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徳川家康

2006年03月03日 | 歴史
徳川家康は、その前半生においてはまるで善人であることが商売であるような、とほうもない善人でありつづけた。わかいころから「三河どのは律儀のお人にて」というのが、かれの一致した世評で、このばあい、律義者というのは正直者、小固いひと、約束をまもるひと、という意味であろう。戦国時代ではめずらしい徳目の具現者といっていい。

かれはその半生において、三人の強者の下請をつとめた。この三人に対して、家康はそれぞれのかれの時代ごとにみごとな弱者を演技した。
今川義元は苛酷であり、信長にいたってはときに冷酷でしばしば家康を生死の苦境に立たせたが、家康は羊のように従順で、ロバのように臆病めかしく自分をみせ、反逆のけはいもみせなかった。秀吉は家康を警戒しつつも優遇し、まるで賓客であるかのようにて鄭重にあつかったが、家康はその優遇にあまえず、秀吉の威を心からおそれるようにふるまった。

秀吉の死後の家康は、豊臣家に対してはまったく別人である。
ながい歳月をかけてみがきぬいた善人稼業を一夜でやめてしまった。と同時に身をひるがえして史上類のない悪謀家になったあたり、家康を英雄とすれば、かれのように人格演出の巧妙な類型は古今東西にない。

                      (「城塞」司馬遼太郎より)


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3 コメント

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そうだったんですネ・・・ (ひろちゃん)
2006-03-03 15:09:34
そんな方だったなんて知りませんでした。

iinaさんには、様々なことを沢山教えてもらっています。

ありがとうございますm(__)m
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Re,秀吉のラブレター (Mr.リタイア)
2006-03-03 17:17:40
TB.有難うございます。

家康は「鳴くまで待とうほととぎす」のように

ゆっくり、のんびりのように振る舞い、機会を

待ち天下を取った人物だけに、本当に「狸おやじ」

ぴったりだ。

日本の政治も「家康」のような人物が必要かも?
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コメントをサンキュー (iina)
2006-03-04 17:27:41
Mr,リタイアさん へ

日本歴史上の正解も、

大きな歴史のうねりからいえば、北政所が徳川方に味方したのは日本のためにはよかったと思うものの、豊臣家にとっては滅びることにつながり、淀殿との確執は怖いですね。

徳川家でそんな役割を演じたのが最後の将軍・慶喜でしょうか。



ここさん へ

きょうは、陽射しが暖かでしたね。

江ノ島へはでかけましたが、鎌倉へはさいきんでかけていませんが、息抜きに神社仏閣を訪れるのもいいです。

抹茶とお菓子のコースも捨てがたい気がします。

コメントをありがとうございました。





はっちさん へ

試写会に当たったとはラッキーでしたネ。

アジアの俳優をよくご存知のようですが、

ストーリーを離れての俳優はこんがらが

ってしまいそう。

「Mr&Mrsスミス」は楽しめるので、どうぞ



kadurinさん へ

>PROMISE・フライトプランも見ましたよ~

久しぶり。さいきん、中国映画もよく見るようになりました。

>真田 広之さんのファンなんですよ・・・

iinaも同じです。それでPROMISEを見たのです。

きのうの日本アカデミーでは主演男優賞をとれずに残念でした。
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