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若者が行きたくない会社

2018年06月13日 | コンサルティング

 マイナビの調査によると「今の若者の就職観」で行きたくない会社として一番に挙げられているのが「暗い雰囲気の会社」で、18年連続のトップとのことです。2位は「ノルマのきつそうな会社」、そして「休日・休暇が取れない、あるいは少ない会社」と続いています。

若者のみならず、「暗い雰囲気の会社」には行きたくないという人が多いのはわかる気がします。では、ここでイメージしている「暗い雰囲気の会社」とは、どういう状況を指しているのでしょうか?これには「言いたいことが言えない?」、「笑いがない?」、「飲みに行くことが少ない?」などいろいろあると思います。

では、反対に「明るい雰囲気の会社」とはどういう会社なのでしょうか?こちらも人によって様々なイメージがあるでしょう。

「暗い雰囲気や明るい雰囲気」というのは個人の感じ方によって異なりますし、それ自体が客観的な数値化などができるものではありません。これまで働いた経験のない学生にとっては、どのような雰囲気の会社なのかを見抜くのは難しく、非常に悩ましい問題であろうと想像します。では、この「雰囲気」はどうすれば判断することができるのでしょうか?

実は、私のように外部から伺って研修を担当させていただくと、その会社の雰囲気が実に手に取るようにわかるのです。

研修講師の場合、様々な業種や業態に伺うことで比較対象がたくさんできますから、はっきりと違いが見えるのです。では具体的に研修のどういう場面で会社の雰囲気や文化・風土が感じられると思われますか?

研修の中では、講師から受講者に質問する場面がたくさんありますが、そのときに特定の人を指名しなくても大勢の前で積極的に挙手したり、大きな声で返答したりすることができる会社は、少なくとも暗い雰囲気ではないようです。

また、グループでディスカッションをしていただく場面でも、特定のメンバーに限らずグループのメンバー全員が自由にかつ積極的に意見交換をしている会社も、明るい雰囲気を感じます。

つまり、仕事時間全体から考えれば研修自体は限られた時間ではありますが、その中でも組織の雰囲気や文化・風土が確かに反映されています。

実際に積極的に挙手をしたりグループディスカッションが盛んだと感じたりした会社は、その後、異なるテーマの研修や他の階層の研修を担当させていただいた場合にも、同じような雰囲気を感じます。中には弊社が150回以上の研修を担当させていただいている会社もありますが、回によって多少の雰囲気の違いはあっても、全体としてみると雰囲気にそんなに大きな違いはありません。

そして、これこそがその組織が持つ文化であり風土なのでしょう。文化や風土は目に見えないものではありますが、空気として肌でしっかり感じられるのです。

それはそれぞれの組織で長年にわたり醸成され形成されたものであり、それぞれが持つ文化や風土は良きにつけ悪しきにつけ、簡単には壊れないものです。

冒頭のように、 学生の売り手市場が続く現在では、暗い雰囲気の組織は学生から敬遠されます。なかなか新人の採用ができないという会社は、一度自身の組織の雰囲気はどういうものなのか、客観的に見る必要がありそうです。

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