イザヤの預言通りに繁栄したティルスの滅亡は、人々にとって予測できない出来事であり、泣き叫びたくなる悲しい出来事だったに違いありません(イザヤ23:5,6)。
ティルスは古くからの繁栄した都市でした。イザヤの次の言葉はそのことを思い出させています。
「これが、昔から、初めの頃から歓喜していた、あなた方の町なのか」(イザヤ23:7前半)。
ティルスの繁栄の歴史は、少なくともはるかヨシュアの時代にまでさかのぼります(ヨシュア19:29)。ティルスは長年の間に、金物、ガラス製品、紫の染料の生産地として有名になりました。ティルスの紫の長い衣には高値が付き、貴族たちはティルスの高価な織物を競って求めました(エゼキエル27:2,24と比較)。また、ティルスは、陸路を行く隊商の交易の中心地であると同時に、輸出入品の大きな集散地でもありました。ですから、ティルスの都市は「初めの頃から歓喜していた」のです。
さらに、このティルスの都市は軍事面での強さも備えていました。歴史学者のL・巣プラグ・デ・カンプはこう書いています。「フェニキア人は特に戦争好きだったわけではない。- 彼らは兵隊ではなく実業家だった - が、都市の守備にかけては熱狂的なまでの勇敢さと頑強さを示した。そうした特質と海軍力とが相まって、ティルス人は、当時最強のアッシリア軍の攻撃にも、最後まで持ちこたえた」。
確かに、ティルスは昔から、地中海世界で名をはせたのです。続いてイザヤは次のように記しています。
「彼女は遠い土地に住むために足を運んでいた」(イザヤ23:7後半)。
上の聖句の「彼女」とはフェニキア人のことです。フェニキア人は遠くまで旅をし、交易所や寄港地を設けました。そうした場所が植民地になることもありました。例えば、アフリカ北岸のカルタゴは、ティルスの植民地でした。やがて、カルタゴはティルスをしのぎ、地中海世界においてローマと勢力を争うまでになりました。ティルスの繁栄は長く続くことなく、先のイザヤの預言通り滅びに至ったのです。
繁栄していたティルスの、当時の様子や富のことを考えると、イザヤ興味深い内容を記しています。その事については、次回にお伝え致します。
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