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第1,223話 研修中の休憩は何回、そして何分あるとよいのか

2024年07月10日 | 研修

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「休憩時間の回数を増やしてほしい」、「休憩は10分では短い。電話対応したいので30分にして欲しい」

研修が終わりアンケートを撮った際に、このように書かれることが時々あります。

研修の際の休憩は何回程度が、また1回あたりどれくらいの時間が適切なのか。これは私が研修業界に身を置くようになった30数年前から定期的に話題になってきていることの一つです。

これについては、研修のテーマや時間、研修の進め方は講義中心なのかディスカッションやロールプレイングなどを採り入れるのかなどによって変わってくることから、唯一絶対の正解というものはないと私は考えています。

勤務時間中の昼休みは、労働基準法の定めもあって通常は1時間とることが大多数でしょうが、研修での休憩については、どのように考えればよいのでしょうか。

これにはいろいろな考え方があり、前述のように一概には言えないとは思います。まず休憩を入れる目的を考えてみると、お手洗いなどの用足しのためや、集中力を維持するためなどと言われています。

それでは、人間の集中力が続くのはどれくらいの時間なのでしょうか。集中力が高い人とそうでない人とでは違いがあるかとは思いますが、これを考える際の参考になるのが、ボブ・パイク氏が提唱する「90/20/8の法則」です。

ボブ・パイク氏は、ボブ・パイクグループ創設者・元会長で「参加者主体」の研修手法についての著作があります。(中村文子、ボブ・パイク著「2021年」『オンライン研修ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)。この書籍によると、人が集中をキープして話を聞ける時間は90分、記憶をしながら話を聞ける時間は20分、さらに人が受け身の状態で興味を持って話を聞ける時間は8分とのことです。これに基づけば、研修では長くても90分以内に1回は休憩を入れた方が良いということになります。

振り返れば、私が小学生の時の授業時間は1科目40分でした。中学・高校は50分、大学では90分でした。さらに、社会人大学院に至っては、一コマの授業は180分でした。今にしてみれば随分と長時間でしたから、どれくらい集中できていたのかと考えると自信はありません。

また、同時通訳などは15分程度が限界だそうですし、自治体での研修で手話通訳者がつく時にも、3人位の方が約15分ごとに交替されています。このあたりの時間も、ボブ・パイク氏の説にかなっているように思えます。

以上のことから考えると、研修の途中で入れる休憩は60分から90分に1回くらいの頻度が適切だと考えます。次に1回あたりの休憩時間は、全体のプログラムとのバランスなどによって決めるのが良いと思いますが、通常は10分もあれば用足しやリフレッシュするには十分なはずです。そもそも研修の休憩時間には、営業職の人などが顧客への連絡をするというようなことは想定されていないのです。

そうは言っても、では営業職の人などの研修中の顧客への連絡はどうすればよいのか。その対応についての考え方もいろいろあるかと思います。しかし研修中に顧客へ急いで連絡をしなければならないような状況ができるだけ起こらないように、事前に顧客と段取りしておく、また職場の人にフォローを依頼していく等の対応をしておくことに尽きるのではないでしょうか。

年に何日もないせっかくの研修です。事前準備を十分にして、集中して研修に臨んでいただきたいと考えています。

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