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酩酊

 「中川昭一財務相兼金融担当相は17日夕、首相官邸を訪れ、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)後に、もうろうとした状態で記者会見した問題で、麻生太郎首相に辞表を提出し、受理された」

 などというバカみたいな出来事は、今の日本の置かれた状況をまるで分かっていない人々によって政治が行われている象徴であろう。どこの誰が酔っ払って仕事をするものか、などと言いたくはなるが、この前の日曜日ほとんど記憶がなくなるくらいに酔い潰れたばかりの私では、中川大臣の一件はいささか自戒の念を惹起させるに足る不祥事でもあった。
 日曜日、塾が終わって(ここが大臣と違うところであり、仕事が終わった後の出来事であるのは強調しておかねばならない!)、さあこれからは一週間のご褒美の時間だ、と久しぶりに妻と買い物がてらの散歩に出かけた。1kmほど離れた薬局までたらたらと歩いていって、妻が日用品を買う間に私は近くのスーパーで缶ビールを買った。「ほい」と妻の分のビールを渡すと、「はい、これ」と言って小瓶を差し出した。「これを飲むと二日酔いにならないらしいよ」と薬局の人に勧められたそうで、その言葉を信じて一気に飲み干した。これで安心と、すぐに缶ビールのふたを開けてちびちび飲みながら、帰り道をたらたらと歩いて行ったら、伯母の家の前に出た。「久しぶりに寄っていこう」と、妻と二人なだれ込んでいって、しばらく他愛もない話をしていた。すると伯母が「これまだ見れるかな?」と20年近く前のビデオを出してきた。それは市会議員をやっていた伯父の選挙戦の様子を撮ったもので、親戚やら近所の人ばかりが写っていた。もう懐かしさで胸がいっぱいになり、思わずじっと見入ってしまった。こうなったら止まらなくなるのが私のよくないところで、スーパーで買った缶ビールを3本空けてしまった後は、伯母が出してきてくれたビールを何本も立て続けに飲んでしまった。
 7時近くなって、かなり暗くなってきた頃、一通りビデオを見終わった私たちは伯母の家を出たのだが、どういうわけだか足元がふらついてうまく歩けない。こんなになるまで飲んだつもりはなかったので、どうしたんだろう?と不思議だったが、隣を歩く妻もなんだかふらふらしている。「おかしいなあ・・」と笑いながらも何とか家にたどり着いた私ではあったが、もうその辺りからその夜のことは覚えていない。その後、伯母が従姉妹の運転する車で夕食を食べに行こうと誘いに来たことや、私がビールとラーメンを食べたこと、家にどうやって戻ったのか、などはほとんど覚えていない。ああ・・なんてことだ。
 そのまま居間で寝入ってしまったようで、ふと目が覚めたのが、夜中の3時前・・。少し驚きながら愛犬弁慶に餌をやりに行き、風呂に入ってすぐにまた寝たら、次に目覚めたのは8時半過ぎ。実に12時間近くも寝てしまった。まだビールの酔いは残っているような気がして、どれだけ痛飲したのか昨夜のことを思い出そうとしても記憶がまったく不鮮明で困ってしまった。妻に事情を聞いてみても、「私もよく覚えてないんだよね・・」と二人して途方にくれてしまった・・、情けない。
 いったいどうしてあんなにひどく酔っ払ってしまったのだろう?妻と二人で考えてみた。確かに伯母の家を出るときは、私の前に何本もビールの空き缶があったのは覚えているから、かなりうのペースで飲んだのだろう。だが、それくらいは大して珍しくもない。それなのにどうして歩くことがままならないほどベロベロになってしまったのか?・・・と、そのとき妻が手渡してくれた薬のことを思いだした。二日酔いにならないために飲む薬・・、確か妻はそう言った。それなら飲んだ後にアルコールを分解しやすくさせる効果があるはずだ。それを飲む前に飲んだら、体内に入ってくるアルコールをどんどん分解させ、酔いが早く回る働きをするのではないだろうか。だからこそ、近来稀に見るほど激しい酔い方をしてしまったのではないだろうか・・。同じ薬を妻も飲んで、同じようにへべれけになってしまったのが何よりの証拠のような気がする。

 まあ、そんなものはあくまでも素人の、しかも見苦しいほど泥酔してしまった者の言い訳に過ぎないからまったく当てにはならないけど、やはりアルコールと薬との相乗効果にはちょっと恐ろしいものがある。その点だけは中川大臣の弁明を信じてもいいかなと思っている。(同病相憐れむかな・・)
 

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