「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「アイディアを出す際には、一人で考えるよりも4~5人のチームでディスカッションをする。さらにそれを全員で共有すれば、たくさんのアイディアを知ることができる」との考えから、弊社が研修を担当させていただく際には、様々な演習に取り組んでいただいています。
はじめに個々で課題に取り組み、次にそのアイディアを補足し強化するために、チーム内で共有する。そして最後には受講者全員で共有をしています。そうすることによって、たとえば一人で考えたときには5つくらいしかアイディアが浮かばなかったとしても、チームで共有することにより20くらいのアイディアになり、さらには受講者全員で共有することで、さらに多くのアイディアを知ることができるようになるのです。
研修のみならず仕事においても、個人で取り組むよりもチームで取り組んだ方が成果が上がることが多いからこそ、チームを作り共通の目標を持ち、お互いに協力し合って仕事を進めているわけです。これに加え、やり方やしくみ、手順などの見直しを行うことにより、単純に個々人の能力を合計した以上の力が発揮できるわけです。
しかし、人が集まって目標に向かうことにはメリットがある一方で、マイナスの面もあるのです。それは、複数人がともに一つのことに取り組むことによって、「社会的手抜き」が発生してしまう可能性があるからです。
「社会的手抜き」とは、20世紀初めのフランスの農学者であるマクシミリアン・リンゲルマン(Maximilien Ringelmann)によって示された心理的な働きを示す言葉です。人間が集団で作業を行うと、個人や少人数で作業をするときよりも1人あたりの生産性が低くなってしまうという現象を言います。社会的手抜きは「他のメンバーがやっているから自分は適当にやっても大丈夫だろう」「誰かがやってくれるだろう」という思いから生じるものです。そのように考える理由としては自分の頑張りにかかわらず結局は集団として評価される、自分の頑張りは評価されないということがあります。
人は他者の存在があると、意識しなくても社会的手抜きを起こしてしまいかねないということです。集団のサイズが大きくなり大人数で作業を行う環境下であるほど、結果として1人当たりの作業量は小さくなってしまい、期待通りの成果が得られないということも考えられるわけです。
確かに、私自身も以前あるプロジェクトのメンバーになった際に、自分の負担が増えることを恐れてしまい、積極的に発言をしなかったという経験があります。また、最近プライベートで合唱の練習をしているのですが、歌唱力に自信のない私はつい他の人の歌唱力におんぶをしてしまったという経験もあります。これらはいずれも、私自身が社会的手抜きをしていたということです。
チームを組み、互いに目標やゴールを十分に理解したうえで、最大限の成果を目指して取り組んだとしても、一方でメンバーが社会的手抜きを起こしてしまう可能性もある。チーム力を最大限発揮するためには、人はこうした両面を持つということを踏まえたうえで、一人一人に課題を与える、一人一人の貢献をきちんと評価するなど社会的手抜きを起こさせないための取り組みを同時に行うことが求められます。あなたのチームでは、どのように取り組んでいますか?