鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.504 (医師会勉強会)

2015-04-18 10:59:54 | 日記
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鶴岡地区医師会勉強会
「どうなる、鶴岡のそして山形の医療?!
 ケア需要予測とケアサイクル論から考える未来医療」
一般社団法人 未来医療研究機構 代表理事 長谷川 敏彦 氏
日時:1015年4月17日
会場:医師会3F講堂
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長谷川先生とは、12年ほど前にNet4Uの開発者である秋山先生が「僕が開発したシステムを見て欲しい」と鶴岡に連れてきたことがありその時が初対面だったようです(実は良く覚えていないのです)。それ以来の来鶴のようですが、Net4Uのことを覚えていて、Net4Uのその後を知りたいとのリクエストがあり、講演前の昼の時間帯にNet4Uの在宅医療における活用などについてプレゼンさせて頂きました。

長谷川先生の講演は、e-learningで一度拝聴したことがあり、斬新な内容でとても面白かったという記憶があります。今回の講演でも、人口動態を含む多くのデータを駆使し、人類の進化や歴史を踏まえながら、これからの日本、地域社会、とくに山形県、鶴岡市の医療・介護がどう変化していくのか、その課題と対策などにつきとても興味深い講演を聴講しました。

これからの日本は、世界のトップを切って、”50歳以上人が人口の60%以上を占める”という今まで人類の歴史上経験したことがない、”想像を絶する時代”を迎えます。そのような時代のなか、医療の分野も大きな転換の時期を向かえています。

超高齢社会ではケアサイクル(慢性期~急性期を繰り返す)という概念が必要で、そのためには、診療所、病院、施設、生活資源など、ばらばらに回っているサイクルを地域全体で回す必要があります。そのためには、多職種のチーム化、電子カルテによる情報の共有(ケアサイクルカルテ、ケアサイクルノート)、個々の専門医をつなぐ総合診療医の育成などを整備し、ケアサイクルマネジメントが必要で、その要件として、高齢者の参加と覚悟、医療福祉統合システム、インターフェース、チームと評価、新たな人間観、疾病観と教育があると説きます。

最後に、鶴岡は人類が経験したことが未曽有の超高齢社会の希望の光であり、鶴岡ができなければどこもできない、鶴岡が人類を救う!と激励の言葉を頂きました。人類が経験したことがない”有り得ない社会”に対して、医療者としてのわれわれはどう対応すべきか、また一個人としてどう生きるべきか、大変示唆に富んだ講演でした。


第1部 社会


 大転換する社会 人口遷移で日本は別の国に
 これからの時代は、50歳以上が人口の60%(65歳以上が40%、75歳以上が28%)を占める高齢者社会となる
 過去の人類の歴史上あり得ない、想像を絶する時代(50歳以下が80%以上というのが今までの歴史)
 進化の歴史上、生殖後人口が半分以上というのは、有り得なかった(通常動物は生殖年齢を終えると死ぬ)

 大転換する人生
  長寿改革で人生の第2トラックを考えなければならない時代へ
  就職中の時間と定年後の時間がほぼ同じになった
  第2のトラックでは、新しい人間観、健康論、社会保障、医学体系、医療システムが必須

 大転換する家族
  独居、夫婦のみ家族が60-70%を占める家族構成となる
 
第2部 列島


 人口の都市への集中と地方の収縮
 地方が生き残るためには、住むのに魅力的なまち(伝統、文化、食べ物・・)そして「人」
 大転換する需要 
  ~介護・高齢者医療倍増、入院・外来は増えず~

第3部 医療


 大転換する医療 ~治すから支えるケアサイクル~
 ケアサイクル=急性期ケア、回復期ケア、長期ケアを繰り返して、末期へ
 地域包括ケアシステムには、ケアサイクルの概念が必須
 そのためには、診療所、福祉施設、リハ病院、病院との連携が不可欠
 後期高齢者の入院回数と要介護支援者数はほぼ同数推移する

第4部 供給
 

 医療機関は、「専門」、「総合」、「混合」、「長期」の4つの機能へ分化
 19世紀の医療から21の医療への大転換
  年齢:50歳までから85歳以上へ、
  病気:単一疾患から多疾患へ、
  目標:治癒から機能改善へ、
  場所:病院から地域へ

第5部 総括


 未知の大海へあと50年で終着
 バッドニュース:大規模災害、政治動乱、高齢津波
 グッドニュース:豊かな歴史資源、
 21世紀型人口社会という未踏の荒野へ、日本は時期刻々と世界新記録を更新、総日本人研究実験者

配布資料1


配布資料2

 
懇親会


なお、長谷川先生は石原莞爾を崇拝しており、石原先生とのツーションは、記念になったかも?

おまけ

医師不足の本質から日本の医療を考える

http://ikss.net/enterprise/images/159.pdf

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