goo

回復の物語を求める「糸川昌成 新しい治療法をめぐる冒険」

以前、居場所で見せてもらったDVDを自分でも購入して全編を見た。
糸川昌成先生「新しい治療方法をめぐる冒険 統合失調症の研究はドラマに満ちている」

講演会の話、前編は糸川先生が行われている遺伝子研究を通しての新薬の開発。
難しい話を熱く話す人だなと思って聞いた。
僕も新薬は効くなと思って飲んでいたら治験用のうどん粉だったりしたら嫌だな。でも僕はうどん粉でも効きそうだなとか思いながら聞いた。

それから後半はそういう研究をされている研究者糸川先生のプライベートな話になった。
研究者でありながら精神科医として診察もされている糸川先生が先生のお母さんも統合失調症だったと先生は最近知った。
でももうお母さんは病気のまま亡くなられた。
そのお母さんを知ろうと思い、先生は医者だから出来る立場でお母さんのカルテを調べて、
そして親戚を訪ねて本当のお母さんを知ろうとする旅を始めた。

症状には意味がある。
先生のお母さんのカルテには一見、問題行動に見える事例が書かれていた。
夫のカバン、背広を切る。
夫の傘を捨てて自分の赤い折りたたみ傘を渡す。
北海道に幼い子供を連れて突然行く。
これらはみんなお母さんがお父さん、息子と一緒に居たい、居場所を求めての行動なのだと気が付いた。
そして当時は今もだけどさらに統合失調症だということを世間から隠さなければならなかった。
そういう状況でもお父さんは4回もお母さんを退院をさせて一緒に住もうとした。
お母さんが糸川先生が高校生の時に会いに来てくれていたことも知った。
そんなお母さんを調べていくうちにお母さんを退院させなかったと憎んでいたお父さんの本当の姿も知り、
お父さんとも和解出来た。
たとえ精神の病人でもその人の人生の文脈を理解出来ると、その人が生きているということが証明される。

そういう話を通して科学的な薬を用いての治療と、その人の物語を語らせることでその人の人生に意味を持たせることの両方があって、
その人の治療、回復になるのだと語られていた。

講演の後のディスカッションで先生はさらに第3の治療がある。
違った回復の仕方。父母との関係も長い時間で治される。
そして偶然のようでもちゃんと意味があったりもすると話された。

僕も僕自身のことを考えると父とも母ともそれぞれの看取りをしっかりやり遂げたことで、
僕の入院のわだかまりも解けて、お父さんと和解も出来た。
お母さんともありがとうをお互いに言い合えた。
しっかりと時間をかけて語り合うことでお互いが分かり合えるのだ。
それは病気でも病気で無い人でも同じだと思う。
さらに僕は僕が病気だったからより深く両親と語り合おうと努力した。そして分かり合えた。
人生には偶然のようでいても大切に動けばちゃんとつながりが出来てくるのだと僕は再確認した。
そしてそれがリカバリーなのではと僕は思った。

このDVDを紹介してもらってよかった。やはり居場所はいいなと思います。大切にしようと思います。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )