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レイムダック

 このところ、「レイムダック」という語をよく見聞きする。菅直人首相の現在の状況を指す言葉として使われている。「死に体」とほぼ同義語であろうと推察はできるが、この際正確な意味を把握しておくべきだろうと、調べてみた。

 【a lame duck 「直訳:足の悪いアヒル」】
 政治的指導力や世論の支持がなく任期の残りを惰性で政治運営している無能な大統領。
 アヒルのよちよち歩く(waddle)様子から。アヒルのような歩き方は滑稽で嘲笑の対象。元はイギリス英語で債務不履行の会社のこと。債務不履行の会社の経営者がロンドンの証券街からよたよた歩いて出て行く様をからかって呼んだことが起源。それが1830年代のアメリカで借金を返せない政治家という意味になりさらに上記のような意味に広がった。

なるほど・・。てっきり退陣表明をしたと思われ、政治的求心力がどうしようもなく弱ってしまった菅首相の四面楚歌ぶりを端的に表している。だが、ちょっと待って欲しい。アヒルはたとえ足が悪くとも羽を持っている。歩けなくても羽を使って飛ぶことができる。飛んだはいいが、足が悪ければ着地することもままならない。着地もできずにただひたすらフラフラ彷徨い飛ぶのみ・・、ここまで深読みしてこそ、この言葉が生きてくる。復興相に任じた松本龍が暴言で早々と辞任、原発の安全宣言をしたと思えば、原発を再開するかどうかはストレステストをさせてから・・、などと内閣の迷走ぶりには呆れるばかりだ。思いつきで、場当たり的な政策をいくら重ねても復興にはつながるはずもない。ひょっとしたらアヒルよりおバカなのかもしれない・・。
 
 それでは「死に体」という言葉の正確な意味は何だろう。広辞苑によれば、
『(相撲用語)力士の体勢がくずれて立ち直ることが不可能になった状態』
とある。さらにWikipediaによれば、
『判断基準について明確な基準はなく、実質その時々の行司や勝負審判の判断にまかされている。基本的には、自らの重心を支えきれなかったり、体勢を立て直すことが出来ず、相撲を取り続けられないと判断された状態。逆転は不可能で、技をかけた力士が先に落ちたような場合でも、技をかけられた力士が「死に体」であれば攻めた方が勝ちとなる』
とある。これもなかなか意味深である。
 菅首相を現状にまで追い込んだのは、あくまでも自分自身の不甲斐なさであり、誰かの攻勢を受けた結果ではない。震災発生後、4ヶ月が経とうとしているのに、国の存在が希薄すぎる。政治主導と嘯いてみても、復興の遅れは誰が見ても明らかだ。さらには福島原発の処理問題と今後のエネルギー問題、混迷を続けているのは政府内部での意思の疎通が欠けているからで、まさに墓穴を掘っているとしか思えない。この現状を見れば、菅直人内閣が逆転不可能な状況にあり、「死に体」と宣言されても致し方ないであろう。だが、当の本人、菅直人が「死に体」であることを認めようとしないから、オチのない笑い話のようになってしまう・・。それに、代わりとなるめぼしい人物もいない現状では、「死に体」であろうが、首相を「やりたい」菅がそのまま続けていくのもあながち無理ではないかもしれない・・。

 新聞で読んだが、菅首相の誕生日は10月10日なのだそうだ。もちろん彼自身は首相のまま誕生日を迎えたいだろうが、果たしてそこまでたどり付けるだろうか。私はグダグダとこのまま行っちゃうようにも思うのだが・・。
 
 しかし、希代の粘り腰の持ち主である。いや、「カエルの面に水」と呼ぶべきか・・。
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