じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

「義理と人情」

2008-10-05 00:51:57 | 
義理と人情―僕はなぜ働くのか (幻冬舎新書 み 2-1)
みの もんた
幻冬舎

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★ 日本一、いや世界一テレビに出ている人かもしれない。本書の著者はみのもんた氏である。「朝ズバ」から始まり、昼は「思いっきりテレビ」、そして夜の番組の司会と休む間もなく活躍されている。きっと番組の間に仮眠されているのだろうと思いきや、その時間は家業の経営に費やされていると言う。働きながら充電できる永久機関のような人だなと思った。

★ ところで、本書は実に多くの教訓を教えてくれる。何度も繰り返して読みたい書だ。

★ 人はややもすると「花」しか見ない。花が開花するまでに根や茎や葉にどれほどの営みがあったかを見過ごしてしまいがちだ。そして「花」にあこがれ、時には嫉妬する。

★ みの氏が家業で奔走し、どん底のような時代があったなどとは思いもよらなかった。その時代の営みが、みの氏の精悍な「男の顔」を作っているのであろう。また「苦労」を栄養源とできたことが、みの氏のすごさであろう。

★ 「1円玉を拾え」の話は良かった。毎月の支払に追われる中小企業の苦しさは、ひしひしと実感した。共感した。「義理と人情」「素直であること」。肝に銘じたい話題が満載だった。

★ 誰にでも等しく「新しい朝」は訪れる。そう思うと、また頑張ろうと思えてきた。

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「日本経済に起きている本当のこと」

2008-10-04 04:37:19 | 
日本経済に起きている本当のこと
糸瀬 茂
日本経済新聞社

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★ 糸瀬茂氏が亡くなって7年が過ぎた。あまりにも早すぎる死だった。この金融エキスパートがもし今日生きていれば、日本や世界の経済状況をどのように分析し、どのような処方箋を書いたことだろうかと思う。佳人薄命と言うが、誠に残念だ。

★ 本書は糸井氏が1999年から2000年にかけて、テレビ東京の経済番組のインターネット版に書いたコラム集である。当時の時代を実に鋭く描いており、その論評は時を経て更に価値を高めている気がする。

★ 内容はなかなか高度で経済、金融の門外漢にはいささか難しいが、多額の財政赤字の暴露など今日的な問題がすでに多く提示されている。糸瀬氏は問題の先送りを厳しく戒めているが、小渕、森を引き継いだ小泉、安倍、福田の歴代総理は果たしてこれらの問題と真正面から向き合ったのだろうか。

★ 日々増大する財政赤字を目にすると、糸瀬氏の警告は彼らの耳には届かなかったようである。また、増税、インフレターゲットなど、糸瀬氏が最悪のシナリオと指摘する道を我々は歩もうとしている。

★ 大借金国家日本の前途は多難である。先達のいない旅は実に心細いものだ。

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「経済は地球をまわる」

2008-10-03 03:44:31 | 
経済は地球をまわる―エコノミストの見方・考え方 (ちくまプリマーブックス)
浜 矩子
筑摩書房

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★ 経済学と言うのはどうも肌に合わない。私が学生時代はまだ「マル経だ、近経だ」と論争が華やかな時代だった。

★ 私もマルクスの経済学批判序説を呼んで、上部構造ー下部構造論に心酔したものである。「社会を動かしているのは経済だ」という悟りには達したものの、経済学には政治学や社会学とは違った香りがあり、どうも食わず嫌いになってしまった。

★ 「武士は食わねど」ではないが、銭勘定に偏見があったのかもしれない。単に数学が苦手だったと言うこともある。いずれにせよ、経済学とは距離を置いていた。

★ 時を経て、ふとテレビで浜矩子氏の解説を聞いた。実に面白いではないか。それが本書との出会いである。

★ 本書は経済学のズブの素人が国際経済について学ぶ際には最適の書であろう。著者はグローバル経済の第一線で活躍されたエコノミストである。解説が実にわかりやすく、その経験から滲み出るエピソードはたいへん面白い。語り口もいわゆる学者の格式ばったものではなく、読みやすい。

★ 経済学とは身近なものだなと感じた。

★ 私は、「風が吹けば桶屋が儲かる」の話、「神の果樹園」の話、グローバル化の話(大航海時代とIT社会の到来)の話が面白かった。

★ 成長(雇用創出)、競争(強者生存)、分配(弱者救済)の三角形はとても参考になる認識枠だと思った。この三角形の揺らぎが社会を動かしているんだなと思った。

★ 嫌いな経済学に少しだけ興味がもてるようになった。

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「おくりびと」

2008-09-21 16:20:54 | 
おくりびと (ビッグコミックススペシャル)
さそう あきら
小学館

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★ コミックで「おくりびと」を読んだ。納棺師の話だ。この作品を読むまでは納棺師と言う職業があることも知らなかった。葬儀屋さんがやるものだと思っていた。

★ 人にはいろいろな死に方があるけれど、確実なのは誰でも死を迎えるということだ。その最後を見送ってくれる人、それが「おくりびと」なのだろう。

★ 葬儀屋にもいろいろとあり、儲け主義の悪徳業者もあると聞く。一方でこの作品で描かれているような亡くなった人や遺族の気持ちになって送ってくれる人たちもいるのだなぁと思った。

★ 後半、銭湯のおばあちゃんが亡くなっていつもしているリボンを巻いてあげるあたりから涙腺が緩んできた。その後は胸が熱くなるばかりだった。

★ 死とは何か、生きるとは何かを考えさせられるし、人は本来やさしいものだなぁとも思った。
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図書館の魅力が満載

2008-09-21 13:59:45 | 
図書館に訊け! (ちくま新書)
井上 真琴
筑摩書房

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★ 「すこしのことにも先達はあらまほしきことなり」とは徒然草の有名な一節だが、情報の大海を航海するには、信頼のできる航海士がいて欲しいものだ。

★ 「図書館司書」を志す塾生がいて、図書館情報学が学べる大学への入試に向け、小論文対策で悪戦苦闘している。私はそれを横目に、人が勉強していることに興味をもってしまう習性が目覚めて、専門外ではあるが図書館に関する本を買った。

★ 前川恒雄・石川敦「新版図書館の発見」(NHKブックス)、菅谷明子「未来をつくる図書館」(岩波新書)、藤野幸雄・荒岡興太郎・山本順一「図書館情報学入門」(有斐閣アルマ)そして、井上真琴「図書館に訊け!」(ちくま新書)である。

★ 中でも「図書館に訊け!」が面白かった。まず著者の本に対する造詣の深さに感服した。多くの著書に接し蓄積されたデータベースから的を射た引用をされているので、実に奥深い内容となっている。文章の背後にある大きな世界が感じられた。

★ 著者は現役で大学のレファレンス業務を担当されているという。それゆえ本書は大学図書館を中心とし、学生が図書館をいかに活用するかというという視点で描かれている。ただ、学生に限らず、本好きの人や書籍、資料を活用することの多い人には大いに参考となる内容だ。

★ 私は永井荷風と谷崎潤一郎が終戦の前夜に飲み明かし、翌8月15日、何時ごろ別れたのか。別れた時間が玉音放送の前か後かという疑問を古い時刻表から解明したという下りが面白かった。適塾の「ヅーフ部屋」の話も良かった。

★ メディアが多様化し、情報化も急速に進んでいる。確かに便利になった。私は学校経営の実践史に興味があるが、国会図書館の尽力で明治時代の貴重な文献が家にいながらネットで閲覧できるようになった。学生時代、東京の国会図書館まで出かけ、出架依頼を繰り返した日々を思い出す。

★ 一方で、子どもたちの活字離れは言われて久しいし、地方財政の困窮や図書館専門職の養成など、公共図書館経営の難しさも聞く。

★ 図書館は時代と共に変遷を辿るのであろうが、どの時代になっても図書館が担う機能はなくならないであろう。また新たなニーズが生まれるかも知れない。例えば、増大する玉石混交とした情報の中で、個人が求める情報をいかに提供するか、あるいは情報を得るための手順をいかに導くかというサービスなどであろう。

★ 私は本が好きだ。本の収集に走っていた時期もあるが、昨今は保管にも困り少々減量している。積んどくだけになっている本を一生の間に読めるのかも疑問だ。それでも本に囲まれていると落ち着く。私にとって本は精神安定剤のようなものか。

★ 本書を読んで、図書館へ足を運んでみようと思った。
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「貧困大国アメリカ」

2008-09-06 11:48:57 | 
ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112)
堤 未果
岩波書店

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★ 超大国アメリカ。繁栄の頂点に達したかに見えたこの国の傲慢さ、もろさが21世紀になって暴露されてきた。1つは大量破壊兵器の存在をでっちあげてイラクに侵攻したこと。1つは経済格差の現実である。

★ 堤未果著「ルポ貧困大国アメリカ」はこうしたアメリカの現実を痛いほどえぐり出している。

★ 教育、医療の民営化。「民営化」といえば効率化が図られ、競争によってサービスの向上が実現できると言う印象があるが、反面、それは営利を目的とする活動であるから、弱者切捨てになりやすい。

★ 世界経済を大きく揺るがしているサブプライムローンにしても、手段を選ばない収奪装置だとも言えよう。

★ 経済格差拡大の現実は度重なるハリケーンの被害が物語っている。

★ こうした現実を踏まえて、「教育」「いのち」「暮らし」といった政府の主要な仕事が「民営化」され、市場原理で回されるとき、はたしてそれが「国家」と呼べるのか(10p)と著者は問題提起する。

★ 私が最も衝撃的だったのは、貧困と兵士調達のメカニズム、そして「民営化された戦争」という字句だった。今や戦争もビジネスとなっているのだ。国家のリーダーがいかに大義名分を演説し、合衆国憲法がいかに高尚な理念を掲げようとも、現実は金儲けの構造ではないか、と思った。

★ 大衆をうまく口車に乗せ、体よく搾取する。アメリカと言う国の裏側には大きな権力構造が潜んでいるような気がした。政治家もまた彼らの捨て駒なのかもしれない。

★ 本書では9.11以降のマスメディアの動向にも批判を加えている。自国が攻撃を受けたことに対して感情的になるのは当然だ。しかし、メディアが一斉に愛国心を吹聴した背景には大資本に牛耳られるメディアの現実があるという。

★ 著者は「民主主義には二種類ある」と述べる(186p)。国民が指導者にとって都合の良い「消費者・捨て駒」と扱われるか、尊厳をもった「いのち」として扱われるかだという。

★ いささか極端の感もあるが、確かに真理の一面を突いている。問題は時として国民が前者のようなリーダーを選んでしまうことである。例えば、小泉首相の高人気は一体何だったのか。ヒトラーだって最初から軍の力を背景に政権を掌握したのではなかろう。

★ 誰が加害者で、誰が被害者なのか、この見えにくさが問題を難しくしているように思える。その混乱を尻目に富を蓄積し、権力を拡大している人々がいるのだろう。

★ 本書は小泉改革以降の日本への警告の書である。 
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「プロ法律家のクレーマー対応術」

2008-05-28 12:20:52 | 
プロ法律家のクレーマー対応術 (PHP新書 522)
横山 雅文
PHP研究所

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★ 日本もクレーム社会になってきた。消費者意識の目覚めという側面はあるものの、自己中心的な主張を繰り返す人やクレームをつけることによって金などの利益を得ようとする不逞の輩も横行してきた。

★ 「架空請求」などの相手の見えない詐欺犯も気色悪いが、大声を張り上げたり、ねちねちと自己主張を繰り返す人々とのやり取りは大変だろう。

★ 本書はこうした悪質クレーマーのターゲットになってしまったとき、どのように対処すればよいのかを現役の弁護士が易しい言葉で丁寧に教えてくれている。

★ まず肝心なのは「悪質クレーマー」の見きわめだ。本書では悪質クレーマーを4つに分類し、そのそれぞれの特徴、対処法を指南してくれている。

★ クレーマーが増えて、弁護士が儲かるというのも嫌な世の中だとは思うが、企業にとっては危機管理としてしっかりとした心構えと危機対応の仕組みを整えておくことが必要なのだろう。

★ クレーマー対応は「病」と同じで、早期に専門家と相談し、相手を見極め、それに応じた対処をすることが必要だなと思った。
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元気のいい研究者たち

2008-05-08 00:15:17 | 
近代日本教育会史研究 (学術叢書)

学術出版会

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★ 梶原雅史編著「近代日本教育会史研究」を購入した。

★ 戦前の教育会とは不思議な存在だ。教育に関係する幅広い人々が中心となり、さまざまな啓蒙活動を展開していた。

★ 私は大学院生時代、京都府立資料館で京都府の教育会雑誌と奮闘した記憶がある。戦前の教育を研究する際に教育会が発行した機関紙は実に貴重でありがたい資料である。

★ その内容は、海外の新思潮の紹介、著名人の講演の記録、地方の通俗教育(社会教育)のありさまなど多彩だ。

★ 教育会をめぐっては梶原氏のいくつかの力作を拝見したことがある。教育会雑誌の所蔵をリストアップされた資料を拝見した時にはびっくりした。今後戦前の教育史を学ぶものにとってはこの上もなくありがたい資料であろう。

★ 余談になるが、岐阜県立図書館のホームページで「岐阜県教育史」の目次が公開されている。それを見てまたびっくりした。すばらしい。この傑作を参考に各地で史料が掘り起こされ「教育史」が編纂されればありがたい。

★ 本著「近代日本教育会史研究」はこうした梶原氏の研究を背景に、中堅、若手の研究者が腕を振るった力作だ。詳細はまだ読んでいないが、目次を見るだけで研究者の元気のよさが感じられる。

★ 「地方改良運動期」の学校のあり方の研究で知られる笠間賢ニ氏。今後の研究がとても楽しみな広島大学の白石崇人氏や東北大学の佐藤高樹氏。白石氏、佐藤氏はブログを拝見していて研究への熱意がひしひしと伝わってくる。すばらしい。

★ 学校経営の分野ではかつて木岡一明氏を中心にTESS研究会があり、「大学における教員養成」の歴史的研究などいくつかの力作を残したが、研究会を通して成長していく研究者の姿を見て、すごいなぁと感心したものだ。

★ 研究者は命を削って研究に心血を注ぐ。論文を1本書くと寿命が縮むともいう。論文がまとまったといってもその余韻に浸るのはほんの一瞬で、次の課題が待ち構えている。実利を追求すればこれほど縁遠いものはないだろうが、あふれ出る知的好奇心に寝食を忘れる研究者の姿はすばらしいと思う。

★ そしてその成果を比較的廉価で共有できることをありがたく思う。
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内田朝雄著「いじめ学」の時代

2008-04-29 22:57:52 | 
〈いじめ学〉の時代
内藤 朝雄
柏書房

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★ 「いじめ」という現象を記述する本は数多くあるが、「いじめ」の発生メカニズムに迫ったものは見かけない。この本はこのメカニズムの解明に挑戦した「いじめ学」の入門書である。

★ 本書の特色はまず、著者がなぜ「いじめ」研究をはじめたのか、自らの生い立ちを掘り下げている点である。両親との葛藤、管理教育との戦いなどリアルの描かれていた。

★ 私は著者とほぼ同じ世代だが、当時の京都の公立高校は愛知県とは大きく異なっていた。高校三原則(京都府は長期にわたり革新勢力が政権を握っていた)があり、とにかく「自由」を謳歌していた。もちろん大学への現役進学率は芳しくなく、京都の高校生がどうして地元の京都大学に行けないのかとよく批判されていたし、「一浪」は「ひとなみ」として浪人は当然のように考えられていた。

★ 高校は大学進学への予備校ではないといったムードがあった。

★ 教師も組合活動には活発だったが、管理教育には全く関心がないようだった。それで生徒に問題行動が多かったかといえば、決してそうではなかった。

★ もちろん京都府の公立高校の平均的なレベルが今よりは高く、小学区制(小学校ごとに行ける高校が決まっている)、総合制(普通科、商業科、家政科などが1つの学校に設置されている)の影響で勉強の得意なことそうでない子が1つの学校に共存していたということもある。

★ 府政が革新から自民党に変わり、また80年代の中学校が荒れた時代を経て、京都府の高校教育制度も大きく変わった。

★ 話は戻って、東郷高校の管理教育や封建時代の小役人のような教師達に怒りを覚えながらページを進めた。

★ いじめ発生のメカニズムは実に興味深かった。「世界がうまく開かれている」感覚の喪失→無限の生の腐食感=「欠如」→全能感の要請。表現は難しいがなんとなくわかるような気がする。

★ 学級に存在するヒエラルキーや「ノリ」が支配する環境も鋭い指摘だと思う。

★ 最後に処方箋を提示しているのもすごい。短期的解決策として提示された「暴力は法で裁け(警察の介入に躊躇するな)」はまったくその通りだと思うし、「学級制度を解体せよ」というのはとりわけ高校レベルではごく短期間で実行できるのではないだろうか。

★ 私が高校生時代は大学に模した形で、ホームルームはあったものの授業はほとんどが講座制だった。そして今の「単位制」高校よりももっと選択肢が多かった。

★ 警察の介入については、警察が民主的に運営されているといった前提だけは留保したいものだ。そうでないと学校にかわって警察によって管理される社会になってしまう。

★ 中長期的な展望については誰もがそれぞれの「カタチ」を想定できるだろう。脱学校も1つの方法だし、インターネットなど新しい技術が開発されるにともなって、「学校」自体が変わって当然だと思う。

★ 「いじめ」問題は、子どもの世界だけの問題ではない。封建社会、ムラ社会、全体主義、さまざまな時代背景の中で「いじめ」は展開されてきた。背後には人間の嫉妬や劣等感、優越感など根源的な心理があるのだろう。実に人間的な事象だとも言える。

★ 内田氏の「いじめの社会理論」を読み進めて、思考を深めたい。
 

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本の個性

2008-04-28 12:37:24 | 
★ 多読していると本にも個性があるのに改めて気づく。新書、文庫の類を中心に読んでいるが、島田紳助氏やみのもんた氏の本は実に読みやすい。いつもの語り口調で、言葉がわかりやすい。こうした本は著者の人生の厚みが勝負になる。とても個性的だ。

★ 対極をなすものが大学の先生が書いた本だ。論文を噛み砕いて説明されているのだが、「アカデミズム」からなかなか脱却できないらしく、その真面目さからか数字や引用が多くなる。実証や科学性、普遍性を重んじてなのだろう「脱個性」が個性である。こうした本は読む側にも構えが必要だ。

★ これに最近増えてきたのがジャーナリストによるもの。出版社側もさすがに大学の先生の文章ではセールスに影響があると見えてか、アカデミックな内容を更にわかりやすくしたものなどが見られる。

★ ルポ、ノンフェクションといった領域ではジャーナリストの文章が冴える。ただジャーナリストのジャーナリストたる所以は「現場にいる」であったり、目撃者、体験者であるということだろう。豊富なインタビューや取材に基づいて構成するもよい。ただ文献をまとめただけのレポートには閉口する。
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