カナリア日記

さいたま市南区(武蔵浦和)にある「カナリア音楽教室」のレッスン日記です。

ある生徒さんとの想い出

2009年09月13日 | 「レッスン日記」
発表会が近付くと必ず思い出す生徒さんがいます。

Aちゃん…


Aちゃんは幼稚園の時に入会しました。

実は、Aちゃんには、やや障害がありました。
一見してすぐにそれと分かりました。

小学校入学時にも「特殊学級」を勧められましたが
御両親の強い希望で普通のクラスに入学されました。

私の言う事はちゃんと理解出来るし、お話しもちゃんと出来ます。

只、身体能力は可なり低く、他の生徒さんが一回で出来る事に十回はかかりました。
ですから進み方は非常に遅かったですが
Aちゃんはいつもニコニコと、とても楽しそうに通って来てくれてました。


4年生の発表会の時に、どうしても弾きたい曲がありました。
私は可なり難しいと思いました。
でもAちゃんの希望も叶えてあげたく、その曲に決めました。

しかし、一向に弾けるようになりません。

それで、発表会の一ヶ月前から、毎日教室に来て貰いレッスンをする事にしました。
お家での練習だけでは無理だと判断したからです。

私も毎日仕事が入っていたので、その間を縫ってのレッスンでしたので
10分しか出来ない日もありました。
それでもAちゃんは一日も休む事なく、一ヶ月間毎日通い続けてくれました。
ある意味二人の「根競べ」でした。
Aちゃんが来るのだから私も休む訳には行きません。

そして、ついに発表会では、一ヶ所の間違えもなく、見事に演奏をしました。

舞台の袖で手を合わせ、祈りながら見守っていた私ですが
あの日の感動と安堵感は忘れる事は出来ません。


以来
中々弾けるようにならない生徒さんがいて私自身が挫けそうになった時は
いつも、Aちゃんとの事を思い出すようにしています。

Aちゃんは、今24才になりました。
あの5歳の時の純粋な「笑顔」は変わらぬまま
とても素敵な女性に成長されました。

コメント
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