★ 連日良い作品に出会える。今日は石田衣良さんの「美丘」(角川文庫)を読み終えた。
★ 以前、テレビのドラマで断片的に観た覚えがある。美丘役は吉高由里子さんだった。
★ 前半は普通の大学生たちの様子。仲良しグループで集まっては恋バナに花を咲かし、誰かしらのバカ話で盛り上がっていた。
★ そんなとき、グループの一人、太一がちょっと風変わりな女性と出会う。それが美丘。太一は急速に美丘に魅かれていく。太一は自分にないものを美丘の中に見ていたのかも知れない。急速に接近した二人は同棲を始める。
★ そこまでなら単なる恋愛小説。実は美丘は幼い頃負ったケガが原因でクロイツフェルト・ヤコブ病(いわゆる狂牛病)に感染していた。発症すれば現代の医学では手の施しようがなく、運動機能や記憶を失い、数か月から数年で死んでしまうという。
★ そして、遂にその兆候が始まった。
★ 作品は太一が美丘に語り掛けるような2人称で書かれている。終盤は泣ける。
☆ 今から40年ほど前になるだろうか、大阪駅西口の地下街に小さな飲み屋が連なる飲み屋横丁があった。そのある店ではホルモンの煮込みやテールスープが提供されていた。メニューには「ブレイン」というのがあり、それは牛の脳を薄切りにしたものだった。ゼリーのような食感、ごま油で味付けされていた。興味本位で食べてみたが、今ではありえないことだろうなぁ。