寄せた。ネットは便利だ。おかげでこの地域では到底求められない、その筋ではブランド品といわれるものがお値打ちな価格で購入できた。当初考えていた予算分で2セットも買えたのはありがたい。注文した後で函館市のショップだと気づいた。ネットならではの妙かも。津軽海峡を越えて遥々来たぜ。あの歌詞とは逆か。さっそく張り替えて弾いてみる。今までの音は何だったのだというぐらい響きが違う。テンションが強く感じられるのだが、ぼくの左手も鍛えられたのだろう、動じない。なじんで行く。石の上にも3年か…、感動したのはそこまでで、弾く曲が音楽になっていないのを自覚する。
キャッチボールにしろ、マンドリンにしろ、さらに堅忍不抜の精神だ。
* 堅忍不抜…どんな困難や誘惑にも心を動かさず、がまんすること 三省堂「大辞林 第二版」より