「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~「膨大なノウハウ?」~

2012年05月22日 | オーディオ談義

今年に入って4月まで我が家には湯布院のAさんを除いてお客さんがまったく見えることがなかったが、5月になると上旬に奈良のMさんのご来訪があり、それからはまるで堰(せき)を切ったように、高校時代の同窓のオーディオ仲間が続々と試聴にやって来てまことにハッピーな状態。

5月8日~10日  奈良のMさん

       10日  午後3時からU君(福岡在住)

       19日 14時~17時半 U君、M君、S君の3名
            18時から「飲み会」でオーディオ談義


人それぞれに「音楽と音の好み」や「目のつけどころ」が違うので”百人百様”、様々な意見が聞けるので実に参考になった。

たとえば、
例によって最近夢中になっているシャハム兄妹の「ヴァイオリン・ソナタ」(モーツァルト、K301~306))を皆さんに視聴してもらったところ、これらは曲目によってヴァイオリンが立ち位置を変えて、ピアノの左で演奏したり、右で演奏したりしていて、別段その理由を深く気にとめていなかったわけだが、これについて「曲目によってグランドとセミグランドの2台のピアノを使いわけているよ。音響効果を考えてセミグランドのときだけピアノの右側でヴァイオリンを弾いている。マイクの位置はピアノの端っこで、ほら、黒い配線が見えるだろう」といった具合。

こういう指摘は、万事に大雑把な自分では絶対に気が付かないところで友人の観察力の鋭さにまったく舌を巻いた。

また、同級生とあって遠慮のない間柄のうえ、夜の部に一杯酒が入ったのでストレートな話が飛び交う。

自分の音が「酒の肴」になるのは光栄だが、中には手厳しい指摘もあって「人の苦労も知らずに勝手なことを言って、トホホ」と内心ガッカリする話もあったりするが本音なので仕方がないし、勉強にはなるしでとにかく楽しい。

そのうち誰かの「ああいう音になるまでには膨大なノウハウがあるんだろうねえ」との何気ない言葉には、酔眼朦朧となりながらもまったく「我が意を得たり~」。

オーディオを構成しているのは「電気機器」、「音響空間」、「人間の耳(脳)」の三つで、つまり端的に言えば「物理学の法則」と「人間の感性」のコラボという図式だが、異質の組み合わせだけに”しっくり”こないことの方が多いのは当たり前。

それに我が家の場合、出来るだけ少額の投資で「好みの音」を出そうとするものだから、そもそも無理があってアンプやスピーカーなどにしわ寄せがもろにきており、ハンドメイドを除いて既成の市販品に何らかの手を加えたものばかりなので「ノウハウ」が介在する余地が多いのも事実。

ただし、この「ノウハウ」は自分が単純にいいと思っているだけで、はたして客観的にみて正しいかどうか、またベストの方法なのかどうかは「神のみぞ知る」ところで、それほど自信を持っているわけではない。まあ、一種のゲーム感覚みたいなもので今でも試行錯誤の継続中と言った方が正確。

まず一例をあげると気難しいとされているSPユニット「Axiom80」では、相性のいい真空管アンプの選択、独自の吸音材(木綿袋入りの羽毛)の使用、多少の箱鳴りをさせるために2cm厚の木材の使用、ユニットの背圧を逃がすためにエンクロージャーの背板に直系1センチ程度の穴を124個開けたりといった具合。

ほかにも細かいことを言えば機器の内部やネットワークに使われている
コンデンサーの種類や銘柄の組み合わせ、ネットワークに使うコイルのブランド、CD臭さを打ち消すバッファーアンプの使用、ピンケーブルの相性など、枚挙にいとまがない。中には知人から「ここだけの話」として念を押された秘蔵のものもある。

本来、オーディオ・システムは「シンプル・イズ・ベスト」が原則で、出来るだけ不必要な機器や部品を外していくのが基本だと思っているが、それはコストを度外視して最高級の部品を使いハンドメイドしたときのケースであって、システムの中に市販の既製品が交じっているときに自分の好みの音に近づけようと思えば独自にいろんな機器を追加しても仕方がないというのが現在の実感。

ところで、自分好みの音といってもシステムを使用する時間帯や環境次第で随分違ってくる。たとえば近年はとみに早起きになって(寝る時間も早いが!)、朝の4時~5時台に目が覚めることがざら。

こんな早朝からテレビを観ようにも今の二つのシステムだとそこそこボリュームを上げてやらないと本来の実力を発揮できず、そうするとまだ寝ているカミさんから「ウルサイ」との苦情は必至。かといってボリュームを絞ると低音がモヤモヤしてきて聴くに堪えない音になってストレスが嵩じてくる。もちろんテレビ内臓のSPユニットをそのまま使う手もあるが左右のスピーカーの間隔が狭いのでセパレーションがちと物足りない。

そこで、早朝用に限って視聴するスピーカーを倉庫の片隅から引っ張り出した。

それはフォスターの「FE-103S」(口径10センチ)。

            

これは40年以上も前に購入した製品で当時はトリオ「TW-31」という小さなトランジスター・アンプで鳴らしていたが、たしか就職して間もない頃で、これがオーディオの記念すべき第一歩というわけ。購入した理由は当時のオーディオ専門誌の「ステレオ・サウンド」で長岡鉄男さん(オーディオ評論家:故人)がこの組み合わせで鳴らして、他の評論家たちから「コストの割には非常に良い音」と高い評価を受けていたから。

もしかして年期の入ったオーディオ・マニアの方なら該当記事をご記憶の方がいるかもしれない。「TW-31」の方は早々に処分したが、この「FE-103S」はいまだに完動品でまったく雑音がしないのでその寿命の長さに驚く。

そういえば、以前に購入した世評の高いローサーの「PMー6A」はろくに使いもしないうちに「ウレタンエッジ」がボロボロになって見る影もない有り様になった。つい最近、奈良のMさんを通じて専門店に修理の照会をしてもらったところ何と修繕に5万円前後もかかるという。

どんなに性能がいいとされるSPユニットでもこれではねえとガッカリの巻。

「FE-103S」に話は戻って、SPコードをユニットに直接半田付けしたあと、一方の端のプラス、マイナス線をテレビ内臓のアンプの接続箇所に無事挿入。リモコンスイッチでボリュームを上げてやると無事滞りなく音が出た。

何しろ口径10センチのSPなのできれいさっぱり100ヘルツ以下はカットされて出ないが、テレビを小さい音で聴くのにはこの方が随分聴きやすい。人間の耳にとって可聴帯域中の20~2万ヘルツの中に二つ以上のSPユニットが混じらないのでフルレンジ特有の聴きやすさがある。

今年の夏は昨年に続いて節電とかで、電気を湯水のように使うオーディオ・マニアは肩身の狭い思いをしなくてはならないが、このシステムならテレビのスイッチをオンするだけなのでまことに時宜にかなっている。

早朝に限らず、夜もちょくちょく使うとするかな?
 

 


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