他の職場から移ってきて間もない部下に、上司であるあなたは時間を割いて仕事のやり方を具体的に教えてあげたとします。その時の部下の反応が妙に冷たかったので「どうした?分かりにくかったの?」と聞いてみました。すると、その部下はこう言ったのです。
「その上から目線の言い方が嫌なんです。」
これは「上から目線の構造」(榎本博明著、日本経済新聞出版、2011年)の一節です。
「上司なんだから当たり前だろう!」、「こんなやつはクビだ!」・・・といった怒声が聞こえてきそうです。いや、聞こえてきました(心の耳に)。職場で、一度は「上司」あるいは「先輩」という立場になったことがある方は、これに近いような経験をお持ちかもしれません。
逆の、部下や後輩の立場からの声も紹介しておきます。(Yahoo!知恵袋より)
「職場で偉そうな態度とられるとむかつきませんか?」、「偉そうな人というのは、基本的に権威主義者です」、「権威主義とは、目上の人には媚びへつらい、目下の人には権威をふりかざす人のこと」・・・と、これもまた怒りを含んだ発言のようです。
私の経験から、こうした「上下間」のコミュニケーション・トラブルの原因は、明らかに「下」の立場の経験不足によるものだと思っています。
偏見であろうことは承知の上で言うならば、冒頭のように上司や先輩に対して「上から目線が嫌なんです」と言う部下は、概ね「一流大卒、文系、体育会系部活の経験無し」という人が多いようです。この条件に当てはまらない人もいますが、他の条件に比べて有意に多いような気がしてなりません(データを収集したわけではありませんので、気のせいかもしれません)。
学生時代に「上から目線」を浴びる経験が最も多いのは、強豪校の体育会系部(クラブ)に所属していた人でしょう。これは説明するまでもありません。次に、理系、とくに工学部出身者が続きます。学部の4年になると研究室に入りますが、先生からそれなりにしごかれます。もちろん優しい先生もいますが、卒研の締切が近くなると厳しくなるのが普通です。
こうした「上から目線」が日常的な学生時代を送ってこなかった人で、子供の頃からずっと優等生だった人が、上司に対して「偉そうに言いやがって」という感情を抱きやすいのではないでしょうか。
では、上司の立場で、このような部下をどうやって扱ったらよいのでしょうか。
それはまたいずれ、いろいろな方の体験談や意見を聞いてから、あらためて書いてみるつもりです。
おたのしみに・・・(^_^)
(人材育成社)