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Kent

 一応、塾長と公言している手前、最低限の身だしなみは整えなければならない。と言っても、堅苦しいことの嫌いな私であるから、ネクタイなどは締めずにワイシャツとジャケットといういで立ちで毎日塾長を務めている。しかし、ジャケットと言ってもUNIQLO だし、ワイシャツも形状安定シャツとかいう形のくずれにくい、一枚2,000円くらいの安物を着古しているだけだが、さすがに着崩れし出すと、買い換えないわけにはいかない。そんなシャツが多くなったため、先日、隣の市にあるイトーヨーカ堂へ買いに行ってきた。
 私にとっては普段着のようなものなので、シャツの色や柄などまったく気にしていない。ただ白っぽければそれでいい、くらいの感じで選んでみたのだが、タグを見てびっくり!!何と「Kent」とある。

 

 「Kent」と言えば、私が中学生の頃は一大ブランドだった VAN JACKET の兄弟ブランドで、VAN よりもワンランク上の服を扱っていたはずだ。VAN でさえ簡単には買えない頃だったので、Kent は私にとって憧れのブランドだった。それだけに、高校に入学して通学用に Kent のステンカラーのコートを買った時には、まさに天にも昇るくらい嬉しくて、毎日自慢げに着ていったのを覚えている。
そう、このコート・・。


 要するに、アイビーとかトラッドとか、流行りものに敏感だった頃の私にとって、Kent は神のようなブランドであった、と言っても決して過言ではないだろう。それなのに・・。
 このシャツは皆定価が2,990円、これでも「何でこんなに安いの?」と唸ってしまうが、イトーヨーカ堂の売値は1,990円、もうこれは安いとか高いとかいう次元を超えて、Kent を崇め奉っていた私にとっては屈辱的な値段である。どういう経緯でこんな安売りブランドになってしまったかは、VAN JACKET の HPにその一端が書かれているが、何故そこまでしなければならなったのか、悔しささえ感じるほどである・・。
 企業の興亡など日常茶飯事で驚くことではないかもしれない。しかし、若かった頃に憧れていた物に、あまりに無残な姿で再会すると、一企業の浮沈というより、ピカピカだった頃の自分を否定されたようで、悲しくも辛くもある。いくら売れないからと言って、己の築き上げてきたイメージをズタズタにしてしまうような暴挙だけはして欲しくなかった。こんな形で Kent というブランド名を残すよりも、スパっと捨てて欲しかった・・。
 私の勝手な思い入れなのは十分わかっているが、それでもやっぱり残念すぎる・・。


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