「人外の人」の穢多頭である浅草弾左衛門が行列に葵紋を使ったか
『胡蝶の夢』司馬遼太郎著で読んだと思っていたが、あらためて探したがみつけられなかった。
あるいは、江戸市中で御三家並みという表現に勘違いしたかもしれない。また、大名のように家紋をいくつかもち、源氏の代表紋である笹竜胆や名門しか許されぬ轡紋だったことに幻惑されたかも知れない。
ただ、穢多に許されるはずのない葵紋を行列に用い、そのことを司馬が調べたが分からないとした記憶が生々しく、あるいは数多くの氏の随筆集等を読み漁っているので、その中に記載されていたというのも捨て切れずにいる。
最近知ったところでは、役職についている幕臣なら大抵が拝領の葵御紋の羽織をもっているということ。大層な権威で、悪用する場合、旗本が大名を相手に強談判にゆくときなどこの羽織を着てゆく。相手は畏れ入らざるをえないのである。この種の葵御紋を許されたか?
いずれにせよ、
穢多頭である弾左衛門ごときが大層な権威をもったというのは、例えば吉原は廓内をもって一国とし、別天地をなしている。根も葉もない架空の権威ながら、嫖客のすべてが認めることによって成立する独特の雰囲気が楼にも遊女にもあるいはすべてのしきたりにもあったことからも察することができる。
花魁は松の位の太夫職などといわれたが、松の位が世間のどういう官位に相当するか誰れにもわからない。ともかくも絵空事の権威なのである。
奴隷を仮に大名の姫君に仕立てている絵空事が吉原の稼業であり、絵空事を承知で楽しむのがこの里の客としての最高の価値である通(つう)というものであった。
完
「浅草弾左衛門と葵の紋」にもどる
『胡蝶の夢』司馬遼太郎著で読んだと思っていたが、あらためて探したがみつけられなかった。
あるいは、江戸市中で御三家並みという表現に勘違いしたかもしれない。また、大名のように家紋をいくつかもち、源氏の代表紋である笹竜胆や名門しか許されぬ轡紋だったことに幻惑されたかも知れない。
ただ、穢多に許されるはずのない葵紋を行列に用い、そのことを司馬が調べたが分からないとした記憶が生々しく、あるいは数多くの氏の随筆集等を読み漁っているので、その中に記載されていたというのも捨て切れずにいる。
最近知ったところでは、役職についている幕臣なら大抵が拝領の葵御紋の羽織をもっているということ。大層な権威で、悪用する場合、旗本が大名を相手に強談判にゆくときなどこの羽織を着てゆく。相手は畏れ入らざるをえないのである。この種の葵御紋を許されたか?
いずれにせよ、
穢多頭である弾左衛門ごときが大層な権威をもったというのは、例えば吉原は廓内をもって一国とし、別天地をなしている。根も葉もない架空の権威ながら、嫖客のすべてが認めることによって成立する独特の雰囲気が楼にも遊女にもあるいはすべてのしきたりにもあったことからも察することができる。
花魁は松の位の太夫職などといわれたが、松の位が世間のどういう官位に相当するか誰れにもわからない。ともかくも絵空事の権威なのである。
奴隷を仮に大名の姫君に仕立てている絵空事が吉原の稼業であり、絵空事を承知で楽しむのがこの里の客としての最高の価値である通(つう)というものであった。
完
「浅草弾左衛門と葵の紋」にもどる
最後の代の弾左衛門は、身分の引き上げを念願して、新選組が指揮した甲陽鎮撫隊(こうようちんぶたい)にも参加しています。
身分は士農工商の下にありながら、巨大な利権(人の嫌がる職)を有していたことから献上金が莫大であったため、その見返りに
大名行列を模した行列を見過ごしにされたか許されたと思われます。 身分制度のうるさい時代に、幕府のたかがゆるんでいた
のでしよう。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/3dda3ade27c2ae786147cecb03111e12
この小説でも、”吉原は廓内をもって一国とし別天地をなしていた”ようです。
なぜ浅草弾左衛門が行列に葵紋を使えたか、につながりそうな小説ですよ。
時代とはいえ不条理な身分制度に泣いた人々を統括していました。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/d1cf2ecbc0adcf6a718e6bcb81a3c097
いまは、また違った悩みが増殖している風です。
一見お姫様風だから誤解しちゃいました
昔見た映画の吉原炎上のシーンを思い出します