鶴岡地区三師会
日時:2月17日 19:00~
場所:グランド エル・サン
毎年行われている恒例の鶴岡地区医師会、歯科医師会、薬剤師会の懇談会です。
今回は医師会が当番とのことで、私から「Net4U ~16年の歩みとこれから~」と題し、プレゼンテーションをさせて頂きました。
Net4Uは、2000年の経済産業省の事業で開発されたが、この事業を受託できた背景には、その数年前から、鶴岡地区医師会では、イントラネットを構築し、
さまざまな情報提供や交換、毎日メール運動、在宅患者情報共有システムや医師会検査データ閲覧システムの開発など活発な活動があった。
旧Net4Uは、2号用紙形式に複数の施設の情報が表示されという斬新かつ使いやすい時代を先駆けたシステムであった。
2012年には、ストローハット社の開発により、医療と介護を繋ぐヘルスケア・ソーシャル・ネットワークNet4Uとして
おもに在宅医療における医療・介護連携を目指したシステムとして全面改訂された。
新Net4Uは、在宅医療における医療と介護の連携をおもなターゲットに開発されたSNS的なシステムであるが、
電子カルテとしての要件を満たしており、在宅医療のみならず、病病、病診連携などさまざまな局面で活用できる仕様となっている。
因みに、わたくしの医院では、全患者を登録し、地域と繋がる、診療所用電子カルテとして活用している。
Net4Uとちょううかいネットの違について聞かれることがある。
ちょうかいネットは、医療機関を繋ぐネットワークそのもので、おもに病院の電子カルテを閲覧できる仕組みである。
一方で、Net4Uは電子カルテであり、ちょうかいネットとNet4Uは、全くの別物である。
山形県には、医療圏ごとに4つの医療情報ネットワークが整備されている。
とはいってもべにばなネット、もがみネットは、あまり機能していない。
Net4U参加施設、鶴岡地区の参加施設数:近年、介護系施設、薬局の参加が増えている。
一方で、診療所の参加施設が増えないというジレンマがある。
2017年1月末現在での登録患者数は、5万人を超えた。
現在、鶴岡以外では、富山県、宮崎県、新潟県、長野県など、全国の6地域、800程度の施設に導入されている。
なお、新潟市では、450施設に導入され、SWANネットと呼んでいる。
2013年から2015年、過去3年間の職種毎の利用状況を調査してみた。
利用実績のある職種毎のユーザー数の年次推移。青が2013年、赤が2014年、グレイが2015年で、各職種毎のユーザー数の推移を示している。
医師は47人から40人へ減、看護師は43人から53人へ増、ケアマネは、65人から72人へ増も、頭打ち。
薬剤師は著変なく、リハスタッフは微増、歯科医師は減少傾向にある。注目すべきは、医師の減。
次グラフは、各職種のNet4Uへの書き込み数の年次推移を示したもの。
医師の書き込み数に著変はないが、看護師、リハスタッフ、ケアマネ、薬剤師の書き込みは年々増加傾向にある。
円グラフは、職種毎のユーザー数の比率。
ケアマネ34%、看護師25%、医師19%の順であり、ケアマネの参加率が高い。ケアマネと看護師で60%を占める。
Net4Uは、当初、医師間の病診連携のツールとして始まったが、今やケアマネ・看護師が主たるユーザになっており、
在宅医療における、医療・介護連携に、ニーズが高いことが示されている。
三原皮膚科とにしき調剤薬局でのNet4U連携を紹介し、Net4Uの有用性、普及の阻害因子について薬剤師のコメントを紹介する。
歯科との連携では、がん患者の口腔機能管理における医科歯科連携、
在宅医療における食支援(地域NST)における多職種間での情報共有、コミュニケーションツールとしての活用が期待される。
Net4Uは、医療・介護従事者のための患者情報共有ツール、という位置づけで、セキュアなネットワーク上で機能している。
一方、患者家族参加型システム「Note4U」は、一般的なインターネット回線を利用したPHRというべきシステムで、Net4Uとは別のネットワークで機能する。
Net4UとNote4Uをデータ連携させることで、患者・家族側は、Net4Uの検査結果、処方内容を閲覧でき、
見守り情報機能を使うことで、患者の状況を医療者側へ伝えることを可能としている。
また、連絡ノートを利用することで、相互のコミュニケーションが可能となる。
体重、血圧、心拍数、意識障害などの見守り情報を入力することで、患者の状態を医療側(Net4U)へ伝えることができ、
処方内容や検査データは、Net4Uから自動転記される。
患者・家族と医療・介護側(Net4U)との相互のコミュニケーションには、連絡ノート機能を利用する。
すなわち、患者・家族が、連絡ノートに、医療側に伝えたいことなどを記載すると、その内容はNet4Uに表示される。
Note4Uは、操作がより簡便なスマートフォンやタブレットの利用をおもに想定しており、写真の添付や音声入力にも対応している。
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Net4Uは、全国で最も歴史があり、最も実績のある地域電子カルテである。
しかし、診療所の参加率は30%以下に留まり、理想とした「1地域1患者1カルテ」には、ほど遠いのが現状である。
一方で、あらゆる分野でインターネットによるネットワーク化は急速に普及しており、いずれ医療においても、それが当たり前の時代になるだろう。
我々には、この分野のトップランナーであり続ける自負と責務があるのではないか。