goo

地の星

 11月になったらもう来春まで、まったく休みなしで頑張らねばならない。ならば、その前に、たとえわずかな時間でも、命の洗濯をしたいものだと、日程をやり繰りして何とか時間をひねり出すことができた。そして指折り数えて待った10月最後の日曜日、午前の授業が終わるとすぐに、三河湾を望む山頂にあるホテル「天の丸」に向けて出発した。
 このホテルの売りは、
「夜空狭しと眩しく煌めく天の星と、眼下にちりばめられた宝石のように輝く地の星。その狭間に飛行するかのように佇む館。そのロケーションは、さながら銀河の中を旅する宇宙船のよう・・・」
なのだそうだが、あいにくの天気で、「煌めく星」を眺めることは、家を出る前から諦めていた。しかし、「輝く地の星」ならばなんとか拝めるのではないかと、期待していた。
 ホテルに着いたのは4時少し前。まずはゆっくり露店風呂に浸かりながら夕闇が迫りくる時刻を待った。


 実を言えば、ロケーションの素晴らしさからこのホテルを探し出したのではない。露天風呂付き客室のあるホテルを探していたところ、驚くほど廉価で泊まれる「天の丸」を見つけたのだ。部屋に露天風呂が付いていれば、もう部屋から外へ出ていく必要がなくなるので、心行くまでのんびりできる。料理も美味しいに越したことはないが、それよりも存分に骨休みができたほうが、はるかにいい。さらにリーズナブルな料金で泊まれるなら、申し分ない。その意味では、このホテルはもってこいだった・・。

 湯につかりながらうとうとしていたら、厚い雲に覆われた空がほんのり青白くなってきて、ポツンポツンと街の灯がともり始めた。












 適宜間をおきながら、暮れなずむ三河湾を撮ってみたつもりだったが、今再確認してみると、時間が経つにつれ、ピントが甘くなっている・・。
 これは、湯船の中で飲み続けたビールの酔いが、湯に浸かっているうちに徐々に全身に回ったためなのだろう。「地の星」の記録が、私の頭の中の星屑のせいで台無しになってしまったようだ・・。

 まあ、これもある意味では記録に違いないだろうから、小旅行の記念としては大切なものだ。
 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする