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研修は不確実性の高い投資?

2018年06月24日 | コンサルティング

先日、ある会社の社長さんが雑誌で「人材育成はほとんど意味が無い」というような発言をしていました。研修やOJTは時間の無駄である、その労力と資金を優秀な人材の採用にかけるべきだ、ということです。

その社長いわく、「研修をやればその社員の能力が上がりますか?営業部員を全員研修に出せば売り上げが倍になりますか?技術者の研修で優れた製品が今より多く開発できるようになりますか?スタッフ部門の研修でコストが大幅に下がりますか?そもそも研修に投じたお金がどのくらい大きくなって返ってくるか、具体的に言えますか?設備投資なら経済性の計算ができるから、いくら投資すれば将来どのくらいのリターン(利益)を生み出すかざっくり計算できます。でも、研修はそんなこと言えないでしょ。人への投資と言えば聞こえはいいが、ただの浪費なんですよ。」とのこと。

しかし、研修を機械設備のような固定資産への投資と同列に扱うのはかなり無理があります。人と設備との根本的な違いは次の2点です。(1)人は設備と違って会社が所有できない、(2)人は設備と違ってリターンのバラツキが非常に大きい。

機械なら会社の持ち物ですから逃げて行きませんし、スペック通りの生産物を生み出します。それに対して、人はいつ辞めてしまうか分かりませんし、学んだことを忘れてしまいがちです。

もし、機械のように導入したらすぐに100%使える人を採用できるなら、あえて社内で育てる必要はないでしょう。しかし、そんなことはできるはずがありません。先の社長さんも「採用では苦労している」と言っていました。

投資としてみれば不確実性が高いように見える人材育成です。しかし、機械とお金がたくさんあってもそれを使いこなすのは人です。逆に機械とお金がほとんどなくても、人がいれば会社は動き、成長していきます。

人を育てることは会社の身体を作っていくことに他なりません。会社は人で出来ているのです。

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