9月8日に行なわれた連携パス推進協議会全体会で、山形県5大がん地域連携パスアンケート調査結果が報告されました。
5大がん(胃がん、大腸癌、肺がん、乳がん、肝がん)の地域連携パス(がんパス)は、県内統一パスとして5年前からがん拠点病院を中心に運用されています。当地区でも平成23年から荘内病院を中核病院として粛々と運用されてきました。平成26年末までの4年間の登録数は109例(胃がん:31、大腸癌:34、肺がん:16、乳がん:4、肝がん:0)です。
がんパスの効用として、
病院の主治医と身近なかかりつけ医の二人主治医制となることで、患者さんをよりトータルにフォローすることができる、
計画表を共有することで今後の治療や検査の予定、注意点などが分かり、患者さんの安心感につながる
病院への通院時間や待ち時間が短縮され、患者さんの負担が軽減する
多忙な病院医師の負担軽減になる
などが想定されていますが、実際に患者さんの役に立っているのか懐疑的な医療者が多いのが現状かと思います。そこで、がんパス(私のカルテ)を利用した患者さんやかかりつけ医の声を聞こうと企画されたのが今回のアンケート調査です。
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患者向けのアンケートでは、私のカルテ(患者用パス)が役立っているとの回答は83%、今後も「私のカルテ」を使用して、病院主治医とかかりつけ医の両方で診てもらいたいとの回答は88%にのぼりました。この結果は、われわれ医療者の予想をはるかに上回るもので、患者さんはがんパスに好意的であり、期待感が大きいことが示されました。
一方、医療者側のがんパスに対する意識は概して低く、患者さんの期待~思いに十分応えていない現状が示されました。かかりつけ医がより積極的に活用することで、患者さんにとってより安心で守られ感のあるツールに成り得ると思いました。
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患者向けアンケート
依頼数:69
回答数:48
回収率:70%
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Q、かかりつけ医を受診しているか
受診している:98%
Q、「私のカルテ」をもっているか?
はい:100%
Q、「私のカルテ」に記入しているか?
いつも~時々記入:59%
Q、「私のカルテ」をかかりつけ医に見せているか?
見せている:79%
Q、かかりつけ医は、「私のカルテ」に記入してくれるか?
記入してくれる~結果を渡してくれる:75%
Q、「私のカルテ」は役立っているか?
役に立っている:83%
Q、役に立っている理由
診察・検査の予定がわかる>把握できる>相談しやすい
Q、今後も「私のカルテ」を使用して、病院主治医とかかりつけ医の両方で診てもらいたいか?
はい:88%
Q、「はい」と答えた理由
安心できる>予定がわかりやすい>異常を見つけてもらえる
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医療機関向けアンケート
依頼数:55
回答数:33
回収率:60%
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Q、連携医療機関登録はしているか?
はい:48%
Q、登録しない理由
専門外>手続きが面倒>手続きの仕方がわからない
Q、算定できることをしっているか
知っている:70%
Q、報告書を送付しているか?
送付している:46%
Q、送付していない理由
知らなかった>面倒
Q、患者さんは「私のカルテ」を持参するか
持参する:55%
Q、持参時に記入しているか?
記入している:49%
Q、「私のカルテ」の問題点は
記入欄が小さい>計画表のはさみ場所が分かりにくい>手書きが面倒