宮応かつゆきの日本改革ブログ

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思想家内田 樹氏新書「サル化する世界」が話題にー「今、文明史的危機」に (2)

2020年04月01日 | 未来社会へのプロセス

 3月29日の「東洋経済オンライン」に、次ぎのような記事が掲載されました。

「日本社会がサル化しているーー。新書『サル化する世界』でそう鋭く指摘するのは思想家の内田樹氏だ。内田氏が言う『サル化』とは何か。コロナ危機に際して考えるべきことは。編集部からの質問に回答してもらった」

 内田氏は、たびたび「しんぶん赤旗」紙面にも登場して、私たちにも様ざまな示唆に富んだ発言をしていただいている方です。「質問」の中から、私なりに考えさせられた「記事」を紹介させていただきたいと思います。

「--『サル化する世界』という挑発的なタイトルに込めた思いを教えてください」

内田氏『サル』というのは『朝三暮四』のサルのことです。サルが今の自分さえよければそれでよくて、未来の自分にツケを回しても気にならないのは、ある程度以上の時間の長さにわたっては、自己同一性を保持できないからです」

「過去、現在、未来にわたる広々とした時間流の中に自分を位置づけることができない人間には、確率、蓋然性、矛盾律、因果といった概念がありません。『文明史的危機』に際会している」

--過去と未来をふくんだ視点で『今』を考察する力は、なぜ急激に失われてしまったのでしょうか」

内田氏ー最大の原因は基幹産業が農業から製造業、さらにはより高次の産業に遷移したことだと思います。農業の場合でしたら、人間は植物的な時間に準拠して暮らしていました。農夫は種子をまいている自分と、風水害や病虫害を防いで働いている自分と、収穫している自分が同一の自己であるという確信がないと日々の苦役には耐えられません」

「でも、いま、最下層の賃労働者は今月の給与をもらっている自分より先の自分には、同一性を持つことができません。だって、1カ月後に自分がどうなっているかさえ予測がつかないから」

「それは富裕層も同じです。株の取引はマイクロセコンド単位で行われている。それ以上タイムスパンを広げても意味がない。企業だってそうです。今から10年前にGoogLeやAmazonが『こんなふう』になると予測した人はほとんどいなかった。10年後にどうなるかもわからない。長い時間の流れの中に自分を置いて、何が最善の選択なのかを熟慮するという習慣を現代人は失って久しい」

--いま一連のコロナ騒動を見ていると、後手後手に場当たり的な対応をする政府から、不足物資を買い占めに走る人々の狂騒まで、まさに”サル化”する日本です。そこには日本特有の構造的要因もあるのでしょうか」

内田氏ー日本固有の現象ではないと思います。無能な政府であれば、どこでも対策は後手に回るでしょうし、トイレットペーパーの買い占めも世界のどこでも起きていますから。サル化しているのは日本人だけではないよと言われて安心されても困りますが」

「--危機管理に真に必要な知性とは何でしょうか」

内田氏長いスパンの中で、ものごとの理非や適否を判断する習慣のことだと思います。歴史的にものを見る習慣があれば、『危機だ』と騒がれる出来事の多くが『過去に何度も繰り返されていることの新版』であることがわかるはずです。それならば、浮足立つ必要はない。どういう文脈で起きて、どう展開するか、だいたいわかるから」

そうやって、『よくある危機』をスクリーニイングしておかないと、本当の前代未聞の危機に遭遇したときに、適切に驚くことができません」