上映中の「誰もがそれを知っている」を観ようと、有楽町ヒューマントラストシネマ(名前が長い!)に。
ぺネローペ・クルスと、ハビエル・バルデムが主演、イランのアスガー・ファルハディ監督によるオールスペインロケのサスペンス作品だ。ぺネローペ・クルスといえば、「ライブ・フレッシュ」、「オース・アバウト・マイ・マザー」や「ボルベール〈帰郷〉」等々、スペインを代表する逞しい女性を演じて大好きな女優。
さらに、共演する夫のハビエル・バルデムは、なんと言っても「ノー・カントリー」の不気味で不条理な殺し屋役が強烈な印象で、この映画はJ:COMの映画チャンネルで何度も繰り返し観ている。
二人が夫婦だったとは全く知らなかったが、この二人が主演しているなら外れなし!と思って、やっと何もない水曜日になって駆けつけた。。。。しか〜しっ!
14:15分の回に間に合うように20分位前に窓口に行ったら、14:15分の回はすでに満席!!え〜っ!である。予約しないで行ったワタシがいけなかったのか、でもね、そんなに人気があるなら広い方の上映館でやってよ。。である。
で、「誰もがそれを知っている」は諦めて、もうひとつ行きたかったシネマ歌舞伎、坂東玉三郎の「鷺娘」が東劇でかかっているのを思い出し、「あっちは14:00から。なんとか間に合うかも」と、急遽、銀座駅から日比谷線に乗って一駅「東銀座」まで。東銀座駅に着いて地上に出れば東劇はすぐだ。チケット買って、エスカレーターで劇場入り口に着いたら「まもなく上映時間です」のアナウンス。席に座って、汗がおさまる間もなく映画が始まった。
最初に上映された「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」が、浄瑠璃を人間が演じるという指向の舞台の映像で、玉三郎は人形として清姫を演じる。人形遣いは尾上菊之助だ。船頭役は市川九團次で、上半身は人間、足は人形というしつらえも面白可笑しい。
清姫の激情が大蛇となって川を渦巻き、その波間波間に清姫が浮かび、沈む。。。つい先日読んでいた大島真寿美の「渦〜」を思い出しながら、いつしか玉三郎が人形のように見えてくる。安珍・清姫のストーリーはよく知らなかったが、短めで軽く楽しめるものだった。
続いての「鷺娘」は、雪が降りしきる中で玉三郎が演じる白鷺の精の舞の静謐で精緻な美しさに、息をのむ。1991年のイギリス公演では「まさに東洋のジゼルだ」と絶賛を浴びた完成度の作品。道ならぬ恋に身をやつし、遂げられない想いに苦しみ、やがて息絶える。。幻想的なストーリーだ。
何度もの衣装の早変わりや、ゆっくりと静かな踊りを創り上げるまでには、想像を絶する体力・精神力が要求されるだろう。この舞台を創り上げるまでの過程を想像するとその美への希求の強さに圧倒される。
ナマの舞台とはまた違う、大きなスクリーンで観る臨場感もあり、シネマ歌舞伎は結構気に入っているのだった。次のお楽しみは、11月の「女殺油地獄」。これも凄そうだよ〜。。。
その前に、やっぱり「誰もがそれを知っている」も観に行かなくっちゃ!
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