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頑張れば頑張るほど、仕事の効率が悪くなっていく

2017年07月05日 | コンサルティング

弊社が担当する管理職研修の際に、部下の指導に関して受けることが多い質問の一つに、「いつも忙しそうに仕事をしていて残業ばかりしているけれど、仕事がちっとも進んでいない部下がいて困っているんです。どうしたらよいでしょうか?」というものがあります。

先日伺った話では、その部下は1年前に他部署から異動してきた入社6年目の20代の男性で、非常にまじめで仕事にも前向きに取り組むタイプだそうです。

少し前までは初めて使うソフトに不慣れだったため、仕事の効率が悪いのはそのせいだろうと思っていました。

そこで、「ソフトの練習をしてみたら」と声をかけた結果、本人も一所懸命に練習をし、今ではそのソフトにもすっかり慣れて、十分に使いこなせるようになったとのことです。

しかし、残業時間は減るどころかますます増えてしまっていて、仕事の成果も以前と変わらないのだそうです。

原因を探るために残業をしているときの様子を観察したところ、周囲と雑談したり残業食を食べる時間をかけすぎてしまったりということもないことがわかったそうです。

それならば、残業代が欲しくて残業をしているのかと思い、一度面接をしてじっくり話し合ったそうですが、そうではないこともわかったとのことでした。

では、この部下はどうして、いつも残業ばかりしているのでしょうか?さらには、仕事の効率を向上させるためには、どのような指導が有効なのでしょうか?

はじめにこの話を伺った際に思ったのが、「収穫逓減の法則」です。この法則は「最も効率的な能力(最適規模)には上限があり、それを超えると効率が下がる」という考えです。

工場の製造部門などでは、残業を増やし機械の稼働時間を長くした場合に最初は生産量が増えても、やがては次第に能率が落ちたり不良品が増えたりして、生産量が頭打ちになってしまうことが知られています。

そして、これは何も工場だけの話ではなく、間接部門の仕事においても同様のことが起きると考えられます。

冒頭の部下の仕事も、実は本人にとっての上限を超えてしまっているのに、さらに残業して頑張って仕事をすることによって、反対に効率はどんどん落ちてしまっているのでしょう。

今でも「長時間労働をすればするほど成果は上がる」と誤解をしている人がまだいらっしゃいますが、実際には決してそうではないということです。

時間内に集中して効率的に仕事を進め、残業はできる限りしないということが、長い目で見て仕事の生産性を上げることになるわけです。また、ワークライフバランスの面からも望ましいことです。

長時間労働の問題点が指摘され、働き方改革が叫ばれている今だからこそ、もし職場で「頑張っているのに結果がついていかない」人がいたら、一度「頑張り過ぎて限界を超えていないか、それによってかえって仕事の効率が下がっているのではないか」という観点でチェックしてみることが必要ではないでしょうか。

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