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達の成り立ち

2019年08月30日 | ことば遊び
 「美」の中に「羊」がいる。
 「羊」は羊の上半身を正面から見た姿だが、「美」は「羊」の全身の姿。後ろ脚まで含んだ羊の姿を上から見た形なのです。
 その「美」の「大」の部分は牝羊の腰の形のことで、成熟した羊の美しさを「美」と言った。後に、すべての美しいものの意味になった。

 他にも「羊」関係の文字はたくさんある。
 まず、「達」。「達」は「辶(シンニュウ)」と「土」と「羊」でできている。
「土」の部分はもともとは「大」で「羊」と合わせた「(たつ)」字の変形。「大」は牝羊の腰の形。牝羊から子羊が生まれ落ちる姿の字が「」。
 子羊が勢いよく滑るように生まれる「」に道を行く意味の「辶(シンニュウ)」を加え、滞(とどこお)りなく行くことを「達」と書き「とおる」の意味となった。

 次は「群」
 「(のろ)」という小型の鹿がいる。この「」は群れをなして集まる習性がある。その「」の音読みは「クン」で、「君」と同音ゆえに、意味が通じて「君」にも「群をなして集まる」という意味をもつ。
 さらに「羊」も群れを作り行動する習性があるので、「君」と「羊」を合わせて「群」ができた。その「むらがる」の意味が人に広がり「群衆」などの言葉にも使われるようになった。

 最後は「鮮」(せん)。この字の「羊」の部分は「羊」を三つ書いた「(せん)」の省略形。これは羊の独特のにおいのこと。
 同様に「魚」の部分も魚を三つ書いた「(せん)」の省略形で、やはり「魚」独特の臭いのこと。「」と「」を合わせた文字を考えると、においが強く伝わってくる感覚。新鮮なものは独特の臭いがするものであり、そこから「あたらしい」「あざやか」の意味になった。

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