チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

代謝と循環のための駆動力

2012-06-27 15:55:08 | 哲学

1. はじめに
 1.3 代謝と循環のための駆動力
 
 緑の地球は水を循環させ、炭素、酸素、窒素、リンを循環させ、地球上に多様な生命を育み、更には生物の体内を代謝している。この地球の水や炭素や酸素や窒素やリンが、循環するには、それぞれの工程に於いて、エントロピー逆走のためのエンジン(駆動力)が存在している。すなわち、地球上での元素の循環や体内での代謝は、エントロピーの増大に任せていては、成立し得ない。

 代謝は、体がエントロピーの法則によって、無秩序への混乱が生ずる前に先回りして、血液が体内を循環しなから、体細胞を再生している。さらには、生命体は種として進化し多様化する生物の駆動力すなわちエントロピー逆走エンジンは何であろうか。

 生命の世界を観察すると、花は昆虫に花蜜や花粉を供給し、昆虫は花粉を雌しべに運び、更なる花蜜を植物に要求する。菌類と樹木の根の関係では、菌類は窒素とリンを植物が吸収出来る形で与え、樹木は光合成した糖分を菌類に与える。菌類は、植物に対して糖分を要求し、樹木は窒素分とリンを菌類に要求する。

 動物の食欲は、細胞内のミトコンドリアが、ATPを生産するために、糖分を要求する。さらに腸内の大腸菌や乳酸菌が、食物を要求することによって、生命の駆動力である食欲が生じていると考える。

又動物の雄と雌の関係に於いて、精子と卵子の要求が、交尾への駆動力となっていると考える。個体と精子、卵子の関係は、生成される時点で、その個体とは、半分以上が他者であり、その個体に対して、食欲や交尾を要求していると考える。これらのことから、生命は共生する生命相互の作用が、生命のエントロピー逆走エンジンと仮定される。

 代謝(metabolism)とは、生命維持のために有機体が行う一連の化学反応のことである。代謝は、大きく異化(catabolism)と同化(anabobolism)の2つに区分される。異化とは、有機物を分解することによってエネルギーを得る過程であり、同化とは、この逆で、エネルギーを使って有機物質を合成する過程であり、例えばタンパク質と核酸の合成である。 (第3回)


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