昨日(3月7日)の朝日新聞beの、「私に足りない〇〇力」ランキングで第1位になったのが語学力です。1,710人(男性56%、女性44%)からのアンケート結果だそうです。「海外旅行のたびに足りないと痛感させられる。五輪でボランティアをしたいので是非アップさせたい」(東京、59歳女性)という声が紹介されていました。
たしかに、英語が得意な人が外国人と喋っているのを横で聞いていると、何となくうらやましくなります。海外旅行でも、なかなか話が通じなくてもどかしい思いをすることがあります。
20年ほど前ですが、私は、ある米国企業の本社で会議に出ていたとき、一瞬「失語症」になってしまったことがあります。30人ほどの出席者のうち日本人は私ひとりでした。早口の英語となまりの強いチャイニーズイングリッシュを長時間(3時間以上)聞いていたため、頭が疲れ切ってマヒ状態になったようです。
「君の意見は?」は聞かれて、とっさに言葉が出なかったのです。言いたいことがいくつかあったのですが、英語にならず、日本語をしゃべるわけにもいかず、10秒近く沈黙してしまいました。そんな私を見て「こりゃダメだ」と思ったのか、すぐに他の人の話題に切り替わりました。
そんなトラウマ(?)もあり、「私に足りない語学力」には妙に納得できるものがあります。
しかし考えてみれば、日本人の多くは日常的に英語(会話)に接することはほとんどありません。グローバル化が進んだとはいえ、日本で生活している限り英語を話す機会はまずないでしょう。
そう考えると、必要がないから苦手になるのは当たり前といえます。
不思議なのは「要らないものが足りていない」という感覚です。
もちろん、英語という国際語が重要なコミュニケーションの道具であることは確かです。「これからは英語ができないと困るでしょ!」という声も聞こえてきそうです。
しかしこのセリフ、50年以上前から何度も繰り返し聞いてきましたが、英語ができずに日本人が50年間困り続けてきたかというと、そんなことはありませんでした。
ですから、私に足りないものの1位が「語学力」というのは感覚的には分かるのですが、どうも実感が伴いません。
日本人にとって語学力とはいったい何なのでしょう。
・・・それにしても2位の「経済力」、3位の「記憶力」、4位の「体力」のなんとリアルなことでしょう!
(人材育成社)