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IMジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

異人たちとの夏

2010-08-10 07:59:15 | 日記
 中年の男が街で見かけた若い頃の父親にそっくりな人物を追いかけて行くと、若い頃の母親にそっくりな女性といっしょに安アパートに住んでおり、なぜか自分のことを息子だと了解しているような態度でアパートにあがれあがれと引きずり込む。父も母も自分と同じ年齢か少し若いように見える。男はこんなおかしなことがあるものかと思いながら、若い両親に甘えたくて、アパートに通う。山田太一原作の映画「異人たちとの夏」の導入だ。なぜか強烈な印象を残す夏の映画である。8月の中頃、例えば家族が出かけてしまって一人きり家に残った日の夕方から深夜にかけて見るのが最適だ。マンションに住んでいて、夕暮れに買い物に出かけ、帰りに自分の住んでいるマンションをふと見上げてみると、電気がついている部屋が一つもない、などという日に見るとなお良い。
 
 いつでもそこにある、と思っていたものが、実はある日急に無くなってしまったり、誰でもみんな知っていると思っていたものが、実はほとんど誰も知らず、それを説明しようにも、あの時のあの場所はもうすっかり変わってしまっていてどうにも説明しようが無い。そんな経験は誰もがしていることだろう。自分を形作って来た習慣や風景は、懐かしいと思うほど遠くに来てしまうと、どこを探しても見つからない。ただ懐かしいという思いが強くなるばかりである。もう会えない、もう言葉を交わすことができない、その切なさが、物語をくっきりと浮かび上がらせる輪郭になっているように思う。しかし、記憶は日々薄れて行き、生きるための日常の中で懐かしいという気持ちや、切なさすらどこかに消えてしまう。やがて忘れてしまったことすらも忘れてしまう。

 今だけを生きる、過去のない人間はなんとなくつまらない。過去があり、懐かしいものをたくさん背負っている人がおもしろい、気がする。そういう人であるためには、友達を作るといい。幼馴染から同じ釜の飯を喰う同僚まで、友達は生きているタイムカプセルだ。自分が忘れてしまったことを、しっかり覚えていてくれる。友達の手を借りて忘れてしまったことを思い出すことができる。だから友達に会ったときには大いに語り、大いに思い出し大いに笑うべきなのだ。友達は大事にしたほうがいい。夏の休みに会えるなら、できる限り会ったほうがいい。たとえその友達が、「異人たち」であっても。

 夏は思い出す季節でもあるようだ。
 

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株式会社ジェイエスピー
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