★ ドラマ「不適切にもほどがある」は面白いが、だんだん人間関係が複雑になってきた。それにしてもコンプライアンス(とりわけジェンダーについて)ばかり言っていると、昭和の演歌や歌謡曲はほとんどが不適切になってしまうかも知れないなぁ。
★ さて今日は、高橋弘希さんの「送り火」(文藝春秋)を読んだ。
★ 都会から地方に転校した中学生が主人公。風習の違いを実感しながらも、友達ができて、それはそれで楽しい生活を過ごしていた。
★ 前半は児童文学のような、長閑ささえ感じる。
★ ところが100ページを超えたあたり、第4章から空気がガラッと変わる。前半からは想像もつかないような暴力が次から次と描かれる。人間の内奥にある毒々しさが爆発する。
★ 倫理的、道徳的には多くの問題をはらんでいるが、物語としてはこの第4章が迫力があって、一番面白かった。
★ 第159回(2018年)、芥川賞受賞作。