先日行われた循環器研究会で、現在新潟南病院 統括常勤顧問 和泉 徹先生の「DOPPプロジェクト」の講演を拝聴しました。
DOPPOプロジェクトとは、簡単に言えば、寝た切り予備軍の高齢者(フレイル)に、早期にリハビリテーション(DOPPOリハビリ)で介入することで、健康寿命を延伸しようという運動です。
今後の医学・医療の最大の課題は人口問題であり、これから押し寄せる超高齢少子化社会をどう乗り切るかが大きなテーマである。
そのためには、健康寿命を延伸することが重要であり、放置したら寝た切りになってしまうフレイルに早期に介入し、独歩状態を維持させることが有用である。
DOPPOリハビリは、ストレッチ、バランス、筋力アップ、有酸素運動を組み合せて行うが、目標はあくまで、自分で歩けること(独歩)。
目標は、300メートル歩行。
和泉先生は、40年程前、荘内病院に在籍したことがあるとのことですが、流暢な話と情熱には感銘を受けました。
以下講義メモ
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庄内循環器研究会 第41回
日時:平成28年7月1日
場所:東京第一ホテル鶴岡 2F 鶴の間
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1、医薬品情報提供
2、一般演題
1)胸部大動脈解離と左冠動脈主幹部への冠攣縮の合併
荘内病院 循環器科 医長 渡辺 智
2)術後に追加治療を要したTAV1の2症例
日本海病院 循環器内科 副科長 桐林
3、特別講演
DOPPO プロジェクトについて
~高齢者の独歩歩行をまもるリハビリ~
医療法人 新潟南病院 統括常勤顧問 和泉 徹 氏
今後の医学・医療、最大の関心事とは、人口問題!
とりあえず、2025年をどう凌ぐか
柏プロジェクト 辻 哲夫
人口のオーナス現象
介護職のニーズの増大
超高齢社会における医療・介護構造 :認知症とフレイル
フレイル :可逆性の病態;早期に介入することが重要
1)歩行速度低下(1m/秒未満)
2)握力低下(男性30kg未満、女性20kg未満)
3)易疲労感
4)活力低下
5)体重減少(年間5kg超)
心手術の患者を歩いて退院させる!
多くの疾患~病態は、フレイルを促進させる
フレイルは水面下で進行する
循環器病診療と再発予防活動:維持期心臓リハビリテーション
予後はアシの健康(筋力)がかぎをにぎる
健康寿命の終点:独歩が危うい(横断歩道、食事歩行、トイレ歩行)、 要介護認定ではない
健康寿命 →独歩不能 →介護人生
高齢者の独歩退院をめざす病院づくり:DOPPO
DOPPOプロジェクト
参加時:30m歩行が怪しい、片脚立ち秒、トイレ歩行が危うい
めざせ300m歩行(在宅退院)
対象除外:聞き分けのないヒト、転倒リスク、入院以前にすでに低ADL
6人に一人に良い結果、(5人に一人が目標)
独歩リハビリ処方の基本要素
ストレッチ、バランス、筋力アップ、有酸素運動、
手順
見守りリハ(リスク評価)、→筋力リハ(歩行訓練)、→ バランスリハ(立ち上がり)、→ 強化リハ、→ 維持リハ(歩行訓練)
歩幅が重要、トップスピードの姿勢が最も最適な姿勢
6分間歩行距離、
対象者内訳:運動器、心血管疾患、廃用症候群、脳血管障害
DOPPOリハビリとQALYを伸ばす、寿命を延ばすこと目的ではない
セルフケアが基本、プロの関与は限定的
超高齢化社会は、人類の課題
2025年問題は、夢をもって解決できる!