「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
部下をお持ちの方はお分かりいただけると思いますが、部下を指導・育成するには「観察する力」が必要になります。もちろん、指導方法やコーチングといったテクニックも必要なのですが、「観察する力」は必要条件です。お叱りの言葉を浴びせられるのを覚悟の上で言うならば、部下指導においてコーチングは「おまけ」みたいなものです。あってもなくても、どちらでも良いです。
観察とは「人や物事の状態や変化を客観的に注意深く見る」ことです。部下の日常的なふるまいを把握して、変化を見逃さないようにすることです。そうすることで、部下の強み弱みが見えてきます。それがわかれば適切な指導を行うことは難しいことではありません。
さて、観察の極意は日頃から部下に対して興味や関心を持つことです・・・と簡単に書きましたが、これが実に難しいのです。
あなたは、たまたま職場で一緒になった「他人」にすぐに興味や関心を持つことができますか?
もちろん、その人物がすごく魅力的ならば別ですが、そういう人はまずあなたの会社には入って来ません。もしも魅力あふれる人物だとしたら、指導せず放っておいても大丈夫です(いや、下手に指導しない方が良いでしょう)。
はっきり言えば、部下を指導するということは、自分よりも仕事のできない、しかも全然興味が湧かない人物を観察し、指導しなければならないということです。
よく「私は人が好きです、人間に興味があります」という人がいます。一見、部下指導に向いているように思えます。しかし、実際は人に対する好き嫌いの振れ幅が大きいだけなのです。部下との相性が合えば、しっかり観察して問題なく指導できるでしょう。ただし、合わなかったときは悲惨です。
私の知る限り、部下指導がきちんとできる上司に共通していたのは、人に対してそれほど興味関心がないということです。もちろん、まったく興味がないというのは論外です。
観察=「人や物事の状態や変化を客観的に注意深く見る」という言葉の前には「感情を交えず」という一言が付いていなければなりません。人に関心が強すぎる人は、知らず知らずのうちに感情が入り込んでしまいがちです。
ですから、あなたが他人に対してあまり興味を持たない性格だとしたら、部下の指導・育成に向いています。自信を持って観察し、指導してあげてください。
ただし、人に対する好き嫌いがはっきりしている人の中には、人を惹きつける魅力を(生まれながらに?)持っている人がいます。そうした例外中の例外は「カリスマ経営者」となって会社全体を引っ張っていきます。あなたにそうした魅力があるならば、会社のために是非「好き嫌い」を前面に出してください。
そうでなければ、あなたが最初にするべきことは、感情を交えず部下を観察することです。