宮応かつゆきの日本改革ブログ

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総選挙で市民と野党の共闘で政権交代を、共産党の躍進をめざします。

「気候変動の問題ー『資本論』のなかに問題解決への手がかりがある」-「改定綱領講座」 (2)

2020年04月14日 | 綱領関連

 志位さんの「改定綱領」講義内容を引き続き紹介させていただきます

「もちろんこの課題は待ったなしであり、資本主義のもとでも、そうした『システムの移行』を実現するための最大の努力を緊急に行なっていく必要があります。ただ少なくとも、資本主義に特有な利潤第1主義を。かなりの程度まで規制、抑制する社会システムが必要になることは間違いないのではなでしょうか」

 そして、次ぎのように、語りました。

【気候変動の問題ーー『資本論』のなかに問題解決への手がかりがある】

「マルクスが生きた時代は、18~19世紀初頭に起きた『産業革命』から間もない時代であり、地球的規模の環境破壊は問題にならなかった時代です。それでも『資本論』のなかには、この問題の解決の手がかりになる論理があります。マルクス『資本論』から3つの文章を抜き書きしてみました」

第1の文書。マルクスは『資本論』のなかで、人間の生産活動、経済活動を、自然と人間との『物質代謝』のなかに位置づけました。『労働は、使用価値の形成者としては、あらゆる社会形態から独立した、人間の一生存条件であり、人間と自然との物質代謝を、したがって人間生活を媒介する永遠の自然必然性である』」(「資本論」第1部第1編第1章「商品」、新版①79㌻)

「ここでマルクスが使っている『物質代謝』とは、もともと生物学の言葉です。すべての生命体は、外界から栄養物資などを取り込んで、体のなかで変化させて、自分に必要な構成物質につくりかえ、エネルギー源としたうえで、不要な部分を対外に排出しています。どんな生命体でもやっていることです」

「これを生物学で『物質代謝』と呼びますが、マルクスは、この言葉を使って、人間が労働によって、自然からさまざまな物質を取り込み、それを加工して自分の生活手段に変えることを、生命体になぞらえて、『自然との物質代謝』と呼んだわけです」

第2の文章。資本主義的生産は、利潤第1主義による産業活動によって、人間と自然との物質代謝の前提になっている自然の環境を破壊していきます。『資本主義的生産は、それが大中心地に堆積させる都市人口がますます優勢になるに従って、一方では、社会の歴史的原動力を蓄積するが、他方では、人間と土地とのあいだの物質代謝を、すなわち、人間により食料および衣料の形態で消費された土地成分の土地への回帰を、したがって持続的な土地豊土の永久的自然条件を攪乱する」(「資本論」第1部第4編第13章「機械と大工業」新版③880~881㌻)

「ここでは、『物質代謝』の『攪乱』という分析が現れます。『持続的な土地豊土の永久的自然条件を攪乱する』とは、資本主義的な利潤第1主義の農業生産によって、土地の栄養分がなくなってしまい、荒れ地になってしまうことを言ってす。当時、自然環境の破壊は、こうした農地の破壊という形で問題になっていました」

~中略~

「現代の資本主義的生産は、まさに利潤第1主義が猛威を振るうことで、地球規模での環境を『攪乱』=破壊し、気候変動を引き起こすまでにいたっていますが、その最初の現れの一つを、マルクスはこういう言葉でのべていたのであります」

(つづく)

 


「気候温暖化ー前例のないシステム移行ー資本主義が根本から問われている」-改定綱領講座より(1)

2020年04月13日 | 綱領関連

 日本共産党の志位和夫委員長が3月14日に行った「改定綱領が開いた『新たな視野』」の講義内容が、「しんぶん赤旗」日刊紙に3月22日(日)から毎週日曜日、4月12日(日)まで4回にわたって掲載されました。多くの読者が楽しみにしながらお読みいただいたのではないでしょうか。講義内容は、中央委員会のホームページでも視聴できますが、文章で読むとまた、違った深まりがあるように思います。DVDを活用した学習会も、コロナウイルス対策をしながら進められています。パンフレット又は本の発行が待たれています。

 この間、「新型コロナウイルス」問題について考えてきました。人間社会の未来に深く関わる問題であることはが分かり始めているところです。そして一つの大きな疑問が、「地球の気候変動とウイルス、特に新型コロナウイルスの関係」であり、「資本主義のシステムの問題」です。

 志位さんの講義の中から、「気候変動」に関する部分を紹介し、考えて見たいと思います。(しんぶん赤旗「改定綱領学習講座」③4月5日付より)

「大会の綱領報告では、『いま注目すべきは、こうした(気候変動抑止の)運動にとりくんでいる人々のなかから、いまのシステムで解決策がないならば、システムそのものを変えるべきだ”という主張が起こっていることであります』とのべました」

「ここで紹介したいのは、この問題で、国連などにより設立された『気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が作成した『1・5℃特別報告書』(2018年)であります。この『特別報告書』では『予測される気候変動のリスクを詳細に明らかにするとともに、『1・5℃以内』に抑えるためには、”社会のあらゆる側面において急速かつ広範な、前例のないシステム移行が必要”だと強調して、次ぎの柱を列挙しています」

「-再生可能エネルギーへの大規模な置き換え、エネルギー消費の削減、エネルギー最終消費の電化の急速な進行など、『エネルギー分野におけるシステムの移行』

「-エネルギーの効率化、持続可能なバイオ燃料、リサイクル、電化および水素、二酸化炭素の回収・利用・貯留など、『産業分野におけるシステムの移行』

「-運輸および建物における大幅な温暖化ガス排出削減など『都市・インフラ分野におけるシステムの移行』

「-牧草地、農地、森林など、『土地利用分野におけるシステムの移行』

このように、社会のあらゆる分野における『システムの移行』が必要だということを言っています。たんにエネルギーを再生可能エネルギーにするだけでなくて、社会の全面的な『システムの移行』が必要だというのが、IPCCの『1・5℃特別報告書』に書かれているのであります」

「これらの前例のない全面的な『システムの移行』が、はたして資本主義のもとで実行可能かどうか、これは大きな問題だと私は思います」

 


「地球の最大の脅威は人類」 ”人類は解決できる”-米国の人類生態学者ジャレド・ダイアモンドさん

2020年04月12日 | 綱領関連

「読売」紙の10日付に、米国の人類生態学者ジャレド・ダイアモンドさんのインタビュー記事が掲載されました。同氏の近著「危機と人類」は日本でも評判になっているとのことです。私はまだ、読んでいません。同記事でジャレドさんが語っている「人類の4つの脅威」には、共感するところがありました。

 インタビュー記事は、「新型コロナ」問題から始まっていますが、後半部分の「4つの脅威」について紹介させていただきたいと思います。(一部、略)

-『危機と人類』で21世紀の4つの脅威を挙げていますね」

(ジャレド・ダイアモンド氏)第1は、核の脅威。日本は1945年の被爆体験に加え、中国と北朝鮮という核を持つ隣国があるので特に敏感でしょう。核を持つ2つの国が敵対する場合、相手の報復を封じ得ると確信すれば、核攻撃を仕掛ける恐れはある」

第2は、気候変動。短期的地域的な寒冷化はありますが、長期的総体的に地球は温暖化している。氷山が解けて海面が上昇し、国土の大半が低地のバングラデシュなど存亡の危機に直面している国があります」

第3は、資源の枯渇。石油・天然ガスなどエネルギー資源は無論ですが、再生可能な資源の魚介類、木材、表土、真水も乱獲や乱開発で減少、衰弱している。資源を消費する世界人口は今、1900年までに生存した全人類の総和よりも多いとの学説もある。昔に比べて1人あたりの資源消費も増えている。資源の再生は難しくなっています」

第4は先進国とそれ以外の国々との経済格差。私の見立てでは、先進諸国の計12億人の生活水準は、残る65億人の30倍以上。この不平等は先進諸国にとって脅威でもある。豊かさを求める移民の大量流入はその一つ。また、先進諸国に対する不満が全く意図しない形で表れることもある。中国発の新型コロナが米欧で猛威を振るっている現象に私はそうした不満の影を見てしまう」「4つの脅威は喫緊の課題で、今世紀半ばまでに解決する必要があります」

「-自身を楽観主義者と称していますが」

(ジャレド・ダイアモンド氏)ー人類の直面する脅威が地球に衝突する大惑星であるのであれば、人類は対処できない。私は悲観主義に陥ります。しかし、地球の最大の脅威は人類です。4つの脅威は全て人間の作為です。人類が本気になれば、解決できるはずです」

「私は環境保護活動に長らく取り組んできました。石油大手など大企業は敵でした。ところが、この15年来、資源に限りがあることに正対し、自然環境に配慮する大企業が現れてきた。米国で言えば、石油大手のシェブロンや小売り大手のウォルマートなどです」

「危機を危機と認める誠実さは、克服に向かう一歩です。私は今、人類が脅威の排除に成功するか確率を52%、失敗する確率48%と見なしている。慎重な楽観主義者であるゆえんです」


「人類はコロナとどう戦っていけばよいのか」-”権力の変容が起こる” 仏経済学者ジャック・アタリ氏の提言

2020年04月11日 | 新型コロナウイルス対策

「日経」紙9日付に、仏経済学者ジャック・アタリ氏が(1943年生まれ。81~91年、ミッテラン大統領の特別顧問。91~93年、欧州復興開発銀行初代総裁)「コロナと世界」欄に登場し発言しています。

「新型コロナウイルスの感染拡大は人類にとって歴史的な危機になりつつある。世界は今後どう変わっていくのか。人類はコロナとどう闘っていけばよいのか。ー新型コロナは世界経済をどうかえますかー

(ジャック・アタリ氏)危機が示したのは、命を守る分野の経済価値の高さだ。健康、食品、衛生、デジタル、物流、クリーンエネルギー、教育、文化、研究などが該当する。これらを合計すると、各国の国内総生産(GDP)の5~6割を占めるが、危機を機に割合を高めるべきだ」

「経済の非常事態は長く続く。これらの分野を犠牲にした企業の救済策を作るべきではない。そして、企業はこれらと関係のある事業を探していかなければならない」

 

-世界経済を立て直すのに必要なことは」

(ジャック・アタリ氏)誰も第1の優先事項とは考えていないようだが、ワクチンと治療薬に極めて多額の資金を充てることだ。いくつか支援策は発表されているが、ばかげたいると言わざるを得ないほど少額だ。この問題はワクチンや治療薬があれば解決し、なければ解決しない。それにより危機は3カ月で終わるかもしれないし、3年続くかもしれない」

-人類史的にみて新型コロナはどんな意味をもつのでしょう

(ジャック・アタリ氏)権力の変容が起こるとみている。歴史上、大きな感染症は権力の変容を生んできた。例えば15世紀ごろにはペストの発生を機に教会から治安当局に権力が移った。感染者を隔離するなどの力を持ったからだ」

「その後の感染症で、人々は科学が問題を解決すると考えるようになった。治安当局から医学への権力の移転だ。これまで我々はこの段階にいた。新型コロナの対策ではテクノノロジーが力を持っている。問題はテクノロジーを全た主義の道具とするか、利他的かつ他者と共感する手段とすべきかだ。私が答える『明日の民主主義』は後者だ」

-中国では経済活動が再開しつつあります。危機を乗り越えた勝者となるのでしょうか」

(ジャック・アタリ氏)そうは思わない。技術を持った国としての存在感は高まるが内政で大きな問題を抱える。米国内が分断を続け、欧州が中国によるアフリカなどへのコロナ支援を黙認する。この2つの”失敗”が起こらない限り、中国が世界の中心にのし上がることはない。中国という国の透明性のなさに、世界からはますます不信の目が向けられる

「しんぶん赤旗」11日付は、小池晃日本共産党新型コロナウイルス感染症対策本部長(医師)の現時点での日本共産党の対策・提言等について、詳細に応えたインタビュー記事を掲載しています。その中の、「ワクチン開発」問題についての発言部分を紹介します。

【ワクチン開発に低すぎる予算、国家事業としての規模が必要】

「-ワクチン開発の問題はどうでしょうか」

小池氏ー感染を収束させるためには、ワクチンの役割が決定的になります。しかし、政府の補正予算案ではワクチン開発支援に100億円、国際的な研究開発に216億円などとなっていますが、これも規模が小さすぎます。アメリカでは、2月に新型コロナのワクチン研究・開発費に3300億円の予算を成立させました。ここでも桁違いです」

「ワクチンは、せっかく開発しても収束すると収益にならないことなどから、日本の大手メーカーは開発に消極的です。諸外国のように国家的事業として、開発に財政を投じなければなりません」

 


「12億人雇用危機、16億人授業受けられず、世界貿易最大32%減」-”新型コロナが世界に甚大な影響”

2020年04月10日 | 新型コロナウイルス対策

 「しんぶん赤旗」9日付の次の記事に強く引き付けられました。

【12億人 雇用危機ーILO報告】

「『12億人雇用危機』ILO報告」-「国際労働機関(ILO)は7日、新型コロナウイルスの影響で世界の労働人口の約38%にあたる12億5000万人が一時解雇や給与削減のリスクに直面しているとの報告書を公表しました」

「第2次大戦以来の『最も深刻な危機』と強調し、各国が早急な経済対策を取るよう求めました」

「ILOは、大きな影響を受ける職種として小売り、宿泊、飲食、製造業を列挙。今年の第4半期(4~6月)中に全世界の総就労時間が前期比で6.7%減少するとの推計を明らかにしました。これは労働者1億9500万人が職を失うのと同じ計算になります」

「また、報告書は世界の労働人口の約81%に当たる27億人が感染拡大対策としてロックダウン(都市封鎖)の影響を受けているとも分析」

【学校閉鎖約16億人行けず、180以上の国・地域ーユネスコ集計】

「国連教育科学文化機関(ユネスコ)の7日現在の集計によると、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、学校閉鎖を全土で行っている国・地域は180以上に上ります。全世界の児童・生徒の91.3%に当たる約15億7600万人が授業を受けられていません」

ユネスコは、学校閉鎖について、『多くの子どもが栄養摂取を学校給食に頼っているが、それが難しくなる』『貧困家庭には十分な通信環境がなく、オンライン学習で不平等が生じる』といった問題を警告しています」

【世界貿易 最大32%減ーWTO20年予測】「朝日」10日付)

「世界貿易機関(WTO)は8日、2020年のモノの貿易量が前年比で最大32%減るとの見通しを発表した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で世界的に経済活動が停滞しており、リーマン・ショック時を大幅に超える落ち込みを予測している」

地域別では、北米とアジアが深刻な打撃を受けそうだ。産業別では、サプライチェーン(部品供給網)が複雑で回復に時間がかかる電気や自動車の落ち込みが大きいとみている」

 

 

 

 

 


「最大のピンチは最大のチャンス」 ”新型コロナ危機から何を学ぶか、日本の未来が決まる” 本田 宏医師

2020年04月09日 | 新型コロナウイルス対策

「新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令を受け全国知事会は8日、緊急対策本部を開き、国への『緊急提言』と医療崩壊を防ぐために国民に協力を求める『宣言』を近日中にとりまとめることを決めました。『緊急提言』では、感染防止には国民の理解と協力が不可欠だとして、感染拡大防止のための休業などで影響を受けた事業者への損失補償を』国に求めます患者数が大幅に増えたときに備えた医療提供体制の整備なども盛り込みます」(「しんぶん赤旗」9日付)

 15人の知事が参加したテレビ会議で、黒岩祐治神奈川県知事は「施設の利用やイベントの制限は、補償とセットであるべき、国の措置が必要だ」と発言しました。(同前)

「緊急事態宣言」が出された中で、差し迫った最大の対策の一つが、「医療提供体制の整備」の課題です。

 この課題について、医療制度研究会副理事長・外科医の本田 宏さんの発言を紹介させていただきたいと思います。本田さんは5年前に『本当の医療崩壊はこれからやってくる!』という本で日本の医療危機を告発しました。本田さんの発言は「しんぶん赤旗」6日付に掲載されました。一部を紹介させていただきます。

「昨年、厚労省は『医師の働き方改革に関する検討会』で年間1860時間(休日労働を含む)以上働いている勤務医が2万人もいることを認めました。過労死ラインの2倍です。この2万人に、過労死ライン以上の労働時間で働ている医師を合わせると約8万人にもなるのです」

「このような過酷な勤務状況のなかで新型コロナウイルスの感染拡大で重症肺炎の患者さんが急増すればどうなるでしょう。一般の疾患や救急患者さんの受け入れが困難になるなど、医療現場が機能不全になるのは間違いありません」

「厚労省は高齢化社会到来による医療費上昇をきらって病院の診療報酬点数を操作して、長年日本のGDP当たり医療費を先進国平均以下に抑制してきました」

「新型コロナなどの患者を受け入れる感染症病床の整備やスタッフの維持にはお金がかかり、民間病院では採算が取れません。不測の事態に備えているのが公立病院の大事な役割です。命を守る病院が赤字になるというのであれば、消防や警察、自衛隊は黒字なのでしょうか」

「新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大するなかで、『医療崩壊はこれからやってくる』と訴えたことが現実になることに大変危機感を抱いています。経済優先の医療費抑制と医師数削減が新型コロナウイルス封じ込めを困難にし、消費税増税で低迷してきた経済をさらに悪化させる危機を高めています」

「国民の命と生活を第1にする社会はどのようにしたら実現できるのでしょうー。最大のピンチは最大のチャンス。新型コロナウイルス危機から私たちが何を学ぶかで日本の未来が決まってくるでしょう」

 

 

 


「緊急事態宣言」-最大の問題は、”安倍首相が自粛と一体の補償を拒んでいること”-志位氏が転換を強調

2020年04月08日 | 新型コロナウイルス対策

 日本共産党の志位和夫委員長は7日の記者会見で、政府の「緊急事態宣言」の発出と「緊急経済対策」について、日本共産党の立場を述べました。(詳しくは、「しんぶん赤旗」8日付を是非お読みいただきたいと思います)

 私は、特に、次ぎの点について紹介したいと思います。

「現時点で、政府が感染の爆発的拡大を抑えるために、外出自粛を強めるなどの措置をとることは当然だと考えます」

最大の問題は、安倍晋三首相が、この期に及んで、自粛と一体の補償を拒んでいることにあります。本日の衆参の議院運営委員会での質疑でもこの態度が一番の問題として浮き彫りになりました。これでは感染の爆発的拡大を抑えるうえででの実効性がないと言わなければなりません」

この態度を根本的に改めて、自粛と一体の補償を宣言して実行することを強く求めたい。とくに、政府の責任で『緊急事態宣言』を発令する以上、政府の責任において補償措置を行うことがいよいよ急務になっていることを強調したい」--

 志位氏は、医療崩壊を抑止するうえでーー2つの問題点をただすことを求めました。

「政府の『緊急経済対策』は、医療の崩壊を抑止するうえでも、大きな問題がありますPRC検査について、『迅速な検査の促進』といっていますが、なぜ検査が進まないのか、どこに問題があるのかの分析がまったくない。ですから解決策もない。ただやるといっているだけです。どこに問題があるかというのは明瞭で、『帰国者・接触者相談センター』を通さないとと、『帰国者・接触者外来』にまで行けない」

「そのため、医師が必要だと判断しても、圧倒的な方々がいまだがに検査できない。この仕組みに問題があります。『帰国者・接触者センター』を通さなくても検査ができるような仕組みにあらためる必要があります」

「もう一点、『新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金』の創設が述べられていますが、中身が不明です。いま医療機関全体に対する緊急的な財政補償が必要です。新型コロナ感染症の患者さんを受け入れる病院も、そうでない病院も、全体が大きな打撃を被っており、全体に対する財源的な補償が必要ですが、それが述べられていません」

病院の問題も同じ構図です。新型コロナ対応で収入が減っている、あるいは減少が予想される医療機関には財政的補償を行う』という大原則を確立して実行することが大切です。これをやって初めて医療崩壊を食い止める道が開かれます」

 


「きょう緊急事態宣言」-”政府は国民に説明と十分な補償を”-日本共産党小池書記局長が表明(6日)

2020年04月07日 | 新型コロナウイルス対策

 日本共産党の小池晃書記局長は6日、政府がコロナ特措法に基づく緊急事態宣言を出すと報道されていることについて記者会見で次のように日本共産党の見解を明らかにしました。

「政府が『緊急事態宣言』を出す判断を行った場合には、その理由、目的、および実施する措置について十分な説明を求める。その内容が納得できるものであれば、感染の爆発的拡大を防止するために、必要な協力を行う」

 さらに、次ぎのように述べました。

「今回の緊急事態宣言による措置が、欧米で行われているような『ロックダウン』(都市封鎖)ではないことの理解と納得を得ることが重要だ。とくに、公共交通機関の停止や、食料品や医薬品の購入、医療機関への通院など、必要な行動まで禁止するものでないことを明確にする必要がある」

「多くの市民が商店などに『買い占め』などで殺到することや、東京などから地方へ一斉に移動することなどは、感染を拡大する恐れがあり、未然に防ぐことが大切だ」

「『緊急事態宣言』を出した場合は、その措置に伴って生じる損失への補填を一体のもとして行うことがいよいよ重要となる。わが党は、そのことを重ねて強く求める」

「外出制限の要請は、政府による十分で丁寧な説明と、十分な補償措置によって、その実効性を確保すべきだ」

「『緊急事態宣言』に伴う措置を実施する際には、とくに基本的人権に対する制約を伴う場合について、乱用を慎むべきであることも改めて強調する」と語りました。


”空母ーセオドア・ルーズベルト、ロナルド・レーガン”ー新型コロナ感染発症、作戦不能。 新しい「安全保障」に

2020年04月06日 | 新型コロナウイルス対策

「読売」紙4月1日付「新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、世界各地に展開する米軍でも感染者が増え、部隊の移動停止など感染拡大防止の対応に追われている」「米国防総省によると、米軍の感染者は30日(3月)時点で累計603人に上り、10日間で8倍以上増えた」「米、抑止力低下に危機感」と報じました。

 さらに、太平洋地域に展開中の空母「セオドア・ルーズベルト」では、「3月上旬にベトナム・ダナンに寄港後、集団感染が発生した。現在はグアムで、全乗務員約5000人の検査を実施している。横須賀基地を拠点とする空母「ロナルド・レーガン」でも複数の乗組員が感染しているとの報道がある」「国防総省は25日、部隊の海外派遣や部隊の移動を伴う演習などを60日間、原則として停止することを発表した」

「しんぶん赤旗」6日付は、次ぎのように報じました。

「『われわれは戦争をたたかっているのではない。水兵たちは死ぬ必要はない。いま行動しなければ、われわれは彼らを失うだろう』。中国海軍を念頭に、南シナ海やフィリピン海を航行中だった米原子力空母セオドア・ルーズベルトの艦長は3月30日、艦内での新型コロナウイルス感染拡大の惨状を訴え、乗組員の即時下船を要請しました」

「4日現在、同艦での検査は乗組員約4000人中44%にとどまっていますが、それでも155人の感染を確認。もはや任務継続は不可能な状態です」

「さらに、4月以降、フィリピン海などに展開するはずだった米海軍横須賀基地(神奈川県)所属の原子力空母ロナルド・レーガンの乗組員にも感染が拡大。出港の見通しはたっていません。同基地内では3月末現在5人の感染が確認されていますが、米国防総省は基地ごとの感染者数を非公表としたため、その後の状況は覆い隠されていいます」

「米国防総省によれば、軍属や家族を含む感染者数は3日現在で1648人、死亡6人。米軍でこれだけ感染が拡大している理由は、地球規模で軍事基地網を築き、海外で複数の軍事作戦を行い、移動を繰り返しているからです」

「米国の軍事的覇権主義と、常時介入態勢が、感染症への脆弱性をもたらしたのです」として、次ぎのような記事も紹介しています。

米航空専門誌『エビエーション・ウィーク』(3月31日付)は、同盟国が弱体化し、米軍の作戦計画や武器輸出に影響が出ることなどを指摘。また、電子雑誌『ザ・ディプロマット』(3月27日付)は、地球規模ではりめぐらされた兵器の供給網への深刻な影響を指摘。今後、在日米軍を含め、部品の不足で艦船や航空機を動かせない可能性もあります」

 そして、新型コロナウイルスの感染爆発を契機に、米国を中心とした軍事的覇権主義のもろさと同時に、未知の感染症や、今後予想される気候変動に伴う災害の増加といった、全人類への脅威への対処こそ、真の『安全保障』であることが明るみにでました。特定の国家・武装勢力を仮想敵とする伝統的な『安全保障』観は転換を迫られています」と述べています。

 


「女性と新型コロナ」国連ウィメンが各国政府に5つの行動提起ー日本共産党ジェンダー委、府省に要請

2020年04月05日 | 新型コロナウイルス対策

 国連女性機関「UNウィメン」のアニタ・バティア副事務局長が3月26日に発表した声明「女性とCOVIDー19(新型コロナウイルス)-各国政府が今すぐできる5つのこと」-「翻訳=日本共産党中央委員会ジェンダー平等委員会」が、「しんぶん赤旗」4月3日~4日付に掲載されました。

 「UNウィメン」が提起した5つの行動について、紹介させていただきます。(項目中心に)

第1に、対応努力のすべての局面で、女性の看護師や医師が仲間入りできるように保障すること」

第2に、すべての家庭内暴力の被害者のためのホットラインとサービスが『基本的(必要不可欠)なサービス』と位置付けられ、開かれ続けることと、法律の実施が被害者からの連絡に対応するためのニーズに敏感であることを保障すること」

第3に、救済措置と景気刺激策は、女性特有の状況の理解とケア経済の認識を反映させた社会的保護措置を含むものでなければなりいません。これはすなわち、健康保険の恩恵を最も必要とする人や家にいる子どもや老人の世話のために仕事に来られない人のための有給休暇もしくは病気休暇を保障することです」

第4に、リーダーたちは、対策と回復へ向けた意思決定に女性を含める方法を見つけなければなりません。地域、市町村、国のレベルにかかわらず、意思決定に女性の声を取り入れることは、より良い結果につながります。さまざま状況設定から、視点の多様性が最終決定を豊かにすることは明らかです]

最後に、政策決定者は、人々の家庭で何が起きているかに注意を払い、女性と男性の間のケア負担の平等を支持しなければなりません。世界各地の世帯内で行われているジェンダーの役割を『非ステレオタイプ化(決まり切ったものとしない)』する好機です。各国政府ができる。特に男性のリーダー向けの具体的な行動の一つは、私たちの『HeForShe』運動に参加し、HeFor@homeについての情報に注目し続けることです」

 こうした国連の提案をうけて、日本共産党中央委員会ジェンダー平等委員会の倉林明子福委員長らは2日、内閣府と厚労省にヒアリングを行いました。

内閣府の担当者は、「政府のコロナ対策本部の対処方針に、各種対策を実施するさい、『女性や障害者などに与える影響を十分配慮して実施する』との文言が盛り込まれていたと発言」

厚労省の担当者は、「周産期の医療提供体制をとるように各都道府県に求めることや、妊娠中の労働者への職場での配慮を経済団体や労働組合に要請したことを語りました」

倉林氏は、「医療・福祉の現場やDV相談窓口も、多くの女性が支えていることを指摘。『こういうときこそ、ジェンダーの視点を貫くことが重要だ』と述べ、行き届いた対策を求めました」

 

 

 

 


「新型コロナ拡大の危機的事態のもとで、日本共産党が果たす役割」-中央委員会常幹の訴えより

2020年04月04日 | 党建設

 「しんぶん赤旗」4日付は、4月3日にだされた日本共産党中央委員会常任幹部会の「新型コロナから国民の命と暮らしを守る取り組みに全力をあげつつ、強く大きな党をつくる活動に意気軒高に取り組もう」の「訴え」を掲載しました。

 「訴え」は、党員や党機関に向けたものですが、その中で、次ぎの部分について、多くの読者や支持者、日本共産党に関心を寄せていただいている方々とご一緒に考えてみたいと思い、転載させていただくことにしました。

【危機的事態のもとで、わが党が果たす役割は大きい】

「新型コロナウイルスの感染が国内的にも国際的にも拡大するという危機的事態のもとで、わが党の役割はいよいよ大きくなっています」

(1)新型コロナ感染症から国民の命と暮らしを守る党の緊急提案、国会・地方議会での論戦が抜群の力を発揮しています。」『感染防止対策として自粛と一体に補償を』という提起は、野党の一致した要求となり、全国知事会も政府に求め、ライブハウス経営者らがよびかけた署名が30万人に達するなど、またたく間に大きな世論となっています。『自粛と一体に補償を』の声を広げに広げ、苦境に陥っている事業者・個人の暮らしと営業を救うとともに、感染拡大防止のための自粛要請が実効あるものとなるよう力をつくすときです」

「新型コロナによる打撃から国民の暮らしと営業を防衛する緊急の取り組みとともに、『日本の経済と景気の立て直しのために、消費税の5%への減税を』というわが党の提起が、いよいよ切実となり、多くの国民の願いになっています」

(2)新型コロナ問題は、日本の政治、経済、社会のあり方はこれでいいのかを鋭く問うものとなっています。政府が進めてきた『地域医療構想』の掛け声での急性期病床削減、公立・公的病院の統廃合、保健所の削減など、医療・社会保障の削減路線をこのまま続けていいのか。いま厳しく問われています」

「国民の家計・内需を犠牲にしながら外需頼みを続けてきた経済政策が、いかに危険で脆弱なものであるかが、うきぼりとなっています」

世界を見ても、EUの緊縮路線=社会保障切り捨て路線の押しつけがイタリアの悲劇をもたらすなど、新自由主義=市場原理主義をこのまま続けていいのかが問われています。ある識者からは、『新型コロナ問題は世界を変えるだろう。市場原理主義が世界的に見直されることになるだろう』との声が寄せられました」

「この問題を通じても、『財界中心』『アメリカいいなり』の政治の異常なゆがみを根本からただし、資本主義をのりこえる未来社会への展望を示す、改定綱領と党大会決定の生命力が鮮明になっています」

 

 


「医師たちには国境はない、治療の糸口を探り合っている」-中国・武漢市在住の作家・方方氏

2020年04月03日 | 綱領関連

 4月3日付「しんぶん赤旗」(国際面)の記事に注目しました。

 見出しは「米中専門家『両国協力を』」「医師らは治療経験を交流」です。以下、紹介したいと思います。

「新型コロナウイルスをめぐり米中の政府や政治家がお互いをののしり合う中、両国の専門家はこの危機の中で米中が協力するよう訴えています。3月28日、29日の両日、中国発展研究基金会と清華大学戦略・安全保障研究センターとの共催で、18人の米中の専門家が参加し、『新型コロナウイルスと米中協力』と題するビデオ会議が開かれました

「中国メディアによると、多くの参加者が、米中はお互いを刺激する言動を減らし、新型コロナの制御に向けた協力に集中すべきだと主張。両国の医師や科学者、製薬企業の交流と協力を強めるよう促すべきだと呼びかけました。その上で、関税を下げ、貿易上の障害を取り除くよう求めました」

「米ハーバード大学のグレアム・アリソン教授は3月27日、米誌『ナショナル・インタレスト(電子版)に『新型コロナウイルスとのたたかいで、中国は敵か友人か』と題する論文を発表。その中で、『中国の治療の経験が有効だとしたら、ウイルスの発生源を理由に、米国はそこから学ぶことを拒否していいのか』とし、『ウイルスがまん延している時に、両国が協力を拒否すれば、お互いの国家利益を確保できないと、米中の協力を訴えました」

「中国メディアによると、3月18日に米中の漢方専門医がビデオ会議を行い、新型コロナに対する漢方治療の経験を交流。両国の医療関係者はさまざまな交流・協力を続けていきます」 

「武漢在住の作家・方方氏は3月24日の日記で、『面白いのは、米中の政治家たちがお互いを非難している時に、両国の医師たちが協力し、どのように病人を救うか、どの薬が死亡率を下げるのに有効かなどを相談していることだ。医師たちには国境という意識はなく、経験を伝え、治療の糸口を探り合っている』と紹介しました」

 また、「ハノイ=井上歩」からの記事として、同紙は、次ぎのように報じています。

「東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国と米国は1日、オンラインの高官会合を開き、新型コロナウイルス対策について、科学研究を含む情報や経験の共有、技術援助を積極的に進めていいくことで一致しました。ASEAN議長国ベトナムが発表しました」

 こうした報道に接し、私は、「改定綱領」で新設された「第9節ー冒頭」部分を読み返しました。

「植民地体制の崩壊と百を超える主権国家の誕生という、20世紀に起こった世界の構造変化は、21世紀の今日、平和と社会進歩を促進する生きた力を発揮しはじめている」

「一握りの大国が世界政治を思いのままに動かしていた時代は終わり、世界のすべての国ぐにが、対等・平等の資格で、世界政治の主人公になる新しい時代が開かれつつある。諸政府とともに市民社会が国際政治の構成員として大きな役割を果たしていることは、新しい特徴である」

 

 

 


「民主主義の力(言論の自由等)と医学的知見の結集のために国際協力の抜本的強化を」

2020年04月02日 | 新型コロナウイルス対策

 3月31日放送のBSフジ番組「プライムニュース」に日本共産党の志位和夫委員長が出演し新型コロナウイルス感染症の架拡大に対する政府の対応と、同局の反町理解説委員長らの質問に答えて、日本共産党の見解を語りました。

 私も視聴し、党の対応について理解を深めることができました。

 志位さんは、番組のなかで「自粛と一体に補償を政府が宣言」することが最優先の対応であることを、繰り返し訴えました。

 今日付「しんぶん赤旗」に2頁に渡って、志位さんの発言が掲載されましたので、多くの方にお読みいただきたいと思います。

 同番組の最後の部分で、「中国の対応について」志位さんが語った次ぎのことは、私も強い共感を覚えました。

 以下、紹介させていただいます。

ー中国・武漢市で新規感染者がゼロになったと発表され、封鎖措置の解除が発表されているもとで、中国の対応について聞かれましたー

志位ーこれは中国が発表していることであって、事実は分かりません。中国について言いますと、やはり初動が遅れた。否定しようのない事実です。その背景として言論の自由がない。体制の問題点があって遅れた。非常に大きな問題だと思います」

「ただ今、中国のさまざまな問題にフォ―カス(焦点を当て))して中国をバッシングするやり方は、誰にも利益をもたらさない。いま1人でも命を救うためには、国際協力でやらなくてはいけない。中国とも協力が必要です。中国は、コロナ対策のなかで膨大な論文を出しています」

「そうした科学的知見も共有し協力しなくちゃいけない。それがいま一番大事だと思っています」

反町ー中国側は、よくわからない空中戦をアメリカとやっている」

志位ー中国外務省の報道官が根拠を示さず『米軍が武漢に疫病を持ち込んだ』といい、トランプ大統領が『中国ウイルス』と。両方がルール破りをやって、紛争になった。これは中国もアメリカも両方とも恥ずかしいことです。2つの大国がいかに協力してウイルスを抑え込むか、協力しなくてはいけない」

 


思想家内田 樹氏新書「サル化する世界」が話題にー「今、文明史的危機」に (2)

2020年04月01日 | 未来社会へのプロセス

 3月29日の「東洋経済オンライン」に、次ぎのような記事が掲載されました。

「日本社会がサル化しているーー。新書『サル化する世界』でそう鋭く指摘するのは思想家の内田樹氏だ。内田氏が言う『サル化』とは何か。コロナ危機に際して考えるべきことは。編集部からの質問に回答してもらった」

 内田氏は、たびたび「しんぶん赤旗」紙面にも登場して、私たちにも様ざまな示唆に富んだ発言をしていただいている方です。「質問」の中から、私なりに考えさせられた「記事」を紹介させていただきたいと思います。

「--『サル化する世界』という挑発的なタイトルに込めた思いを教えてください」

内田氏『サル』というのは『朝三暮四』のサルのことです。サルが今の自分さえよければそれでよくて、未来の自分にツケを回しても気にならないのは、ある程度以上の時間の長さにわたっては、自己同一性を保持できないからです」

「過去、現在、未来にわたる広々とした時間流の中に自分を位置づけることができない人間には、確率、蓋然性、矛盾律、因果といった概念がありません。『文明史的危機』に際会している」

--過去と未来をふくんだ視点で『今』を考察する力は、なぜ急激に失われてしまったのでしょうか」

内田氏ー最大の原因は基幹産業が農業から製造業、さらにはより高次の産業に遷移したことだと思います。農業の場合でしたら、人間は植物的な時間に準拠して暮らしていました。農夫は種子をまいている自分と、風水害や病虫害を防いで働いている自分と、収穫している自分が同一の自己であるという確信がないと日々の苦役には耐えられません」

「でも、いま、最下層の賃労働者は今月の給与をもらっている自分より先の自分には、同一性を持つことができません。だって、1カ月後に自分がどうなっているかさえ予測がつかないから」

「それは富裕層も同じです。株の取引はマイクロセコンド単位で行われている。それ以上タイムスパンを広げても意味がない。企業だってそうです。今から10年前にGoogLeやAmazonが『こんなふう』になると予測した人はほとんどいなかった。10年後にどうなるかもわからない。長い時間の流れの中に自分を置いて、何が最善の選択なのかを熟慮するという習慣を現代人は失って久しい」

--いま一連のコロナ騒動を見ていると、後手後手に場当たり的な対応をする政府から、不足物資を買い占めに走る人々の狂騒まで、まさに”サル化”する日本です。そこには日本特有の構造的要因もあるのでしょうか」

内田氏ー日本固有の現象ではないと思います。無能な政府であれば、どこでも対策は後手に回るでしょうし、トイレットペーパーの買い占めも世界のどこでも起きていますから。サル化しているのは日本人だけではないよと言われて安心されても困りますが」

「--危機管理に真に必要な知性とは何でしょうか」

内田氏長いスパンの中で、ものごとの理非や適否を判断する習慣のことだと思います。歴史的にものを見る習慣があれば、『危機だ』と騒がれる出来事の多くが『過去に何度も繰り返されていることの新版』であることがわかるはずです。それならば、浮足立つ必要はない。どういう文脈で起きて、どう展開するか、だいたいわかるから」

そうやって、『よくある危機』をスクリーニイングしておかないと、本当の前代未聞の危機に遭遇したときに、適切に驚くことができません」