「お金、手帳、段取り(時間管理)の3つが、この数年の売れる3大テーマです」
これは以前、ある雑誌の編集者から聞いた言葉です。それから数年たっていますが、この傾向は今も変わっていないような気がします。
確かに、これからの季節であれば来年の手帳に関する雑誌が店頭に並ぶようになります。また、お金や段取り(時間管理)に関する雑誌は一年中、繰り返し出版されている印象があります。
でも、一体どうして同じようなテーマの雑誌が繰り返し何度も世に出てくるのでしょうか。
手帳に関して言えば季節ものですから、これは毎年恒例のものということでしょう。それでは、お金はどうなのか。こちらは季節に関係なく、財テクをはじめとして「貯める」、「節約」がメインテーマのようです。同様に、段取りや時間管理に関しても様々なものがあります。(実は私の記事も何度か掲載していただいたこともあります)
さらに、冒頭の編集者が語った中には入っていませんでしたが、ダイエットに関しても鉄板のテーマです。炭水化物を減らす、食事回数を減らすなどの食事療法から、筋トレ、ストレッチ、呼吸法などの運動について紹介した雑誌が、それこそ数えきれないくらい世に出ています。
いずれのテーマも、これだけたくさん取り上げられているということは、その分だけニーズがあるということは確かでしょう。
しかし、反対に考えれば、いろいろと取り組んでみても満足できる結果が出ていないという人が圧倒的に多いということの表れとも言えます。
財テクも時間管理もダイエットも、雑誌や本を読んだからと言って、すぐに結果が得られるものではありません。いずれも、その後にそれなりの時間をかけて努力をし、さらに継続しないと結果を手にすることは難しいものであり、即効性は期待できません。
そして、この「すぐに結果が得られるものではない、それなりの時間をかけて努力し、さらに継続が必要だ」というのは、人材育成の分野でも全く同じです。
研修を行う際に、すぐにその成果が出ることを期待して参加される人も多いです。もちろんテクニックなど、すぐに適用できるものもたくさんありますが。)研修後のアンケートに「「答え」を聞けると思っていたのにそれがなかった」と書かれる人もいます。その「答え」の多くは研修を踏まえ、自分で努力をして見出していただくべきものです。
人を育てるということには時間も労力も必要なものであり、たとえて言えば野菜のような速成栽培はどうしても無理があるということです。
簡単に手に入れることができないものだからこそ、こうして手を替え品を替え、繰り返し世に出続ける。店頭に並ぶ雑誌を見て、改めて人を育てる難しさを思います。