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答えを知らないと、考えることを放棄してしまう

2018年06月06日 | コンサルティング

 「富士山に登ると太陽に近くなるから気温が高いはずなのに、登るにつれて気温が低くなるのはどうしてなの?」

これは先日、NHKの「チコちゃんに叱られる!」という番組の中で、チコちゃん(妙に大人びた5才のキャラクター)が出した質問の一つです。

番組では、チコちゃんが問いかける素朴な疑問(質問)に回答者(大人)が答えられないと、チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねえよ!」と叱られるのです。

視聴率が良いからだと思いますが、以前は特番での放送だったものが、今年の4月からは毎週放送されています。

この番組の中では、チコちゃんが出した質問に答えられない人が「今まで考えたこともなかった」という発言をする場面がたびたびあります。そうするとチコちゃんがすかさず、「皆、考えたこともなかったってすぐに言うけれど、少しは考えろよ」ということも多いのです。

実は、私が担当させていただく企業研修でも受講者に質問する際に、番組と同様の返答がなされることがあります。

たとえば、その企業の理念であったり、売上金額であったり、その階層に求められるスキルであったりを質問すると、「いやー、よくわかりません」と即答されるのです。

もちろん、「一字一句間違えずに理念を言ってください」とか、「一円単位まで売上金額を正確に答えてださい」というような厳密な答えを求めているわけではないのですが、前述のように少しも考えずに即答されてしまいます。

ちょっとでも考えていただければ、理念に使われているキーワードや、売上であればざっくりとでも何億円くらいは出るのではないかと思います。しかし、あまりの即答ぶりに「まるで考えること自体を放棄してしまっているのではないか」というように見えてしまいます。

そして、この傾向は年代には関係ないと感じていますし、以前よりその傾向が顕著になってきているのではないかと感じます。

このように、「ちょっと考えてみよう」という姿勢が減っている理由はなぜなのだろうと考えてみると、一つには今はスマホなどですぐに答えが検索できてしまう、したがって自分で考えなくて済んでしまうということもあるのかもしれません。

ところで、ビジネスパーソンが日々仕事をしている中では、「答えのない」場面に遭遇することがあります。

しかし、たとえ即答はできない質問であっても、過去の経験や様々な知識を基に考えることで、当たらずとも遠からずの答えを出せることはあるはずです。

また、考えてもどうしても答えわからないときには、フェルミ推定(調査をすることが難しいような事柄に対して、前提となるいくつかの仮説を掛け合わせて算出することであり、わかっていることからわからないことを概算する)のような方法で「推定」をすることもできるはずです。

先ほどのスマホの例で言えば、検索をきっかけに「そこから考えてみようとする」ことはむしろしやすくなっているのではないでしょうか。

もし大事な商談などの際に、質問されて「わかりません」と答えるだけで終わってしまっては、うまくいく話もダメになってしまいかねません。

ビジネスパーソンたるもの、すぐに「わかりません」としてしまうのではなく、まずは考えてみる、そこから何らかの答えを見出そうとする姿勢が大切なのだということを自戒の念を込めて感じています。

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