2. 水の風変わりな性質
水は大気圧の基では、0°C~100°Cまで液体であるが、水の分子量H2O:18では、CO2:48、CH3OH:32、NH3:17に比べ、沸点が非常に高く、液体である温度の範囲が非常に広い。これは液体の水がゆるい水素結合を持つためである。
水は、個体である氷よりも体積が小さい。同じ0°Cの水と氷では、氷の方が1/11体積が増加し、軽くなる。多くの物質では、一般に固体の方が体積は減少する。寒冷地の湖に於いて、仮に0°Cの氷の方が重ければ、湖の表面から凍って、湖底に氷が沈んで、湖の水はすべて氷に変わって、魚が生きて行けない。
実際には、バイカル湖ほどの寒冷な湖に於いても、表面は1m以上の氷が張るが、その氷に守られて、湖の表面以外は、凍ることはなく、多くの魚が生息している。
水は自らが液体であることが、本来の姿であるかごとく振る舞う。0°Cの水が凍る時、80cal/gの熱量を放出して、凍ることに抵抗する。水が気化(蒸発)する時には、540cal/gの熱量を吸収して、気化することに抵抗する。水が液体で0°C~40°C(特に15°C~37°C)は、生命活動のために良い条件となる。
水は液体の状態では、様々な物質を溶解させる包容力をもっている。この溶解には3つの形態がある。1つ目は、電解質としてイオン化して、水に溶け込む形態である。この例は塩(NaCl)が一部Na+とCl‐なって食塩水となる。2つ目は、砂糖が、水の中に、個々の分子として砂糖水として溶解する形態である。3つ目は、脂肪分が牛乳の中に、懸濁した状態である。水は物質を溶解するとき、氷点をさげ、沸点を上げさらに液体である温度範囲を広げる。
水は液体としての水の中に様々な物資を様々な形態で、溶け込ませる包容力のために生命は存在していると考えるべきかもしれない。生命体での生体反応(化学反応、動的平衡)は、水溶液中で、水素イオン(H+)と水酸化物イオン(OH‐)が存在する細胞内で進行する。(決して、単純な分子運動論的、エントロピー的確率論的、世界とは少し異なる)
水に酸素が溶けているために、魚はエラによって酸素を得て生きることが可能となった。さらに植物性プランクトンは、海水中の炭酸ガスと太陽光から糖分を合成している。人間の血液も、酸素や栄養分を溶解したり、懸濁したりすることによって、体内に養分や酸素を供給している。
水は酸性、中性、アルカリ性までの状態が作られるため、生物体内に於いて、水素イオン(H+)を変化させ、酵素やホルモンの力を借りて、生体内の反応をコントロールしている。水は液体であることによって、植物や動物の生命活動を支え、代謝に必要な物質を循環させて、生命体のエントロピー逆走物語を支えている。又緑の地球に於いても、雨、雲、海、川となって、緑の地球は、水の地球である。(第4回)
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