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「すごーい!」、「超おいしい!」以外の表現を見つけてほしい

2015年03月25日 | コンサルティング

テレビの旅番組のレポーターや料理番組に出ているタレントが、繰り返しこれらの言葉を使っているのを聞いていると、少々うんざりした気持ちになることがあります。

番組の内容自体には興味があっても、あまりにも「すごい」や「おいしい」ばかり連発されると、興ざめしてついチャンネルを変えてしまうこともあります。

「すごい」も「おいしい」も素直な感情表現として使うのだとは思うのですが、「他に表現する言葉はないのか」と、つい突っ込みを入れたくなってしまうことがあるのです。

確かに、これまでに遭遇したことのないようなことに出会ったり壮大な景色などを観たりすれば、「すごい」と言いたくなるでしょうし、おいしいものを「おいしい」と言って何か問題があるのかと言われれば、もちろんそうではないです。でも、旅や料理番組のレポーターとしてテレビに出ているのであれば、何か他の表現もあるのではないかと感じるのです。

そんなことを感じていたところ、先日、朝日新聞で「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」が番組開始から20周年を迎えるという記事が紹介されていました。

上沼さんの本音トークが長寿番組になった理由の一つだそうですが、それに加え、上沼さん自身が番組で大事にしていることが、「おいしい」という言葉をできる限り使わないことなのだそうです。

「おいしい」以外にも「さわやか」「ヘルシー」「外はカリカリ、中はジューシー」「やさしい味」などなど。これらは一番楽な言葉だけれど、敢えてそういう言葉は使わないとのことで、使い古された言葉で表現するのではなく、自分の言葉で伝える努力をしていることが伺えます。

こうしたことをうけて、新聞は「西の視聴率女王」の言葉には説得力があると結んでいました。

話は変わりますが、以前、管理職のほめ方・叱り方に関するテーマで研修を行った時に、ある男性受講者から「女性を褒める時に「若く見えるね」、「美人だね」と言う以外のほめ方がわからないのですが、どうすれば良いですか?」という質問を受けたことがあります。

その際、「言われた女性はそれをどう受け取っているように見えますか?」と逆に私が質問したところ、「よくわかりません」との答えでした。

さて、このやりとりを聞いて、あなたはどう思われましたか?

女性にとって、「若く見えるね」や「美人だね」などの言葉は初めて言われた時は好感を持つかもしれませんが、同じ人からあまりに繰り返し繰り返し言われたとしたら、それは嬉しいどころか嫌味だと感じてしまうのではないでしょうか。

では、どうすれば良いのでしょうか?

他者を心から褒めたいと思うのであれば、ただ見た目の印象を褒めるのではなく、その人の具体的な行為や行動を褒める言葉を伝えれば、「自分のことをきちんと観ていてくれたんだな」と感じてもらえ、素直にその言葉を受け入れてもらえるのではないかと思います。

前述の「すごい」と「おいしい」も最初の印象を言葉にするだけでなく、もう少し深く観察したり、味わうことで心からの表現を見つけられるかもしれません。そして、そうした言葉はきっと見ている人の心に残ると思うのです。

ぜひとも、レポーターの皆さんには上辺の言葉でなく、心から出てくる言葉で表現していただきたいと思っています。

(人材育成社)