マーケティング研究 他社事例 730 「やり抜く文化を育てる1」 ~NECの新野改革~
昔、ある方から、『大企業は大企業に学び、中小企業は中小企業から学ぶ』という言葉を教えていただきました。
当時はあまりそのことがしっくり来なかったのですが、今では理解しているつもりです。
・・・ですが、それでも大企業が何に取り組んでいるかを知る事は悪い事では無いとも思っているので、今回はNECの人材育成について取り上げて考えて行きたいと思います。
NECは現在、株式市場からの評価が高まっています。
当時NEC副社長だった新野副社長の社長昇格が2016年4月でしたが時価総額は7000億円前後でした。
ところが2020年10月には2倍以上の1兆6000億円前後となっています。
これは新野社長の取り組みが大きいと言われています。
大和証券は今後も株価の上昇基調が続くとしており「買い」の投資判断を下しています。(2020年10月現在)
アナリストからは、「社長就任当初はおとなしかった新野さんが豹変した」と評価しています。
おとなしいと評価されていた新野氏ですが、私はビジョナリーな人だっただけと思います。
名著ビジョナリーカンパニー(ジム・コリンズ)では、第5段階の経営者と説明されていますが、その経営者像と新野氏が私には重なって見えます。
新野氏が変わり始めたとされているのは社長就任後8カ月が経過した2016年暮れの事です。
川島CFO(当時)から事前に受けていた「2016年度第3四半期の業績が悪い結果となりそうだ」との報告の通り、業績悪化が確定的になった時期でもあります。
それまで新野氏は川島氏の悲観的な見通しに対して、「そんなことはないはずだ」と疑っていました。
公共・医療・金融向けの事業部門や、通信会社向けの事業部門など、「ビジネスユニット(BU)」と呼ぶ9つの大組織を率いる各BU長たちが、新野氏に「上期は不調だったが、毎年収益が集中する下期に巻き返す」との楽観的な報告を上げてきていたからです。
しかし、2016年度第3四半期の数値が固まってくるにつれて、下期に入っても不調が続いていることが濃厚になりました。
年度末を迎え、2016年度通期決算の蓋を開けてみれば、売上高は前年度比5.7%減の2兆6650億円、営業利益は同54.2%減の418億円の減収減益となりました。
特に営業利益は期初に予想した1000億円の半分にも届きませんでした。
新野氏は「とんでもない結果だ。企業文化に問題がある。ビジネスプランを立てることは出来るけれども、最後まで『やり抜く力』がない」と痛感したそうです。
BU長から末端の社員まで実行力を植え付けるべく、『新野改革』が始まりました。
まず決断したのが2016年度にスタートしたばかりだった3ヶ年の中期経営計画の撤回でした。
自らが策定を主導した中計でしたが、このままでは最終年度である2018年度の業績目標を達成できないと判断しました。
2018年度を初年度とする新たな3ヶ年の中計を急いで策定し、2018年1月に公表しました。
最終年度である2020年度の業績目標は、撤回した中計と同じ売上高3兆円、営業利益1500億円、営業利益率5%としました。
ところが、株式市場の反応は冷ややかでした。
NECには実は前科があるからでした。
遠藤信博会長が社長だった時代に取り組んだ2010年~2012年度と2013年~2015年度の中計は、どちらも最終年度の業績目標を達成できずに終わっていました。
半導体などの分野で世界一を誇ったかつての『名門企業』は見る影も無く、中計を練り直して目標達成時期を2年間延長したところで、NECにはもはや、やり抜く力はないとの諦めが株式市場に広がっていました。
(続く)
下記は彩りプロジェクトのご紹介です。
ご興味があればご一読下さい。
彩りプロジェクトでは、ビジネススキルに特化した、オンラインセミナーをサブスクリプション制(定額制)でご案内しております。
毎月定額(基本価格10,000円(税抜)※企業規模(パート社員含む社員数)で価格は変動します)をお支払いいただく事で、何人でも何回でもご参加いただけるビジネスセミナーを開催しております。(別途カレンダー参照)
内容は、多岐に渡るものの、求められている役割毎に設定した内容となっています。
基本的なコースは、R29コースで、PDCA、コミュニケーション、情報収集、イノベーション、ファシリテート、コーチング、意思を伝える、フォロワーシップ、チームワーク、マネジメント、報告・連絡・相談、ビジネスマナーの12種類(2020年11月現在)となっております。
R35コースで、PDCA、リーダーシップ、傾聴力、ビジョン、コーチング、マネジメント、ファシリテート、チームビルディング、イノベーションの9種類でR29コースよりも上級編の内容となっております。
最後に、R43コースが最上位クラスで設定されており、リーダーシップ、傾聴力、ビジョン、コーチング、マネジメント、イノベーションの6種類となっております。
R29コースの特徴は、まずは個人にフォーカスしています。今更聞けないといった内容を中心に構成されており、現在の課題克服の為、またはこれから身に付けなくてはならないスキルとなっています。
R35コースの特徴は、視座を高くした構成で専門的な役職要件に応じた内容で構成されております。そして指導する立場になったあなたが身に着けるべきスキル集になっています。
R43コースの特徴は、それこそ会社全体を見回せるスキルの構成となっており、幹部候補にとっても必須の内容になっております。
セミナー名の一部をご紹介します。
・パラダイムシフトが必要なあなたのマネジメント力
・影響力から見るあなたのチームワーク力
・求められているそれを知り意見を伝える力
・創再共イノベーション力
・予定調和じゃ無い方のPDCA力
・非認知的アプローチから入るコーチング力
・笑顔がもたらす効果コミュニケーション力
受講にあたっては各自の選択制(年齢が20代だから、R43は受講できないといった事ではありません)となっており、先んじて学びを深めたい、今更聞けない事だから、といった様々な動機にお答えする内容となっております。
ちなみに、R〇〇のとなりは年齢をイメージしておりますが、例えば、R43は43歳以上の人は受けられないという事はありませんし、大卒1年目の方でもR43を受講する事は可能です。
定額制で何人でも何回でも受講が可能です!!
詳しい、資料のご請求や、ご質問等は以下にメールをお待ちしております。
メール info@irodori-pro.jp
HP https://www.fuudokaikaku.com/
お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/
成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣
昔、ある方から、『大企業は大企業に学び、中小企業は中小企業から学ぶ』という言葉を教えていただきました。
当時はあまりそのことがしっくり来なかったのですが、今では理解しているつもりです。
・・・ですが、それでも大企業が何に取り組んでいるかを知る事は悪い事では無いとも思っているので、今回はNECの人材育成について取り上げて考えて行きたいと思います。
NECは現在、株式市場からの評価が高まっています。
当時NEC副社長だった新野副社長の社長昇格が2016年4月でしたが時価総額は7000億円前後でした。
ところが2020年10月には2倍以上の1兆6000億円前後となっています。
これは新野社長の取り組みが大きいと言われています。
大和証券は今後も株価の上昇基調が続くとしており「買い」の投資判断を下しています。(2020年10月現在)
アナリストからは、「社長就任当初はおとなしかった新野さんが豹変した」と評価しています。
おとなしいと評価されていた新野氏ですが、私はビジョナリーな人だっただけと思います。
名著ビジョナリーカンパニー(ジム・コリンズ)では、第5段階の経営者と説明されていますが、その経営者像と新野氏が私には重なって見えます。
新野氏が変わり始めたとされているのは社長就任後8カ月が経過した2016年暮れの事です。
川島CFO(当時)から事前に受けていた「2016年度第3四半期の業績が悪い結果となりそうだ」との報告の通り、業績悪化が確定的になった時期でもあります。
それまで新野氏は川島氏の悲観的な見通しに対して、「そんなことはないはずだ」と疑っていました。
公共・医療・金融向けの事業部門や、通信会社向けの事業部門など、「ビジネスユニット(BU)」と呼ぶ9つの大組織を率いる各BU長たちが、新野氏に「上期は不調だったが、毎年収益が集中する下期に巻き返す」との楽観的な報告を上げてきていたからです。
しかし、2016年度第3四半期の数値が固まってくるにつれて、下期に入っても不調が続いていることが濃厚になりました。
年度末を迎え、2016年度通期決算の蓋を開けてみれば、売上高は前年度比5.7%減の2兆6650億円、営業利益は同54.2%減の418億円の減収減益となりました。
特に営業利益は期初に予想した1000億円の半分にも届きませんでした。
新野氏は「とんでもない結果だ。企業文化に問題がある。ビジネスプランを立てることは出来るけれども、最後まで『やり抜く力』がない」と痛感したそうです。
BU長から末端の社員まで実行力を植え付けるべく、『新野改革』が始まりました。
まず決断したのが2016年度にスタートしたばかりだった3ヶ年の中期経営計画の撤回でした。
自らが策定を主導した中計でしたが、このままでは最終年度である2018年度の業績目標を達成できないと判断しました。
2018年度を初年度とする新たな3ヶ年の中計を急いで策定し、2018年1月に公表しました。
最終年度である2020年度の業績目標は、撤回した中計と同じ売上高3兆円、営業利益1500億円、営業利益率5%としました。
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半導体などの分野で世界一を誇ったかつての『名門企業』は見る影も無く、中計を練り直して目標達成時期を2年間延長したところで、NECにはもはや、やり抜く力はないとの諦めが株式市場に広がっていました。
(続く)
下記は彩りプロジェクトのご紹介です。
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彩りプロジェクトでは、ビジネススキルに特化した、オンラインセミナーをサブスクリプション制(定額制)でご案内しております。
毎月定額(基本価格10,000円(税抜)※企業規模(パート社員含む社員数)で価格は変動します)をお支払いいただく事で、何人でも何回でもご参加いただけるビジネスセミナーを開催しております。(別途カレンダー参照)
内容は、多岐に渡るものの、求められている役割毎に設定した内容となっています。
基本的なコースは、R29コースで、PDCA、コミュニケーション、情報収集、イノベーション、ファシリテート、コーチング、意思を伝える、フォロワーシップ、チームワーク、マネジメント、報告・連絡・相談、ビジネスマナーの12種類(2020年11月現在)となっております。
R35コースで、PDCA、リーダーシップ、傾聴力、ビジョン、コーチング、マネジメント、ファシリテート、チームビルディング、イノベーションの9種類でR29コースよりも上級編の内容となっております。
最後に、R43コースが最上位クラスで設定されており、リーダーシップ、傾聴力、ビジョン、コーチング、マネジメント、イノベーションの6種類となっております。
R29コースの特徴は、まずは個人にフォーカスしています。今更聞けないといった内容を中心に構成されており、現在の課題克服の為、またはこれから身に付けなくてはならないスキルとなっています。
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R43コースの特徴は、それこそ会社全体を見回せるスキルの構成となっており、幹部候補にとっても必須の内容になっております。
セミナー名の一部をご紹介します。
・パラダイムシフトが必要なあなたのマネジメント力
・影響力から見るあなたのチームワーク力
・求められているそれを知り意見を伝える力
・創再共イノベーション力
・予定調和じゃ無い方のPDCA力
・非認知的アプローチから入るコーチング力
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受講にあたっては各自の選択制(年齢が20代だから、R43は受講できないといった事ではありません)となっており、先んじて学びを深めたい、今更聞けない事だから、といった様々な動機にお答えする内容となっております。
ちなみに、R〇〇のとなりは年齢をイメージしておりますが、例えば、R43は43歳以上の人は受けられないという事はありませんし、大卒1年目の方でもR43を受講する事は可能です。
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