それから電源を入れて立ち上げてもらったが、Windows2000なので、ユーザー名とパスワードを入力しなければならない。これが彼らには厄介な作業となった。パソコンにおける最初の関門だ。ようやく全員がデスクトップ画面になったところで、3限目終了のチャイムがなってしまった。前説が長すぎたかな。それでも休憩時間の間もみんながパソコンに熱中してくれるようで何とか回復できそうだ。そのままお絵かきに突入する。さまざまなワザに挑戦してもらったが、消化不良にならぬよういささか進行は抑え気味にと心がける。どうにかパソコンの楽しさを伝えることができたように思う。
終わりの挨拶が済んでパソコン教室を出るときの彼らのしぐさがぼくへの成績表なのだと考えている。明るい笑顔を向けてくれる子、名前を呼んでくれる子、抱きついてくる子、それぞれの個性でぼくを慰労してくれるかのよう。優しい子らにどうにか受け入れてもらえた気がする。また支えてもらったの思いを強くする。これからの一年を思うと幸先のよい立ち上がりだ。ぼくも成長させてもらえるような予感がある。
ブルーグラスの師匠のお宅がすぐ近くなので立ち寄りたいと思いつつ仕事の都合で断念した。夜、偶然にも彼の方が教室を訪れてくれた。思いは通じるものなのだ。そこで師匠から借りっぱなしのマンドリンを弾いてもらい調節してもらった。巧みな指さばきを見るまでもなく音色がまずブルーグラスそのものだ。同じマンドリンがかくも違う音楽を奏でる悔しさ。願わくばその左腕を交換したいと申し出たほどだ。WOODSONGSの番組をCD-ROMに焼いたものを7本ほどやっとお渡しできた。サム・ブッシュさんのプログラムが含まれているのをことのほか歓んでもらえた。パソコンでしか鑑賞してもらえないのが残念だ。