「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。
さて、(1)大量のデータを扱う、(2)利益率が低い、という特徴を持つ小売業、卸売業、サービス業に焦点を当てた「統計学のすすめ」の2回目です。
働き方改革とは強制的に残業を減らすことだとばかりに、「19時にフロアの一斉消灯、サーバーの停止」といった強硬策を打ち出す企業もあります。しかし、実態は「オフィス消灯 続きは深夜のファミレス(朝日新聞2019年11月25日・朝刊・21p)」といった見えない残業が横行するケースも少なくありません。
なぜそのような事態になってしまうのかと言えば、「改革」の順番を間違えているからです。
まず仕事の効率化を推進すること。規制の強化はその次です。
「効率化しろと言うけれど、具体的に何をどうすればいいんだ?」そう言う社長さんは多いのですが、実はその言葉が効率化にブレーキをかけているのです。
効率化の第一歩はムダ(無駄)を省くこと・・・ではなく「ムダを見つける」ことです。なぜなら、目の前にあるムダだけを相手にしていてもキリがありません。次から次へと「新しいムダ」が生まれてくるからです。
ムダが生まれてくる温床(巣)を見つけて、そこをつぶさなければなりません。
営業部門でよくあるケースを考えてみます。
夕方、若手営業担当のA君が客先から帰ってくると、お客様からのメールが何通か入っています。読んでみるとX社から「大至急○○を2ケース持ってきてくれ」、Y社から「XXを5ダース明日の夕方までに納品してほしい」、Z社から「新製品のサンプルを1つ都合つけてくれないか」、どれも突発的な割り込み仕事の依頼です。
同じ営業部の先輩Bさんを見ると、やはり同じような依頼を精力的にこなしています。それもイキイキとして。
A君は「自分も早くああいう風になりたいものだ」と思うのでした・・・って、イヤ、イヤ、これではだめです!ムダな残業の温床を自ら整えているようなものです。
まずムダを「見つける」ことから始めます。
お客様からの突発的な仕事の依頼は、1日に何件来ますか?1週間では?月別では?
「突発的な出来事」は本来滅多に起こらないものです。そういう事態が生じる確率は、統計学では「ポアソン分布」に従うことが知らています。
営業部で「お客様からの突発的な依頼」を記録してみると、ばらつきの形が見えてきます。これにより「来月の依頼はポアソンに従うとすれば大体○○件くらいだな」という予測ができます。
次に、突発的な割り込み仕事は「なぜ」生まれるかを調べます。お客様別の過去のデータを調べてみると、意外や意外、ばらつきに特徴があることがわかります。X社は月末に、Y社はコンスタントに、Z社は展示会などのイベントの後に、といった具合です。
そこまでわかってくれば突発的な依頼に「先手」を打つことができます。要はあらかじめ準備をしておけば良いのです。
統計学は、普段私たちの目の前に次々と現れる現象を俯瞰(ふかん:全体像を見ること)してくれます。時系列で現れるばらつきの形を示してくれるのです。
「効率化しろと言うけれど、具体的に何をどうすればいいんだ?」その答えは、統計学を使って全体像を見る、そして先手を打つことです。
統計学は営業の仕事に限らず、あらゆる仕事の役に立ちます。とはいえ、高校のときに数学と「さよなら」してしまった人には難しいかもしれません。
「やさしい」とか「初歩の」といったタイトルのついている統計学の本を書店で手に取ってパラパラとめくってみてください。文系人間にとっては、ちっとも「やさしくない」し「初歩でもない」ことは間違いありません。
しかし、ご安心ください。そんな人のために本を書きました。想定する読者はSBH48です。いえ、アイドルグループの名前ではありません。私大文系偏差値48の略です。
内容は、SBH48出身の営業担当者を主人公にしたストーリー形式になっており、一部マンガも載っています。もちろん、統計学の解説もしっかりと書いてあります。小売、卸売、サービス業のための統計学の入門書です。
「働き方の統計学: データ分析で考える仕事と職場の問題」1,980円・税込み(オーム社)は本日(11月27日)、全国の書店で発売されます。
ぜひ、書店で手に取って見てください。置いていないときはAmazonでどうぞ。